2日続けて瑞庵2に行くことができたので、PA環境について、改善に向けての協力をさせていただきました。少々は貢献することができたかな。
最近のデジタル化された音響システムは苦手ですが、昔のようなアナログ的発想でよいならば、経験値を生かしてサポートすることができます。今回瑞庵2で新しく導入したという機材は、たまたま私が2年前に購入した機種と同じだったこともあり、様々な課題を解決するための提言もさせていただきました。
少し専門的な内容になりますが、私の拙ブログの読者にはきっと瑞庵2を利用する方もいると思いますし、このブログのURLは瑞庵ママにもお知らせ済みで時々はまとめて読んでくださっているようですから、復習や確認も兼ねて説明しますね。意味がわからない方にも、面白い内容かもしれません。
この機種には、ゲイン・コントロールがついていないので、キャノン接続をすると最大の感度(説明書には-60dbとあり、これが本当ならすごいレベルです!)で増幅されてしまいます。したがって、各チャンネルのフェーダーを最もノイズの少ない推奨音量(7か8程度)にしてから、会場の規模に合わせてマスターボリュームを調整する必要があります。私が金曜日に最初に設定を見たところ、マスターを中間点にしていて、マイクのボリュームは2か3、ピアノに至っては、ほんの少し上げたらハウリングを起こしてしまい、0.3程度しか上げられないという状況でした。しかも音がコモっていて、聴くに堪えない音色です。この理由は瞬時に予測できましたが、それは後程に説明します。土曜日のセッション後に対応し、解決済です。
土曜日、仕事の飲み会の後に遅れてセッションに行ったのですが、そこでのPAは私に任せる的な雰囲気があったので、思い切ってノウハウをいかして大調整をさせていただきました。金曜日のセッション中に調整してもよかったのですが、常に誰かがこの機材の前に座って操作をしていて、アウエーの私が余計なことをするのはどうなのだろうかという思いがあり、触らずにいました。いろいろとわかっているのに手を出せずに、イライラしていました。土曜日の土夜セッションは、一応客として毎月行っているし、なんちゃってホストでもありますから、思い切ったことができると考え、実行させていただきました。
私が行った主な改善点は次のとおりです。他にもいろいろとやりましたが、マニアックすぎるのでここでは説明を省略します。
・まず、ボーカルマイクのフェーダー(各チャンネルの音量)を基準点にしてから声を出し、それに合わせてマスター・ボリュームを設定する。その結果、この店のハコ(店内の大きさも含む)では、マスターは9時(左45度)程度の音量でよいことが判明。その結果、ピアノのフェーダーも12時(中間点)近くまで上げることができ、微調整もできるようになった。パワーアンプが独立している場合は、その本体の音量で調整もできるが、、アンプ内蔵ミキサーの場合は、特にマスターを上げすぎないように留意する必要がある。
・内臓コンプレッサーは、小さい音を大きくする効果もあるためハウリングを起こしやすいので、最低限の使用とする。フォークやジャズでは不要である。この機種にはハウリング防止機能が付いているので、積極的に使用すべきである。このスイッチを入れることにより、ハウリングを起こしやすい周波数帯のレベルを勝手に下げてくれるという機能であり、大変有用である、
・ピアノの音質が悪いのは、内臓マイクのセッティングの問題であることが多い。今回のセッション後に蓋を開いて確認したところ、マイクが完全に下を向いてしまっていた。下の板に向かってマイクがセットされていたので、これでは音がコモってしまうのは当然。ピアノ弦がある上方を向けて再セットをし、音質問題は完全に解決した。
これらの処置を行った結果、実際に劇的な改善が図ることができました。
ところで、音響機器においては、S/N比というのが大きな課題となります。Sとはサウンド、Nとはノイズのこと。例えば、カタログや説明書に、S/N比0.1と書いてあったとしたら、100の音が出る際には必ず0.1のノイズが出ますよ、ということです。人間の耳でわかるの?と思われるかもしれませんが、ライブ演奏のような機会においては、大音量になるので無視できない問題です。
つまり、マスター音量を上げれば上げるほど、その絶対的なノイズは大きくなります。マスターをフルにした際のノイズが、仮に10だとしたら、マスターを半分にすればノイズは半分の5に下がり、マスターを4分の1にすればノイズも4分の1になるわけです。
フェーダーのレベルをできるだけ上げて、逆にマスターを低くすることにより、本体から発生する全体的なノイズを低くすることができるのです。アナログ的なPAにおいては、各フェーダーのレベルを最もノイズの少ない8分目程度にし、その後でゲインやマスターボリュームを調整するということが鉄則になっています。アンプが内蔵されていないミキサーの場合は、本体のマスターも8割程度の方がS/N比が最も小さくなるため、外付けのパワーアンプの音量で調整をすることがほとんどです。しかし、アンプ内蔵の一体型ミキサーの場合においては、マスターボリュームの扱いがポイントとなってくるわけです。
金曜日に私が見た設定は、その真逆を行っていたわけですね。「各フェーダーを上げて、マスターを下げる」ということを瑞庵ママにもかなり説明しておきましたが、是非とも試してみてください。
説明書を見ればそこらへんの仕組みは解るのですが、用語や記号の意味がわからない方にはどうしようもないことです。ですから、今回思い切って設定や説明をさせていただくことができて、とてもよかったです。それでも勝手に調整してしまうお客さんはいるでしょうから、そういう方にはやりたいようにさせておき、ド・フォーク・ナイトと土夜セッションのときだけでも、この理論を大切にしていただけたらと考えております。うまくいきますよ!



