今回はちょいネタバレあり

 

また今日も一冊読み終えた。

前回読んだ谷崎潤一郎の家庭内の諸々を描いたデンジャラスに比べ 作品への 「のめり込み感覚」とでもいうのだろうか それが ほとんどなかった。

 

母親からネグレクトされ種違いの異父弟と

育った少年期の世界観に没頭したくはないのでそれも 当然といえば当然なのかもしれない。

 

小説の前半部分は、 母親と交際する男性から受ける暴行ネグレクト

母親の元を去り、 養護施設のような所で暮らす主人公。

 

やがて里親制度というもので、 仮の両親の元で幸せに暮らしましたで終わったら小説にならないのかもしれない。

 

今回は せっかく里親に引き取られたが、 学校家庭と言う 新しい環境に馴染めない主人公が 心の中の歪みを肥大化させ どこまで 逸脱し 自ら破滅への道を進むのか そうなる展開が 途中から あからさまになり予測できてしまったのが 残念といえば残念。

 

 

ひょっとすると 読者に ここまで悪い展開を予想させておきながら 実は大逆転ハッピーエンドというサプライズ でもあるのではないかという気もしたのだが…

 

ただこの物語は まだ終わりではない。

ネグレクトされた少年の成長の一過程。

 

おそらく作者はこの作品を書くにあたって 各方面を取材しているはずである。

 

もしかするとこの程度の話は枚挙にいとまがないのかもしれない。

 

近年親ガチャなどという新語が安易に使われているが、そういう親のもとに生まれたのだから仕方がないと諦める しかないのだろうか。

 

豊かになったはずの日本の闇

本当に豊かになったのは 一部の日本人。

 

人々が その階層に 属したいがために競争が激化し 親子共に心を歪ませ それがまた新たな不幸を生み出しているような気もする。