なんだか胃が痛い

もう赤ちゃんはいないというのに


いつもこんなだから

赤ちゃんの悲鳴にも気づかなかったのね


もっと健康だったら良かった


それでも

もしも願いがかなうなら

健康になんかなれなくてもいいから

赤ちゃんを返して



誰も私のこと知ってる人がいないところに

逃げ出してしまいたい

音楽関係の友人からメールが来てた

練習の前にいきなりレクイエムの楽譜が配られて

「大切な命をなくして悲しんでる人がいます

 亡くなってしまった魂と悲しんでいる人のために」と

みんなでレクイエムを歌って

黙祷したとかで

「ディレクター泣いてたから

 きっとディレクターの知り合いの誰かが亡くなったんだろうね」と書いてあった


練習の途中やコンサートの途中で何かあったときのために

ディレクターにだけは妊娠のことを話しておいた


いきなり練習にも行かなくなって

コンサートもすっぽかして

本当なら除名になってもおかしくないのに

ディレクターは皆に何も知らせずレクイエムを捧げてくれた


その次の日

次のコンサートのアンコールの楽譜がファックスで送られてきた


「私のお墓の前に立ちすくして涙を流さないで

 私はそこにはいない

 私は眠らない


 私は通り抜ける千の風

 私は雪の上で輝くダイアモンド

 私は太陽の輝き

 麦畑で輝く太陽

 私は優しい優しい優しい朝の雨

 あなたが朝の静けさの中で目覚めるとき

 私は旋回しながら飛び上がっていく鳥

 私は夜空で優しく輝く星

 

 だから

 私のお墓の前に立ち尽くして

 泣いたりしないで

 私はそこにはいない

 私は死んではいない」


コンサートになんて出れないし

今は歌なんて歌えない


でも歌詞を読んで

やっぱり涙が止まらなかった

私にこの歌は歌えないけど

すごく心に響いた


「次のシーズンで

モーツアルトのレクイエムを入れて

それをあなたの子供に捧げます

子供のために歌いたいと思ったら

いつでも戻ってきなさい

あなたのポジションはいつでもそこにあるのだから

今は深い悲しみの中に入るかもしれないけど

教会で誰かに供養してもらうだけでなく

あなたは自分で子供のためにレクイエムを歌うことが出来る

今はそんな気になれないのもわかります

私たちはいつでもあなたを待っています」


ディレクターからのメッセージに

また涙が出た


音楽はいつだって裏切らなくて

いつだって私を助けてくれた


1日中泣いてばかりで

まともに声も出ないけど

赤ちゃんのために

心からレクイエムを歌おうと

ピアノの前に座ってみたけど

なんだか苦しくなって

鍵盤を叩くことが出来なかった

今はまだ無理みたい






 


家にいると

大丈夫?っていう電話さえ煩わしくて

外に逃げ出したくなったけど

太陽の光があまりにも健全で

なんだか自分が壊れてしまいそうで

またすぐ家の中に入ってしまった


家にいるのも嫌なのに

外に出るのは怖くて

どこにいても自分の居場所がないような気がして

自分は存在してはいけないような気がして

何もかもを呪いたい気持ちになって


まだたくさんではなかったけど

赤ちゃんのために作った服

よだれかけ

靴下

帽子


私は人形の服を作ったんじゃない

あと何ヶ月かすれば

これを着て

生きて動いてる赤ちゃんがいるはずだったのに


お腹に手を当てると

そこにはまだ赤ちゃんがいるような気がして

でも、そこにはもう何も存在しないんだと思うと

どうしようもない喪失感に襲われて

そしてまた胃が痛くなる

以前とは違う痛み

なんでお腹痛くなったときに病院に行かなかったんだろう

普段から胃が痛くなることは多かったけど

私は赤ちゃんのためにもっとcarefulでなければいけなかったのに


ごめんね


入院していたときに

知り合いがお見舞いに来てくれた

「桜が見たいって言ってたから」と

わざわざ桜の咲いている公園に行って

一枝折ってきたようだ


そういえばこっちの桜は5月くらいだったな


桜の花は

みんなに開花を待ち望まれて

そしてあっという間に散っていく


赤ちゃんの性別はわからないけど

私の赤ちゃんだもん

女の子に決まってる

私の中で、勝手に「さくら」と名づけた

生まれてきてくれていたらそんな名前にはしなかったと思うけど

待ち望まれ早々と散ってしまったから

さくら


退院してから

寝ているか泣いているかの毎日で

少し外に出たほうがいいわ、と言われて

ランチに連れ出された

外に出ると

小さな子供を見てしまって

涙が止まらなくなった

妊婦さんを見かけると

あの子も死んでしまえばいいのに、と思ってしまう自分がいて

そんな自分に吐き気がして

結局、ランチどころではなく

それ以上外にいることが出来なくて

家に帰った


別の人は何度か食事を持ってきてくれて

とても信心深い人で

教会に一緒に行かないか?と誘ってくる

彼女がただ勧誘してるのではなく

彼女にとって信仰が心のよりどころで

それによって気持ち的にいろいろ救われるから

私の悲しみを少しでも救いたい、と

私のことを思ってくれているのはとてもわかる

でも私はそんな気にはなれない


泣いてばっかりで

ティッシュがなくなってしまったから

しょうがなく買いに行った

レジで並んでいると

たまたま後ろにいたのがベビーカーに乗った赤ちゃんだった

赤ちゃんが手を伸ばしたところがちょうど私の手の位置で

手を握ってきた

昔だったら

かわいくてしょうがなかったのに

今の私には我慢できなくて

乱暴に手を振りほどくと

その場から逃げ出してしまった

車の中でしばらく泣いて

結局何も買わずに家に帰った


私のことを心配してくれる人は

とっても善意からなのだとわかるけど

今の私には

それさえもきつい

それに応えて微笑む余裕もなければ

元気になったフリをする余裕もない

優しい言葉に感謝する余裕もないのです

何もかもが苦痛で

お願いだから私にかまわないで、としか思えなくて

相手の気持ちに気を使う余裕なんてないから

ただ一人にして欲しくて

親切にしてくれる人たちの顔を見るのさえ嫌


善意からなのに

ごめんなさい

でも今は

お願いだから一人にして

優しさに対して嫌悪感しか持てないから

お願いだから放っておいて

煩わしいだけだから


このままどこかに消えてしまいたい





仕事中お腹が痛くなった

近くの病院に運ばれてそのまま入院


私の赤ちゃんはずいぶん前から成長してなかった

いつ死んでしまったのかもわからない

私の赤ちゃん


羊水がほとんどなかった

かなり前に破水していたらしい

破水したら一気に羊水が出てくるものだと思ってたけど

少しずつ流れ出てたようで

妊娠したら生理はとまるけど

おりものは増えるんだよって聞いてたから

かなりおりものが多いな~と思いながら

それでも普通のパッドで済ませられるほどだったけど

あれは羊水が流れ出てたのね


羊水がなかったら

死んじゃうよね


どうして死んじゃったのかは

正確にはわからなくて

その前からだったのかもしれないけど

そんなの同じこと


お医者さんは

安定期に入る前に無理しませんでしたか?

って聞いてたけど

1日14時間仕事してたのが無理なことだったの?

私は一人なんだから

出産で仕事を休むこと考えたら

出来るときに仕事しておかないと

子供が生まれてから生活できなくなっちゃうし

他にどうしようがあったというの?


染色体の異常で自然流産することもあるって言われたけど

もう何が原因であろうが

私の赤ちゃんが死んじゃったことに変わりはない


1ヶ月が過ぎ

それでもわたしはまだ何も出来ないでいる


知り合いが乳癌の手術を受けたとき

手術が終わった日には家に帰された

それなのに

病気でもない私がしばらく入院

病気の人たち、ごめんなさい


別に自殺しようとしたわけではなかった

ただ

妊娠中は一度も大きくならなかった私のお腹は

点滴のせいで妙にぽっこりしてて

なんで赤ちゃんが死んだ後になって、って思うと

自分ではどうしようもない感情に支配されて

無意識のうちに何度も自分のお腹を殴っていた

ただそれだけ

それでも、ベッドに縛り付けられて

薬を打たれて眠らされた


もし私が仕事を減らしていれば

もし私が食欲なくてもちゃんと食べていれば

もし私が破水に気がついていれば

もしかしたらまだ生きていたのかもしれない

あんなに生まれてくるのを楽しみにしていたのに

私が殺してしまった


私の赤ちゃんは死んでしまったのに

なぜ私は生きてるの?

私の赤ちゃんは死んでしまったのに

なぜ彼は生きてるの?

私の赤ちゃんは死んでしまったのに

なぜ彼の子供は生きてるの?


お願いだから

私の赤ちゃんを返してください


私のせいでごめんね

ちゃんと産んであげられなくてごめんね

まだ産まれてなかったけど

死ぬときはやっぱり苦しかったのかな

あれだけしょっちゅうお腹が痛くて

あなたは信号を送っていたというのに

気づいてあげられなくてごめんね

本当にごめんなさい






前からお腹痛くなることはしょっちゅうだったけど

なんか最近は毎日のようにしくしく痛んで

ま~悪阻なんだし、しょうがないんだけど

私に安定期はないのだろうか。。。


吐き気もおさまらないし

ちょっと前までは胸がむかむかする吐き気だったけど

最近のは、なんだか胃がむかむかする吐き気で

胃というよりお腹なんだけど

なんだか1日中吐き気がおさまらなくて

きついな~


ま~、楽な妊婦さんなんていないだろうし

こんなもんなんだろうな~

それもお腹に子供がいるからだと思えば

ちょっと嬉しくなったりするんだけど(笑)


来月は2つコンサートあるし

それはまだ大丈夫そうだな~

うちのグループにもぎりぎりまで歌ってた人いるし

その人なんてすごい太ったな~と思ってたけど

まさか妊娠してるとは思わなかったから

ある日いきなりお腹がへこんでるのを見て

ビックリしたくらいだし(笑)

私はまだ見た目にも目立つほどではないし

誰も気づいてないだろうな~

9月が年度始まりで

そのころには生まれてるだろうし

皆に報告するのが楽しみ

びっくりだろうな~(笑)


彼に預けてた指輪を返してもらったとき

彼も彼が子供のときの写真返してくれって言い出したから

グサグサにして捨てちゃったからもうありませんって言っちゃったけど

ホントはそんなことなくて

ちゃんととってあるんだけど

いつか子供に父親のこと聞かれるだろうし

私は死んだ彼の写真持ってないし

子供には死んだ彼が父親だったって伝えるけど

写真は彼の写真でもいいよね

でも彼に似た子になると悲しくなってしまいそうだから

私に似た子になるといいな~(笑)

上に住んでる人と

久しぶりにビリヤードに行った

「彼はどう?」なんて聞かれて

「あ~、もう終わっちゃったんだ~」なんて言ってるのが

ちょっと悲しかった


「じゃ~、いつでもエッチできるね~」と言われて

考えてみたけど

私がしたいと思えるのは

やっぱり彼だけだった


あんなにひどい仕打ちをされたのに

なんで彼じゃなきゃダメなんだろうって

自分でも情けなくなった


彼にとってはただの不倫だっただろうし

適当に遊べればよかっただけだろうけど

どんなに傷ついても

私が彼を大好きって言う気持ちは

そんなので簡単に嫌いになれるような簡単なものじゃなかった


そうするとやっぱり泣いてしまうから

嫌なことを思い出すようにする


彼は私の友人のこと嫌いだったから

私は友人を切り捨てた

(それさえも理解してくれて助けようとしてくれた友人だったけど)

そのくせ自分から他の人探してたのは

彼の方だった


そういえば彼から連絡がなくなってから

嫌がらせメッセもなくなったし

やっぱり彼だったんだろうな~


妊娠したとたん

すごい嫌がらせのメールばっかりで

何も信じてくれないし、美人局とまで言われて

最初から騙そうとしてたんだろうと言われたのは

一番ショックだった

彼のことを愛してたのは

ちゃんとわかってくれてると思ったのに

そこだけは否定して欲しくなかった


彼はこんなにひどい人だった

すごい嘘つきだった

そう自分に言い聞かせる


そのとき悲しかったり辛かったりすることでも

そうなるべき理由があるはずで

私は彼の仕打ちにとても傷ついたけど

もし彼と別れてなかったら

堕ろせと言われて堕ろしていただろうし

私はとても子供が欲しかったし

子供を産むためには

彼に傷つけられることさえ必然だったのだ

私の選択は間違ってなかった

そう自分に言い聞かせる


子供の国籍のために

認知だけしてもらえばいいと思ってたけど

いくら私が他に何もいりませんという念書を書いたところで

遺産の相続権や養育義務が生じるらしくて

彼の家族にまで影響してしまうし

それはさすがに罪悪感にかられるし

ずっと他の方法を探していた

自分の親の実子として届けてしまえば

普通に国籍は取れるし

こちらでも記録と日本での手続きがどうなってくるのか

また難しいところみたいだけど

弁護士さんが方法を探してくれている


こっちで自分の子供として育てるけど

戸籍上は自分の弟だか妹だかになってしまうのは

ちょっと変な感じ


彼に認知してもらうと

そのときまた彼と話さなければならないし

またいっぱい傷つけられるんだろうな~と思ってたから

これでもう彼と完全に切れてしまえると思うと

ちょっと気が楽になった


前と同じようにではないけど

やっぱり彼のことをどこかで愛してる自分がいて

でも、彼のことを愛してるから

彼に傷つけられるのが一番きついから

きっとこれでよかったのだ

もう何の連絡の必要もなくなったし

子供には父親は死んだのだと伝えればいい

彼にもその旨のメールを送ったし

これで完全に終わりだ


そしてまたしばらく泣くのかもしれないけど

これでよかったのだ




お財布をなくしてから

ずっと免許ないままで運転してて

新しい免許とりに行く時間がなかったんだけど

今日こそ取りに行こうと思っていたら

朝、保険のブローカーさんから電話があって

お財布を拾った人がそっちに電話してくれたらしかった


なくしただろうと思っていたスーパーのマネージャさんで

中に私の電話番号なんてなかったけど

車の保険のカードがあって

そこにあったブローカーの連絡先に電話してくれたようだ


もう10日近くたつし

あきらめていたから

びっくり


お財布が見つかったことは

半端じゃなく嬉しかったし

電話切った後で「きゃ~」って叫んでたけど(笑)

世の中いい人もいるもんだ~って思えて

それがとっても嬉しかった


仕事が終わってから受け取りに行くと

落し物係ではなく

マネージャーが自分のオフィスにわざわざよけてくれていて

IDもカードもお金も

全部もとのままだった


悪いことばっかり起きる時期なんだな~って思ってたから

いいことがあると

いつも以上に嬉しい

いいことが起きると

ほら悪運ばかりじゃないでしょ

子供だって大丈夫!って思えるから

お財布と子供と何の関係もないけど

それだけで心が強くなれる

単純だな~



明日の朝はお休みだから(夜は仕事だけど。。。)

とりあえず夜更かししても朝寝しても何の問題もない

そう思うだけで、ちょっと気が楽


忙しいときは

きつくってしょうがないのに

時間があると

なんとなく嫌なことを考え始めて

時間がないほうがいいのかな~とも思ったりするけど

やっぱり休息が欲しいし

いい加減、疲れも限界にきてるし

お気に入りのお茶を入れて

お気に入りの本でも読むことにしよう

(あ、お洗濯とお掃除も。。。)


なんとなく腹痛は治まらなくって

ずっとしくしくと痛むけど

でもこの前みたいに立てないほどの腹痛でもないから

きっと悪阻の続きなんだろうな~

いい加減安定期だってのに

悪阻もなくなるはずだってのに

でも、たまにずっと悪阻が続く人もいるっていうし

私はそのタイプなのかな~

ちょっとお腹出てきたかな?と思うくらいになってきたけど

その前に体重かなり落ちてしまってたから

今までの服がまだまだ普通に着れるし

周りの人が見ても何も気づかない程度だけど。。。

でも、ちょっと嬉しい


体調が悪いのは

なんとか我慢できるけど

ふとしたときに

すさまじく不安になることがあって

それだけはどうしようもない


子供を持つことの不安ではなくて

もし体が持たなかったらどうしよう

もしかして子供産むために自分が死んじゃったら

子供は私なしでどうしたらいいんだろう

自分が死んでしまうのは平気だけど

もし子供だけ残ってしまったら

子供はどうやって生きていけるんだろう


そんな不安がよぎるたびに

私は大丈夫

ちゃんと元気な子供を産める

私だってもっと健康で元気になる

そう自分に言い聞かせて

子供を腕に抱いたときの幸せを想像して


それでもどうしようもなく怖くなるときがある


私は自分があんまり健康ってわけじゃないし

だからちょっと不安になるけど

もっと健康な人だって

ずっと子供が欲しかった人だって

いきなり不安になることはあるみたいだし

気持ちが不安定になるのは

多くの妊婦さんが普通に経験することらしいから

私はただその過程にいるだけで

ホントは不安になるような悪いことなんて

何もないんだよ、と

自分に言い聞かせる


そういうときは

名前を考え始める

違うことを考えていれば少しは落ち着くから

ファーストネームを英語でミドルネームを日本語にして使い分けるか

最初から日本語でも英語でも通じる名前にするか

どっちにしてもいつも女の子の名前ばかり考えてる(笑)

女の子が欲しいな~

男の子でもいいけど

選べるんなら女の子選ぶな~

そんなことを考えていると

楽しくなるから

だから私は大丈夫


あ~、でもいい加減腹痛も治まらないかな~

子供産んでしまえばおさまるか。。。

(あ、前からしょっちゅうあるし、子供産んでも関係ないか。。。)


とりあえず時間がある時に

必要なもの少しずつ作っていけるといいな~

そしてすでにベビーベッドを作ろうと思って

材料そろえたし(笑)

私は一人でそんなに余裕があるわけじゃないし

チャイルドシートとかは絶対に買わなきゃどうしようもないし

だから作れるものは自分で作らなくっちゃ

そう思って作ろうと思ったけど

作ってるのもなんだか楽しいし

うん、なんか逞しいぞ(笑)


ほら、私は大丈夫