「新型インフルエンザA(H1N1)対策のための事業継続計画」の検証 | 京都で働くコンサルタントのブログ
新型コロナウイルスに関する情報について

「新型インフルエンザA(H1N1)対策のための事業継続計画」の検証

皆さん、こんにちは。
(株)マネジメント総研の小山です。


新型コロナウイルス感染症が世界規模で流行する事態となり、
WHOの事務局長から「パンデミック」という言葉が発せられました。

WHOが「パンデミック」という言葉を用いて警戒を表明したのは、
2009年の新型インフルエンザ(H1N1)以来となります。

この新型インフルエンザ(H1N1)に関する2009年7月までの情報を踏まえ、
2009年9月に中小企業庁より「新型インフルエンザA(H1N1)対策の

ための事業継続計画」資料が編集・発行されています。

この「事業継続計画」資料は、新型インフルエンザの大流行に対応した
事業継続計画を策定する際の考え方を整理したものです。

今回は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、
この「事業継続計画」資料の有効性を検証したいと思います。

以下、この「事業継続計画」の章立てに沿って確認していきます。


> 1.新型インフルエンザA(H1N1)への対応について
> [1] 新型インフルエンザA(H1N1)の概要

・新型インフルエンザA(H1N1)の特徴が記載されています。
 > ・感染すると発熱、咳、頭痛、倦怠感などの症状がでる
 > ・基本的に免疫を持っている人がいない
 > ・基本的に免疫を持っている人がいない
 > ・既存のワクチンがない

 など、新型コロナウイルス(COVID-19)も似た特徴が多いことから、
 この「事業継続計画」資料をもとに自社の感染症BCPを作成していれば、
 新型コロナウイルスについても準用できるものと考えられます。


> [2] 政府及び企業の対応
・「(1) 政府の対応」には「企業などへ呼びかけていること」として、
 > ・外出については、自粛要請は行わない
 > ・集会、スポーツ大会などは、一律に自粛要請を行わない
 > ・企業に対しては、事業自粛の要請を行わない。など
 > ※ただし、感染機会を減らすための工夫を検討するよう
 >  呼びかけは実施する

 と書かれています。しかし、今回の新型コロナウイルスでは、
 自粛要請が出されているため、今回の方が深刻な状況と言えます。

・「(2) 企業の対応」には「職場における感染防止策」として、
 > ・手洗いの徹底
 > ・通勤方法変更の検討
 > ・健康管理の呼びかけ
 > ・職場の清掃や消毒の実施
 > ・感染した場合の職場への連絡の徹底
 > ・感染が判明した時の対応の周知

 について記載されており、新型コロナウイルスにおいても
 準用できる内容と考えられます。

・また、以下の記載についても、準用できる内容と考えられます。
 >○集客施設の利用者への感染防止策
 > ・発熱症状のある方などの利用はご遠慮いただく
 > ・利用客が多くない場合に利用客間の席を離す
 > ・利用客が施設内で発症した場合に備える
 >○保育施設などが休業となった場合の配慮
 > ・育児や介護のために休まざるを得なくなった従業員に対して、
 >  休暇取得や短時間勤務、在宅勤務などを認めることを検討
 >○基礎疾患(糖尿病、ぜん息など)がある従業員への配慮
 > ・基礎疾患のある従業員を把握し、感染防止策を徹底
 >○濃厚接触者への対応
 > ・保健所からの指示に従う
 >○従業員個人や従業員の家庭における感染防止策
 > ・咳エチケット
 > ・手洗い・うがい
 > ・感染者との距離の保持
 > ・マスクの着用

 

> [3] 新型インフルエンザにおける事業リスク
・想定すべき影響として以下のようなことが記載されていますが、
 新型コロナウイルスにおいても、ほぼ当てはまると考えられます。
 > ・感染拡大期などでは、「人」の確保に支障が生ずる可能性が高くなる
 > ・電気、水道、ガス、通信などのインフラには大きな問題は生じない
 > ・広域での感染拡大により、部品や材料などの確保が困難となる
 > ・世界的規模での感染拡大に対して、海外事業の継続方針や
 >  日本人従業員の帰国・滞留なども検討が必要

・これに加え、「経済活動の停滞に伴う資金繰りの問題」、
 「キーマンの感染・濃厚接触による意思決定・業務への支障」、
 「世間の価値観に反する行為による信用喪失(倫理面での問題)」
 などが考えられます。


> 2.事業継続計画について
> [1] 事業継続計画の概要

・「代替策の例」として記載されている以下の内容は、
 新型コロナウイルスにおいても準用できると考えられます。
 > 【1】複数班による交代勤務
 >  (勤務班と自宅待機班に分類して、一定期間ごとに交代する)
 >  (勤務班の中から感染者が出た場合、 自宅待機班に交代する)
 > 【2】在宅勤務
 > 【3】クロストレーニング
 >  (1人の従業員が複数業務をこなせるようにトレーニングする)


・また、「有事の際の必要資金の確保」として記載されている
 以下の内容も、ほぼ当てはまると考えられます。
 > ・通常の営業収入が確保できなくなる場合に備えて、
 >  有事の期間に発生する費用(従業員の給与、建物の賃借料など)
 >  を概算し、これをまかなうために必要な資金を確保する方策を
 >  考えておく必要がある。
 >  (通常の状態に戻るまでの運転資金の確保が重要)


 
> [2] 事業継続計画の運用
・「事業継続計画の周知・徹底、メンテナンス」について
 記載されていますが、これについては特別異なる要素はない
 と考えます。


以上のことから、この「事業継続計画」資料は、
新型コロナウイルス対策としても多くの事項が準用可能であり
有効である、と考える次第です。


▼新型インフルエンザA(H1N1)対策のための事業継続計画
 (経済産業省中小企業庁 経営安定対策室、2009年9月)(PDFファイル)
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/influenza/download/A_H1N1_BCP.pdf