「資料の完成度を上げれば、決裁はもっと早く降りるはずだ。」
もしあなたがそう信じて、徹夜でグラフの微調整やデータの補強を繰り返しているなら、その努力は残念ながら逆効果です。
皮肉なことに、資料が完璧(100点)であればあるほど、決裁のスピードは落ちていきます。なぜなら、完璧な資料は、受け手である役員に「俺が口を出す隙がない=俺の責任で何かあったら困る」という強烈な「保身本能」を呼び起こさせてしまうからです。
決裁のスピードを決定づけるのは、スライドの枚数でもデータの正確性でもありません。会議が始まる前にどれだけ「地雷」を撤去したかという、根回しの質です。
「根回し」を、前時代的な遺物だと思っていませんか?
合理性を愛するエリート層ほど、「根回し」という言葉を毛嫌いします。「裏でコソコソ調整するのは、仕事ができない人間のやることだ」と。
しかし、組織図の裏側に流れる「インビジブル・ガバナンス(見えない統治)」の視点で見れば、根回しほど合理的なリスク・マネジメントはありません。
根回しとは、相手に媚を売ることではなく、相手の「脳内にある不安(変数)」を事前に特定し、あらかじめ解毒しておく作業です。
「会議」は、意思決定の場ではない
有能な参謀にとって、決裁会議は「相談する場」でも「議論する場」でもありません。単なる「確認の儀式」です。
会議の席で初めて見る資料に対して、役員は反射的に「何か欠点を見つけて指摘しなければ(自分の存在価値を示さなければ)」というモードに入ります。これがスピードを殺す最大の要因です。
本物のプロは、会議の3日前に勝負を終えています。
- 「実はまだ素案なのですが、部長のご意見を伺いたくて…」と、完成前に持ち込む。
- 相手が気にしそうな「リスク」をあえて先に口にし、「対策はこう考えています」と安心を売る。
- 「これは部長のあのアドバイスを反映したものです」という事実を、関係者に共有しておく。
このプロセスを経た会議では、役員は「あぁ、例のあれね。進めていいよ」と、判子を突くだけの存在に変わります。これが、組織を「盤面」として支配するということです。
資料職人(業者)から、組織を動かす「参謀」へ
深夜までかかって作った100枚のスライドよりも、トイレですれ違った時に交わした「30秒の共有」の方が、決裁を早めることがあります。これを「不条理だ」と嘆くのか、「使い勝手の良い変数だ」と利用するのか。
後者を選べる人間だけが、組織という巨大なマシーンを意のままに操る資格を持ちます。
資料の質を追求する「職人(業者)」の座を降りてください。そして、相手の「保身本能」を先回りして無力化する「参謀」の座に就いてください。決裁は、驚くほど軽やかに降りるようになります。
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では。