7月29日付となっているので、既に他の方々がブログで取り上げられているかもしれませんね。
緊急声明(一部を転載)
すでに報道されておりますように7月24日アラガンジャパン社から乳房再建用のティッシュエキスパンダーとテクスチャードインプラントの販売停止が発表されました。これは米国FDAの指示によりアラガン社がグローバルに指示を出したことによるもので、乳房再建において保険適用となっているインプラントが同社製品しかないわが国においては、重大な事態になったと認識しております。
出典:日本乳癌学会HP
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日本で保険適用となっているインプラントは、アラガン社の製品一択だったのですね。
恥ずかしながら知りませんでした。
私は乳がんに罹患するまで、治験薬関連の仕事をしていました。
患者さんからすれば、治験の段階で分からなかったのかとお思いになると思うのですが、臨床試験というのは規模(被験者数、フォロー期間)に限界があって、販売されて大規模に使われるようになって初めて分かることがある、という場合がある頻度でどうしても出てきます(※もちろん、必ずしも出てくるというわけではありません)。
期間の話ですと例えばですが、フォローアップ期間の2年では何も見られなくても、発売されて5年10年と長期的に服用(使用)すると、何か出てしまうことが実際にあります。発売の時点で予測することが不可能に近いのです。(そのため、製薬会社各社は市販後調査を行い、定期的に行政に副作用情報を報告しています)
市販後に何か不都合が見られて、中止になった製品は割とたくさんあると思います。
規模の話をすると、例えば100人で臨床試験をした時には出なかったものが、市販後、何万、何十万人に投薬された時、はじめてみられる作用がある、というケースが実際にあるのです。
限界。。。
安全性の確認のためには、症例数を多くし、フォローアップ期間も長い方がいいのはその通りです。しかし、いついつまでも臨床試験をやっていては、その薬なり医療機器が患者さんに届くまでの時間が長くなってしまいます。その薬や機器の承認販売を心待ちにされている患者さんもおられる訳です。命が掛かっていることもある。製薬会社も国も、このリスクを最小限に食い止めたいと、日々、努力しているんです(当然の義務と言われればそれまでですが)。
代替のインプラントが日本で最速で承認され、再建の際の選択肢となることを願ってやみません。