映画の話(2) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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アニメ映画もいいですなあ。宮崎駿監督の「もののけ姫」は最高でした。そして再考でした。物語はもちろんですが、主題の設定が抜群で、さらに私のこだわりに響くものがありました。それは、包帯で全身を覆った病者が登場したからです。エボシ御前は、タタラ場で作業している包帯で巻かれた人々の病気は「業病」である、と表現しました。「業病」には、難病・直りにくい病気という意味も含まれますが、ここではハンセン病のことを指していると思われます。実際、患者は差別の対象であり、社会から排斥される存在であり、特に近代以降にその傾向が顕著になりました。特に、明治時代、ハンセン病患者を隔離する法律が作られ、患者は強制的に隔離施設へ収容されることになったのです。それは、公権力による合法的な差別であり、ハンセン病患者に対するいわれなき偏見が増幅される素地にもなっています。そのため、ハンセン病は治る病気であることが分かった後も、偏見は長い間色濃く社会に残っています。東京都の東村山市には、「全生園」というハンセン病患者の収容施設があります。宮崎駿氏の語録には「『全生園』に行ってごらん。それまでの人生観が変わるから」というくだりがありますが、氏がハンセン病をよく理解しようとしていたことがうかがわれます。以前も書きましたが教師になってから観た「砂の器」そして大学時代に観た「パピヨン」、そしてこの「もののけ姫」を通して私の人権に対するこだわりはますます強くなっていきました。