「居場所」でありたい
テスト期間に感じたこと
連日、子どもたちはテスト対策に奮闘しています。
授業だけでなく、自主的に塾にやってきて集中して勉強する子たち。
先週末なんて、土日で合計20時間以上勉強したツワモノもいました。
私も気合いを入れようと、毎朝、通勤中は尾崎豊の曲を聴いて出勤しています。
16歳の時に彼と出会い、
尾崎豊が大好きで、
尾崎豊に憧れて
尾崎豊になりたくて、
尾崎豊になれなかった、
ただのおじさんですが。
「15の夜」「十七歳の地図」
「シェリー」「卒業」の
エンドレスリピートです。
「15の夜」の歌詞に、こんな一節があります。
「
しゃがんでかたまり 背を向けながら
心のひとつも分かり合えない大人たちをにらむ
そして仲間たちは家出の計画を
たてる
とにかくもう学校や家には
帰りたくない
自分の存在が何なのかさえ
わからず震えている 15の夜
」
この歌を聴いて、ある男の子を思い出しました。
中学3年生、15歳のAくん。ちょっとやんちゃだけど、塾では真面目に頑張っていました。
ある夜、そろそろ12時になろうという頃、誰かが塾に入ってきました。
「こんな時間に誰や…」と思ったら、なんとそのAくん。
「どうしたん?こんな時間に」
「いや、ちょっとオカンとケンカして…。家を出たけど、行くとこなくて。塾ならスーさんおるかなって」
「あほか、まぁここならええけども」
すぐお母さんに連絡して、
色々話を聞いてから
彼を家まで送っていきました。
そのとき「15の夜」を彼に唄って聴かせたんです。
唄い終わると、「むっちゃええ歌やん!」と感激していました。
「せやろ?今のお前みたいやろ」
この出来事で、「家や学校に居場所を感じられない子たちの、居場所でありたい」と強く思うようになりました。
つい先日も、あるお母さんからLINEが入りました。
「スーさんすみません、B子、家でちょっとあって…。そちら向かってます」
普段は送迎距離のお家なのに、この炎天下、自転車で塾にやってきたB子ちゃん。汗だくになりながら。
こんなとき、
私は「存在承認」しかしないと決めてます。
「錦鯉」の右か左のどっちかの人のように(笑)、
「こーーんにーーちわーー!!」と満面の笑みで迎えます。
「どないしたん、汗だくやん!」と団扇を貸して、こう続けます。
「勉強にならんかったら、汗ひくまでちょっと涼んどき。でもな、こんな炎天下に、こんな遠いとこから自転車で来てくれたんやろ?それだけでスーさん、めっちゃ嬉しいわ!」
B子ちゃんに言いました。
「そっかー、オカンとモメたんかー?いいぞいいぞ!反抗もできへんようじゃ、立派な大人にはなれん!」
「だいたいな、キミのオカンも、キミくらいの頃には、もっとおばあちゃんに反抗してたで、知らんけど(笑)」
「でも今は、立派なお母さんになってるやろ?だからキミも大丈夫や」
「それに、テスト期間やから、こうやって昼から塾に来てくれたんやろ?ほんま、すごいで。さぁ、一緒に頑張ろ!」
昨日は昨日で、保護者から「スーさん、うちの子ヤバいです」とのヘルプ。
C太郎くん、テストの提出物が全然できておらず、フロントヘッドロック気味に(笑)、16:30から21:30まで5時間かけて一緒に仕上げました。
「C太郎!ほれ、やればできるやろ!明日、胸張って提出してこいや!」
「はいっ!」
オール5からオール1まで
生徒会長から非行少年まで
学年トップから“ビリギャル”まで
エースで4番から帰宅部まで
にぎやかな子も、おとなしい子も
絵が好きな子も、優しい子も——
いろんな子が、ここに通ってきてくれています。
そして、どの子にとっても、ここが「居場所」になれるように、
今日も私は尾崎を聴きながら、教室へ向かっています。


