serialnumber「神話、夜の果ての」 | 気のむくままに

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観劇日記の様になってますが、気になりましたら、読んで頂けますと嬉しいです。

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@シアターウエスト

【脚本 演出】詩森ろば


【出演】坂本慶介、川島鈴遥、田中亨、杉木隆幸、廣川三憲

やっぱりとても重かった‥宗教2世の話。

八百屋舞台の真ん中に置かれた一台のベッド。
シンプルなセットにライティングが美しい。

ベッド上でミムラ(坂本慶介)が語る。彼は母に連れられカルト宗教の施設に10歳で入れられた。隔絶された所で満足に食べさせてももらえず、虐待を受け、特殊な価値観を植え付けられ、心と身体で通じあった少女は引き離され自殺。
彼は施設を出た何年か後に教祖と母を殺してしまう。
ずっと母のことを考えて続けて生きてきた彼の引き金は母だった。
精神を病んでいるのか、責任能力はあるのか?


2人を刺した後、彼は拘置所の病院に収容される。彼の国選弁護士クボタを田中享さんが。クボタも同じカルト宗教の2世。彼は祖母により救われたが。

夢の中で僕は3日に1回母を殺し、3日に1回母を犯し、3日に1回母から産み落とされる。
何回かミムラが言う言葉だが、最後に聞いた時闇の深さに苦しくなりすぎた。

話の結末に向かうほど救いがない。何故?ミムラは殺人を犯したのかと心の闇を探れば探る程、正解はわからなくなる。
明けない夜があり、何もできないと思い知る。そして、犠牲者はこどもなんだよなあ。

一方的に喋る、話の全く噛み合わない人に、そこに母も含まれることに凄い嫌悪感。

初めましてと思ったらエンジェルスインアメリカのジョー役だった坂本慶介。かなり印象が違うがとても良い。

初めましての川島鈴遙さん、最近良く観る田中亨さん、若者3人の危うさや無垢さ。
刑務官、カルト集団の子ども達の教官の杉木隆幸さんの狂った怖さ、精神科医、教祖の廣川三憲さん深みのある声と芝居。5人のバランスが絶妙でした。