・劇場版 ポケットモンスター みんなの物語
予告編その1。本編にないシーンしかない。
予告編その2。こっちは大体あってる
ポケモンマスターを目指す旅すがら、サトシとピカチュウが偶然訪れたのはルギアが毎年風を届けにやってくるという街、「フウラシティ」。年に一度、ルギアがやってくるのを祝うべく、フウラシティは街をあげて「風祭り」を催していた。時を同じくしてやってきていたのは、ホラふき男のカガチ、弟に頼まれてポケモンを探しにやってきたちょっと顔のケバい少女・リサ。彼らもまた、この街に来たのにはそれぞれの理由があった。
もちろんフウラシティに住む住人にとっても風祭りは大切なもので、市長の娘・ラルゴ、ポケモン研究家の青年・トリト、ポケモン嫌いのおばあさん・ヒスイらも、それぞれ思い思いに過ごしていた。今はまだ、お互いの顔も知ることもなく……。
姪にいいところを見せようと意気込んだカガチは、偶然知り合ったトリトの協力を仰いで、サトシと争ったゲットレースで見事好成績を収める。その際インタビューで「この街には珍しいポケモンがいると聞いて、ゲットしにやってきた」と例によってホラをふいてしまうが、偶然それを訊いたラルゴとヒスイは微妙な反応を見せる……。
前作までほぼ不動だったスタッフは総とっかえとなり、全作品で総監督を務めていた湯山邦彦氏はスーパーバイザーに。
キャラクターデザインも前作までとは大きく異なるものになっています。人間はともかく、ポケモンの絵柄も結構違うのは驚き。
TVシリーズとは関係ないパラレルワールドなのは前作と同様ですが、アニメ第一話を意識しながらも色んな世代のポケモンが満遍なく登場していた「キミにきめた!」とは異なり、ゼラオラを除いて金銀までの、いわゆる第二世代までのポケモンしか出てきません。そういや「ポケットモンスター、縮めてポケモン……」から始まる、お約束のオープニングのナレーションもなかったな。
すまん!予告編見た感じ地雷だと思ってた!「なにやりたいんだか全然分からん」とか思ってた!
これが最大の特徴にして特長だと思うのですが、今回通算21作目にしてサトシが出会った幻のポケモンと強力して困難に立ち向かうという決まりきった構成が破られ、予告編の通り、様々な年代の様々な立場の人々が協力する、という展開が鮮明なものとなっていました。そういう意味でも、是非家族で観たい、3世代で観たって構わない作品というキャッチコピーをつけても良い代物です。
というか逆にこれ、小学生には難しくない?風力発電の仕組みとか、比重が重いガスだとか……詳しくはネタバレになるので割愛しますが。
考えてみれば、もう親御さんも子どもの頃からポケモンに親しんでいた年代に突入しつつあるわけで、またポケモンGOを一番熱心にやっているのは50代以上の年齢層であるとも言われています。もはやポケモンは子どものものだけではないという現況に見事に応えた作品であったと言っても過言ではないでしょう。去年やれ
っていうか理屈をこねくり回す以前の問題として、話が面白かったからね?
ルギアにまつわる伝説を残す、近未来的ながらも不思議な雰囲気を残した街。お祭り騒ぎの中で同時進行で描かれていく、各人たちの悩みや葛藤。決して一致団結というわけではないけど、みんなそれぞれに頑張ってるんだ、ということを強く意識させられるクライマックスは、説教くさくなくて、逆にグッとくるものがありました。コミュ障のトリトにはかなり感情移入させられてしまった。
あと秋口に「ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ/イーブイ」の発売が控えているのもあるんでしょうけど、ポケモンを持ってない少女・リサがサトシとピカチュウの協力の元、初めてのポケモンとしてイーブイをゲットするという、今までありそうでなかったシーンが描かれたのも新鮮でした。
面白そうだよなーこれホント
20年続いたマンネリを解消し、しかもそれでいて違和感のないものをこさえたという事実に深く感謝。来年は「ミュウツーの逆襲」のリメイクがほのめかされていましたが、これまた期待していいんじゃない?