4月の孫の小学校入学に合わせて練馬区に滞在し、西武池袋線の大泉公園駅近くにある牧野記念庭園に訪れました。昨年の朝ドラのモデルになった牧野富太郎博士(1862-1957)の邸宅だったところです。ドラマ『らんまん』の内容については私が云々することもなく、日本の植物分類学の父とされる牧野博士と奥様壽衛(すえ)さんの物語です。

 

 

ここ練馬に居を構えたのは大正15年(1926年)だそうで、当時は野っばらと雑木林だった土地に鉄道が通り、先生がどこまで利便性を想像したかはわかりませんが、西欧に通じた博士ですからいい意味で開発された田園地帯の未来を想像したのかもしれません。

 

回りの環境に合わせ剪定されている気が多かったのですが、
この松だけはぐいぐい伸びていました。

 

ともかく野趣豊かであった大泉(北豊島郡大泉村)の地に居を構え、昭和32年に94歳で生涯をとじるまで、ご自分の庭をこよなく愛し大切にしたそうです。今ではその庭と住居がそのまま記念館として残され、特に住居 というか書斎が展示用に手が入れられすっかりその時代にトリップした感覚に陥ります。

 

“スエコザサ”に包まれるようにして立つ牧野富太郎博士

 

庭園には、約300種類の草木類が生育しており、それらのなかには奥様壽衛さんから命名された“スエコザサ”や“仙台屋せんだいや”というちょっと変わった命名がされたサクラなどの珍しい種類の植物も数多くあります。そういえば壽衛役を魅力いっぱいに好演された浜辺美波はすばらしい俳優さんですね。お花のような方でした。

 

 

今はすっかり様子が変わった大泉周辺ですが、この一角だけは雑踏が届かず、時もゆったりと流れている気がしました。ボランティアさんの応募が途切れないというのもうなずけます。この日も10人くらいで勉強会が開かれていました。植物に関心を寄せる人は多いですね。

 

 

東京の歴史は江戸徳川家からの歴史ですが、近現代もどうしてなかなか見どころがあります。各自治体によって大切に保護・保存されているのは勿論ですが、市民の参加が見逃せないと思っています。広く意見を取り入れ最大公約数的に税金を使っている気がします。生まれ育った地ですが、あらためて東京のよさを感じました。

 


コーヒー好きで毎朝コーヒーとジャムをたっぷり乗せたトーストを食べていたという牧野博士。
庭園の隅にコーヒーキッチンカーが来ていて、このカップホルダー付きで販売されていました。
ご夫妻が描かれていて、捨てられずに持って帰りました。

 

右側にのの字のマークがありますが、これは博士が考案した「まきのマーク」だそうです。
ユーモアのセンスもバッチリですね。

 

練馬区牧野記念庭園 https://www.makinoteien.jp/ ちょっとした時間にぜひ