Webコンサルタントの松崎です。

 

これまで「自分でできる!SEOセルフチェック」シリーズでは、常時SSL対応やページ表示速度、スマートフォン対応、ページタイトル、画像のalt属性、見出し構造などについてお伝えしてきました。

今回は、Webサイトの回遊性と検索順位に大きく影響する「内部リンク」について詳しく解説します。

内部リンクとは?

 

内部リンクとは、同じドメイン(同じWebサイト)内のページ同士をつなぐリンクのことです。

例えば、トップページからお問い合わせページへのリンクや、ブログ記事内から別の関連記事へのリンクなどが内部リンクにあたります。

 

一方、他のWebサイトへのリンクは「外部リンク」と呼ばれ、こちらも重要ですが、今回のテーマは自社サイト内での内部リンク構造についてです。

 

内部リンクは大きく分けて2種類あります。

  • ナビゲーションリンク
  • コンテンツ内リンク

ナビゲーションリンク

メニューやフッターなど、サイトの基本構造としてほぼすべてのページに共通して設置されるリンクです。

 

コンテンツ内リンク

記事や本文の中に設置される、関連するページへのリンクをいいます。

 

この両方をバランスよく設定することが、効果的なSEO対策につながります。

なぜ内部リンクがSEOに重要なのか?

内部リンクがSEOにおいて重要である理由をいくつか見ていきましょう。

1. 検索エンジンのクロール効率を高める

Googleなどの検索エンジンは「クローラー」と呼ばれるプログラムを使って、Webサイトの内容を巡回・収集しています。このクローラーはリンクをたどってページを発見するため、適切な内部リンク構造があると、サイト内のすべてのページが効率よくクロールされるようになります。

 

特に新しく追加したページや更新したページへの内部リンクがあると、クローラーがそれらのページを素早く発見し、インデックス(検索データベースへの登録)されるスピードが向上します。

 

例えば、ブログ記事を新しく公開した場合、トップページやカテゴリーページからその記事へのリンクがあると、クローラーはすぐに新記事を発見できます。リンクがない「孤立したページ」は、発見されにくく、検索結果に表示される機会も減ってしまいます。

2. ページ間の関連性を示す

内部リンクは、ページ同士の関連性を検索エンジンに伝える重要な手段です。

例えば、犬のしつけに関する記事から犬の健康管理に関する記事へリンクすることで、それらのページが関連トピックであることを示すことができます。

 

これにより、関連キーワードでの検索結果での表示機会が増え、サイト全体としての専門性や権威性も向上することが期待できます。特に特定分野のコンテンツを充実させているサイトでは、関連ページ同士を適切にリンクすることで、その分野での評価が高まることが考えられます。

3. リンクジュースの適正化

SEOでは、各ページが持つ評価の力を「リンクジュース」と呼ぶことがあります。外部サイトから多くリンクされている強いページは、内部リンクを通じてその評価の一部を他のページに分配することができます。

 

例えば、あなたのサイトのトップページが外部から多くリンクされている場合、そのトップページから重要なサービスページや商品ページへ内部リンクを設置することで、それらのページの評価も向上させることができます。

 

この「リンクジュースの分配」を戦略的に行うことで、重要なページの検索順位を効果的に向上させることが可能です。特に新しいページや、まだ外部からのリンクが少ないページへの評価を高める手段として有効です。

4. ユーザーの使いやすさ向上

SEOは検索エンジンだけでなく、ユーザーの使いやすさも重視します。

適切な内部リンクはユーザーがサイト内をスムーズに移動し、必要な情報を見つけやすくするのに役立ちます。

 

関連性の高いコンテンツ同士をリンクすることで、ユーザーの滞在時間が延び、ページの閲覧数が増えることが考えられます。これらの指標はユーザー満足度の高さを示すもので、間接的にSEO評価にも好影響を与えることが期待できます。

 

例えば、料理レシピのサイトで「カレーの作り方」の記事から「スパイスの効果的な使い方」や「おすすめのルウ比較」などの関連記事にリンクすれば、ユーザーはより深く知識を得ることができ、サイトへの信頼も高まります。

5. キーワードとの関連付け

内部リンクの重要な側面として、アンカーテキスト(リンクテキスト)があります。

アンカーテキストは、リンク先のページの内容やキーワードとの関連性を検索エンジンに伝えるのに役立ちます。

 

例えば、「東京の中古マンション相場」というテキストからリンクを張ることで、リンク先のページが「東京の中古マンション相場」に関する内容であることを検索エンジンに教えることができます。これは、そのキーワードでの検索順位向上に影響を与えることがあります。

 

適切なアンカーテキストを使用した内部リンクは、サイト全体のキーワード戦略を強化する重要な要素となります。

効果的な内部リンクの設定方法

SEOに効果的な内部リンク構造を作るためのポイントを見ていきましょう。

1. サイト構造を考慮したリンク設計

理想的な内部リンク構造は「ピラミッド型」や「サイロ構造」と呼ばれる階層的な構造です。

トップページから重要なカテゴリーページへ、カテゴリーページから個別のコンテンツページへ、という流れでリンクが設計されていると、検索エンジンとユーザーの両方にとって理解しやすい構造になります。

 

重要なポイントは、どのページからも少ないクリック数(理想的には3クリック以内)で目的のページに到達できることです。これにより、クローラーの効率的な巡回とユーザーの使いやすさの両方が向上します。

 

例えば、Eコマースサイトであれば以下のような構造が考えられます。

 

トップページ → 商品カテゴリー → サブカテゴリー → 個別商品ページ

 

また、関連性の高いカテゴリー同士を横断的にリンクすることも効果的です。

2. アンカーテキスト(リンクテキスト)の最適化

アンカーテキストは、リンク先のページの内容を端的に表す言葉を使用することが重要です。「こちら」「詳細はこちら」のような一般的な表現よりも、リンク先の内容を具体的に示すテキストの方が、SEOとユーザビリティの両面で効果的です。

 

悪い例「詳しくはこちらをクリック」

良い例「中古マンション購入時のローン審査のポイント」

 

ただし、同じアンカーテキストを過剰に使用することは避けるべきです。自然な表現のバリエーションを持たせることで、不自然な最適化と見なされるリスクを減らせます。

 

例えば「東京の中古マンション相場」というキーワードでリンクする場合、別の箇所では「東京エリアのマンション価格情報」「首都圏における中古物件の相場」など、類似の表現を使い分けるとよいでしょう。

3. 関連コンテンツへのリンク

コンテンツ内で関連性の高いページへリンクすることは、ユーザーの使いやすさの向上とSEOの両方に影響を与えます。

特に以下のようなリンクが効果的です。

  • -同じトピックに関する発展的な内容のページ
  • -前提知識や基礎知識を説明するページ
  • -具体例や事例を紹介するページ
  • -関連する商品やサービスのページ

例えば、「犬のしつけ方」に関する記事なら、「子犬の甘噛み対策」「犬の分離不安への対処法」「しつけに役立つおすすめグッズ」などの関連ページへのリンクが有効です。

 

重要なのは、リンクがユーザーにとってわあかりやすくて価値あるものであることです。無関係なページへのリンクは、ユーザーの混乱を招き、信頼性を損なう可能性があります。

4. 重要ページへの戦略的なリンク

特に検索順位を向上させたいページがある場合は、そのページへの内部リンクを意識的に増やすことも戦略の一つです。

 

例えば、新しく力を入れているサービスページの順位を上げたい場合、以下のような方法が考えられます。

  • -トップページの目立つ位置からリンクする
  • -関連する既存の人気記事からリンクする
  • -サイドバーやフッターなど、多くのページから共通して見えるナビゲーションに追加する

この際も、様々なアンカーテキストを使い分け、自然な形でリンクすることが重要です。

5. コンテキストを考慮したリンク配置

リンクは文脈に合った自然な位置に配置することが望ましいです。単に記事の最後に「関連記事」としてリンクを列挙するよりも、本文の関連箇所からリンクする方が、ユーザーとSEOの両方に効果的です。

 

例えば、「断熱材の種類と特徴」という記事で、あるタイプの断熱材について説明している段落から、その断熱材を使った「実際の施工事例」へのリンクを設置するなど、コンテキストに沿った配置を心がけましょう。

内部リンクのセルフチェック方法

自分のサイトの内部リンク構造が適切かどうかを確認する方法をいくつか紹介します。

1. サイトマップの確認

まずはサイト全体の構造を把握するために、サイトマップを確認(または作成)しましょう。サイトマップを見ることで、各ページがどのように接続されているか、アクセスしにくい「孤立したページ」がないかをチェックできます。

2. Google Search Consoleで確認

Google Search Consoleの「リンク」レポートでは、サイト内部のリンク数が多いページや少ないページを確認できます。特に「内部リンクが最も多いページ」のレポートは、どのページが重視されているかを示します。

 

意図せず重要でないページに多くのリンクが集まっていないか、重要なページへのリンクが少なすぎないかをチェックしましょう。

3. ヒートマップツールでユーザー行動を分析

Microsoft Clarityなどのヒートマップツールを使うと、ユーザーがどのリンクをクリックしているか、どの部分をスクロールしているかなどを視覚的に確認できます。

 

これにより、設置したリンクが実際にクリックされているか、効果的な位置に配置されているかが分かります。クリック率の低いリンクは、位置や表現を見直す必要があるかもしれません。

4. 個別ページのリンクチェック

各ページで、以下のポイントをチェックしましょう。

  • -適切な数の内部リンクが含まれているか(少なすぎても多すぎても不適切)
  • -リンクのアンカーテキストは内容を適切に表しているか
  • -関連性の高いページへのリンクになっているか
  • -ユーザーにとって価値あるリンクになっているか

特に重要なランディングページやコンバージョンにつながるページは、丁寧にチェックする必要があります。

5. 競合サイトの分析

自社と類似のビジネスを行っている競合サイト(特に検索上位にあるサイト)の内部リンク構造を参考にするのも有効です。

  • どのようなナビゲーション構造か
  • 記事内でどのように関連コンテンツをリンクしているか
  • 特に力を入れているページへの導線はどうなっているか

競合の良い点を取り入れつつ、独自の改善点を見つけることで、より効果的な内部リンク構造を構築できます。

よくある問題とその改善方法

内部リンクに関する一般的な問題とその改善方法を見ていきましょう。

1. リンク不足(孤立したページ)

サイト内のいくつかのページにリンクがほとんどない、または「孤立したページ」がある場合、それらのページは検索エンジンに発見されにくく、また訪問者にも見つけられにくくなります。

 

【改善方法】

  • 関連コンテンツからのリンクを追加する
  • カテゴリーページやタグページなど、ナビゲーション構造を見直す
  • 「関連記事」セクションを設置する
  • サイトマップを作成・更新する

特に重要なコンテンツが孤立していないか確認し、積極的にリンクを増やしていきましょう。

2. リンク過多(リンクの価値の希薄化)

一つのページから非常に多くのリンク(目安として100以上)がある場合、各リンクの価値が希薄化し、重要なページへのリンクジュースも分散してしまいます。

 

【改善方法】

  • 本当に必要なリンクに絞る
  • 長いフッターリンクなどを整理する
  • ページを分割し、関連するリンクをグループ化する
  • 特に重要なリンクを目立つ位置に配置する

適切なリンク数の目安は明確に決まっていませんが、一般的には1ページあたり50〜100リンク程度までに抑えるとよいでしょう。

3. 不適切なアンカーテキスト

「こちら」「詳細」「クリック」などの一般的なアンカーテキストや、逆に不自然にキーワードを詰め込んだアンカーテキストは、SEOとユーザビリティの両面で効果が限定的です。

 

【改善方法】

  • リンク先の内容を端的に表す具体的なアンカーテキストに変更する
  • 自然な文脈の中でキーワードを含めるようにする
  • 同じアンカーテキストの繰り返しを避け、バリエーションを持たせる
  • リンクテキストを見ただけでリンク先が想像できるようにする

4. リンク切れ(404エラー)

サイト内で移動や削除されたページへのリンクが残っていると、ユーザー体験が損なわれ、SEO評価も下がる可能性があります。

 

【改善方法】

  • -定期的にリンクチェックツール(Broken Link Checkerなど)で確認する
  • -リンク切れを発見したら、適切な新しいURLに更新する
  • -または301リダイレクトを設定する
  • -存在しなくなったコンテンツは、類似の最新コンテンツにリダイレクトする

特にサイトリニューアルを行った場合は、必ず全リンクのチェックを行いましょう。

5. モバイルとPC版の一貫性のなさ

レスポンシブデザインではないサイトで、PC版とモバイル版で内部リンク構造が大きく異なると、クローラーの混乱を招き、SEO評価に悪影響を与える可能性があります。

 

【改善方法】

  • レスポンシブデザインへの移行を検討する
  • PC版とモバイル版で同等のリンク構造を維持する
  • モバイル版で省略する場合も、重要なリンクは必ず残す
  • canonicalタグやalternateタグを適切に設定する

内部リンク最適化例

実際の内部リンク最適化の例を見ることで、効果的な戦略をより具体的に理解できます。

例1:ブログサイトのカテゴリー構造の最適化

改善前

「カテゴリーや関連記事へのリンクがなく、各記事が孤立している状態」

 

改善策

  • 明確なカテゴリー構造を構築し、各記事をカテゴリーに紐づける
  • 各記事の末尾に「同じカテゴリーの人気記事」セクションを追加
  • 本文中の関連キーワードから、関連記事へのコンテキストリンクを設置
  • サイドバーに「人気記事」「新着記事」リストを追加

改善効果

  • 記事間の関連性が強化され、ユーザーの回遊率が向上
  • 平均セッション時間が延長
  • 新規記事のインデックス速度が向上
  • キーワード間の関連性が強化され、様々な検索クエリでの表示機会が増加

例2:ECサイトの商品ページへの導線強化

改善前

「トップページから商品一覧への導線のみで、関連商品や人気商品への直接リンクが不足」

 

改善策

  • トップページに「売れ筋商品」「おすすめ商品」セクションを追加
  • 各商品ページに「この商品を購入した人はこんな商品も買っています」セクションを追加
  • ブログ記事内で言及している商品へ直接リンクを設置
  • 製品カテゴリページに「人気順」「新着順」などのソートオプションを追加

 

改善効果

  • 重要商品ページへのアクセス数増加
  • 商品ページからの直帰率低下
  • 顧客あたりの閲覧ページ数増加
  • 複数商品の購入率向上

例3:コーポレートサイトの重要ページへのリンク強化

改善前

「サービス詳細ページへのリンクがナビゲーションメニューのみで、コンテンツからの誘導が不足」

 

改善策

  • トップページの「選ばれる理由」セクションから各サービスページへ直接リンク
  • 事例紹介ページから関連するサービスページへのリンクを追加
  • ブログ記事内で関連サービスについて言及し、自然なリンクを設置
  • お問い合わせページへの導線を各ページの目立つ位置に配置

 

改善効果

  • 重要なサービスページのSEO評価向上
  • サービスページからの問い合わせ率の向上
  • ユーザーがサービス内容を理解した上での問い合わせが増加
  • 複数サービスへの興味喚起と横展開の促進

内部リンク最適化のまとめ

内部リンクはSEOの基本要素であると同時に、ユーザー体験を大きく左右する重要な要素です。適切な内部リンク構造によって、サイト全体の評価向上、ユーザーの滞在時間延長、コンバージョン率の向上など、様々なメリットが期待できます。

内部リンク最適化の重要なポイント

  • サイト全体の階層構造を明確にし、重要なページには多くのリンクを向ける
  • リンクのアンカーテキストはリンク先の内容を適切に表現する
  • コンテキストに沿った自然なリンクを心がける
  • ユーザーにとって価値のあるリンクを提供する
  • 定期的に内部リンク構造をチェックし、問題を修正する

内部リンクの最適化は、外部SEO対策に比べて自社でコントロールしやすい部分です。少しずつでも継続的に改善していくことで、長期的なSEO効果が期待できます。

 

内部リンク構造の改善は技術的な知識がなくても取り組めるSEO対策の一つです。特にコンテンツマーケティングに力を入れているサイトでは、既存のコンテンツ同士を適切にリンクするだけでも大きな効果が期待できます。

 

より詳しいWebサイトの診断方法については、「Webサイトが集客できない理由 - 10の自己診断法」をご覧ください。また、内部リンク構造を含めたSEO対策の専門的なサポートが必要な場合は、当社のSEO戦略を基礎としたWebコンサルティングサービスもぜひご検討ください。

 

SEOの内的要因を高めたい、内部構造を見直してSEOの精度を高めたい方、まずは現在の問題点や課題をお聞かせください。

 

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