Webコンサルタントの松崎です。
これまで「自分でできる!SEOセルフチェック」や「常時SSLの対応|自分でできるSEOチェック」、「ページの表示速度は十分に速い?|自分でできるSEOチェック」といったSEOのチェックポイントを紹介してきました。
今回は、現代のWeb集客において非常に重要な「スマートフォン表示の最適化」について詳しく解説します。
スマートフォン対応の重要性が高まる背景
インターネットアクセスの主流はパソコンからスマートフォンへと大きくシフトしました。
総務省の調査によれば、日本におけるインターネット利用端末の割合は、スマートフォンがPCを上回り、現在ではWebサイトへのアクセスの約70%以上がスマートフォンからと言われています。業種によっては90%を超えるケースも珍しくありません。
このような状況もあり、少し前になりますが、Googleは2019年から「モバイルファーストインデックス」を本格的に導入しました。
これは、検索エンジンがサイトを評価する際に、パソコン版ではなくスマートフォン版のページを主に参照するという方針転換です。つまり、スマートフォンでの表示が最適化されていないサイトは、たとえパソコンでの表示が優れていても、検索結果で不利になる可能性が高いのです。
スマートフォン対応が不十分なサイトのデメリット
スマートフォン対応が適切に行われていないサイトには、さまざまなデメリットがあります。
1. ユーザビリティの低下と直帰率の上昇
スマートフォンに最適化されていないサイトは、小さな画面での閲覧が非常に困難です。
文字が極端に小さくて読みにくい、リンクやボタンが押しづらい、横にスクロールしないと全体が見えないなどの問題があると、ユーザーはすぐにサイトを離れてしまいます。
Googleの調査によれば、モバイルフレンドリーでないサイトを訪れたユーザーのほとんどが、すぐに別のサイトに移動すると回答しています。また、スマートフォンで不便な体験をしたユーザーの半分は、「そのブランドに対する印象が悪くなった」と答えています。このように、スマートフォン対応は単なる技術的な問題ではなく、ブランドイメージにも大きく影響するのです。
2. 検索順位への悪影響
Googleはモバイルフレンドリーなサイトを明確に優遇する方針を示しています。「モバイルフレンドリー」とは、スマートフォンでの閲覧に適したサイトであることを意味し、Googleが定める一定の基準を満たす必要があります。
モバイルフレンドリーでないサイトは、検索結果で下位に表示されるリスクがあります。特に「モバイルファーストインデックス」の導入により、スマートフォン対応の重要性はさらに高まっています。たとえ内容が充実していても、スマートフォンで見づらいサイトは検索エンジンからの評価が低くなる傾向にあります。
3. コンバージョン率の低下
スマートフォンからの問い合わせや購入が多い現代において、スマートフォン対応が不十分だとビジネスチャンスを逃すことになります。例えば、入力フォームがスマートフォンに最適化されていないと、問い合わせのハードルが上がり、成約率が大幅に低下します。
あるECサイトの調査では、スマートフォンでの操作性向上に最適化したことで、モバイルからのコンバージョン率が34%向上したという結果も報告されています。特に若い世代はほとんどの情報収集や購買活動をスマートフォンで行う傾向が強いため、この層にアプローチするにはスマートフォン対応が必須と言えるでしょう。
4. コアウェブバイタルスコアへの影響
Googleが重視する「コアウェブバイタル」の測定は、モバイル版とデスクトップ版で別々に行われます。特にモバイル版での評価が重要視される傾向にあり、スマートフォン表示が最適化されていないと、コアウェブバイタルのスコアも低くなりがちです。
例えば、スマートフォンでの表示に最適化されていない大きな画像を使用していると、読み込み時間(LCP: Largest Contentful Paint)が遅くなります。また、広告や動的コンテンツの配置が不適切だと、レイアウトシフト(CLS: Cumulative Layout Shift)の問題が発生しやすくなります。これらの要素が複合的に影響し、検索順位の低下につながる可能性があります。
スマートフォン対応をセルフチェックする方法
では、自分のサイトがスマートフォンに適切に対応しているかどうかを確認する方法を見てみます。
特別な知識がなくても実施できるチェック方法をいくつか紹介します。
1. 実機でのチェック
最も基本的かつ重要なのは、実際に自分自身のスマートフォンでサイトを閲覧してみることです。
自分のスマートフォンだけでなく、可能であれば画面サイズの異なる複数の端末(iPhoneとAndroidなど)で確認するとより良いでしょう。
【チェックポイント】
- 文字サイズは読みやすいか(拡大せずに読める)
- ボタンやリンクは指で押しやすいサイズか(最低44×44ピクセル推奨)
- 横スクロールをせずに全体が見えるか
- メニューやナビゲーションは使いやすいか
- フォームは入力しやすいか
特に注意すべきなのは、サイト内の全ページをチェックすることです。
トップページだけでなく、ブログ記事、問い合わせフォーム、商品詳細ページなど、様々なタイプのページでスマートフォン表示を確認しましょう。多くの場合、見落としがちなページに問題が潜んでいることがあります。
また、操作性のチェックも重要です。
指でリンクをタップしたときに、意図した通りに動作するか、誤タップが発生しやすい箇所はないか、フォームの入力がスムーズにできるかなど、実際に触って確認してみましょう。
2. Google Search Consoleでの確認
既にGoogle Search Consoleを導入している場合は、「モバイルユーザビリティ」レポートでサイト全体のモバイル対応状況を確認できます。
このレポートでは、「使用できる」「エラーあり」などのステータスごとにページ数が表示され、問題のあるページを一覧で確認できます。具体的なエラーの内容(「コンテンツが画面サイズより広い」「文字サイズが小さすぎる」など)も示されるため、問題箇所を特定しやすいです。
Search Consoleの利点は、サイト全体を自動的にチェックしてくれることです。特に大規模なサイトでは、すべてのページを手動でチェックするのは現実的ではないため、このようなツールの活用が効果的です。
3. レスポンシブウェブデザインのチェック
現在のWebサイトでは、「レスポンシブウェブデザイン」と呼ばれる技術が標準的になってきています。これは、閲覧する画面サイズに応じてレイアウトが自動的に調整される仕組みです。
PCサイトとスマートフォンサイトを別々で運用する方法でも良いですが、更新時に両方を変更しなければならず更新費用が倍になる、運用・管理が複雑になる、SNSでのシェアが分散するなどの問題が出てきます。そのことから、レスポンシブウェブデザインの導入が一般的となってきています。
【レスポンシブデザインをチェックする方法】
- パソコンでサイトを開き、ブラウザの幅を狭く(スマートフォンサイズに)してみる
- レイアウトがスムーズに変化するか確認する
- Chrome等のブラウザの開発者ツール(F12キーで起動)で「デバイスモード」を使い、様々な画面サイズでの表示を確認する
開発者ツールのデバイスモードでは、iPhone、iPad、各種Androidデバイスなど、様々な端末での表示をシミュレートできます。また、画面を回転させて横向き表示のチェックも可能です。これにより、実機を持っていない端末でも表示の確認ができます。
スマートフォン対応を改善するためのポイント
スマートフォン対応に問題があると判明した場合、どのような点に注意して改善すればよいのでしょうか。
ここでは主要なポイントを紹介します。
1. レスポンシブデザインの採用
まだレスポンシブデザインを導入していない場合は、サイトのリニューアル時にぜひ導入を検討しましょう。
レスポンシブデザインには以下のようなメリットがあります。
- あらゆる画面サイズに対応できる
- 一つのHTMLファイルで管理できるため、更新や管理が容易
- 将来的な端末の多様化にも対応しやすい
レスポンシブデザインへの移行は、単なるデザイン変更ではなく、サイト構造の見直しを伴うことが多いため、専門家に相談することをおすすめします。ただし、WordPressなどのCMSを使用している場合は、レスポンシブ対応のテーマに変更するだけで改善できる場合もあります。
2. タップターゲットの最適化
スマートフォンでの操作は指で行うため、リンクやボタンなどのタップ可能な要素は十分なサイズと間隔が必要です。
【最適化のポイント】
- ボタンやリンクは最低44×44ピクセル以上の大きさにする
- タップ要素の間隔を十分に確保する(8ピクセル以上推奨)
- 重要なアクション(問い合わせ、購入など)のボタンは特に大きくわかりやすくする
- ホバー(マウスオーバー)でのみ表示される要素を見直す
スマートフォンにはマウスカーソルがないため、PCサイトでよく見られる「マウスを乗せると表示されるドロップダウンメニュー」などは使いづらくなります。タップで操作できるシンプルなナビゲーションを心がけましょう。
3. フォント・文字サイズの最適化
スマートフォンの小さな画面でも読みやすい文字設定が重要です。
【最適化のポイント】
- 基本フォントサイズは16ピクセル以上を推奨
- 行間(line-height)は1.5倍程度に設定
- コントラストを十分に確保(背景色と文字色の差)
- フォントの種類は読みやすいものを選択
年齢層の高いユーザーをターゲットにしている場合は、さらに大きな文字サイズが望ましいでしょう。また、フォントサイズを固定値(px)ではなく相対値(em, rem, %)で指定すると、ユーザーのブラウザ設定に応じて適切にサイズが調整されるためおすすめです。
4. 画像・動画の最適化
スマートフォンでは通信環境やディスプレイサイズの制約があります。
【最適化のポイント】
- 画像は表示サイズに合わせて最適化(大きすぎる画像は避ける)
- 画像には適切なalt属性を設定
- 自動再生される動画は避ける(特に音声付き)
- 動画は埋め込みではなくリンクにすることも検討
- 画像の遅延読み込み(Lazy Loading)を活用
スマートフォンでは画面幅いっぱいに画像が表示されることが多いですが、高解像度の大きな画像をそのまま使うと読み込みが遅くなります。表示サイズに合わせたリサイズと適切な圧縮を行いましょう。
5. フォームの最適化
問い合わせフォームやログインフォームは、スマートフォンで特に使いやすさが問われる要素です。
【最適化のポイント】
- 入力項目を最小限に抑える
- 適切な入力タイプを指定(メールアドレス用のキーボード表示など)
- 自動入力・オートコンプリート機能を活用
- エラーメッセージをわかりやすく表示
- 確認画面のシンプル化または省略
スマートフォンでのフォーム入力はストレスが大きいため、必須項目を減らすなどの工夫が効果的です。また、名前の入力を「姓」「名」で分けるのではなく一つのフィールドにするなど、フィールド数を減らす工夫も重要です。
モバイルSEOの最新トレンド
スマートフォン対応のSEO(モバイルSEO)は常に進化しています。
1. ページ体験シグナルの重要性
Googleは「ページ体験」を検索ランキングの重要な要素として位置づけています。これには前述のコアウェブバイタルに加え、以下の要素も含まれます。
- モバイルフレンドリー
- 安全なブラウジング(マルウェアなどの有害なコンテンツがないこと)
- HTTPS(SSL対応)
- インタースティシャルの非使用(全画面ポップアップなど、閲覧を妨げる要素)
特に「インタースティシャル」への対応は重要です。
スマートフォンでの閲覧時に、全画面を覆うポップアップや、メインコンテンツを見る前に表示される大きな広告は、ユーザー体験を損ない、Googleからの評価も下がる可能性があります。
2. モバイルファーストインデックスの完全適用
Googleはすでに「モバイルファーストインデックス」を完全に適用しており、すべてのサイトに対してモバイル版を優先的にクロールしています。つまり、パソコン版とモバイル版でコンテンツが異なる場合、モバイル版の内容が検索インデックスの対象となります。
そのため、「PC版のみコンテンツが充実している」「モバイル版では一部のコンテンツを省略している」といった状況があると、重要な情報が検索エンジンに認識されない可能性があります。両方のバージョンで同等のコンテンツを提供することが重要です。
まとめ
スマートフォンでのインターネット利用が主流となった現在、Webサイトのスマートフォン対応は単なるオプションではなく、必須要件となっています。特にGoogleの「モバイルファーストインデックス」の完全導入により、スマートフォン表示の最適化はSEO成功の重要ポイントと言えます。
自社のWebサイトがスマートフォンで適切に表示されているか、定期的にチェックすることが重要です。特に新しいコンテンツを追加したり、デザインを変更したりした際には、必ずスマートフォンでの表示確認を行う習慣をつけましょう。
スマートフォン対応の改善は、SEO効果だけでなく、ユーザビリティの向上、滞在時間の延長、コンバージョン率の上昇など、様々なビジネス効果をもたらします。「見た目が良ければいい」という考えではなく、「使いやすさ」を重視したモバイル対応を心がけることが大切です。
より詳細なWebサイト診断方法については、「Webサイトが集客できない理由 -10の自己診断法」をご覧ください。また、スマートフォン対応の最適化に関する専門的なアドバイスが必要な場合は、当社のWebコンサルティングサービスもぜひご活用ください。
スマートフォンへの最適化に課題がある、リニューアルでスマートフォンに最適化したいと考えている方は一度その課題をお聞かせください。
初回相談は無料です。
いつでもお気軽にお問い合わせください。