環境汚染問題をめぐって1人の弁護士が十数年にもわたり巨大企業との闘いを繰り広げた実話を、環境保護の活動家という一面も持つマーク・ラファロの主演・プロデュース、「キャロル」のトッド・ヘインズ監督のメガホンで映画化。1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロットが受けた思いがけない調査依頼。それはウェストバージニア州の農場が、大手化学メーカー・デュポン社の工場からの廃棄物によって土地が汚され、190頭もの牛が病死したというものだった。ロブの調査により、デュポン社が発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、その物質を大気中や土壌に垂れ流し続けた疑いが判明する。ロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏み切るが、巨大企業を相手にする法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていく。ロブの妻役をアン・ハサウェイが演じるほか、ティム・ロビンス、ビル・プルマンらが顔をそろえる。

2019年製作/126分/G/アメリカ
原題:Dark Waters                    映画.comより転載

      

 

      

 

映画的にお話を盛っていない、だからこそ実話の重みを感じる。
細部の描写が丁寧でありアメリカの当時の現実や時代が移り変わってのちの現実もよわかるところがエンタメ要素がなくとも観客を引き付ける魅力がある。

マーク・ラファロが映画化を熱望したようで制作陣にも名を連ねているが、もともとラファロのファンなので(好きな俳優がたくさんすぎて・・・困らないけど)その志だけでもうれしい。
彼は以前、映画『フォックス・キャッチャー』で錯乱したデュポンの御曹司に殺害される役を演じていた、アメリカの大富豪は桁外れだと思ったが、大富豪であっても心までは満たされないという映画だった。
 

テフロンがデュポン社のものだとは本作を見るまで知らなかった。
私もかなり昔テフロンのフライパンを使っていた、焦げ付かず画期的な製品だと思ったが、テフロンが危険だという噂が聞こえてきた(テフロンのフライパンが危険というわけではないが、噂とはそういったもので)、こういういきさつが日本にも知れ渡ってきたのだと思うけれど、今は重くてかなわないな~と思いながら鉄製のフライパンを使っている。

本作実話だし現在も裁判は続いているらしく住人7万人の訴訟だからものすごい量だが、この方向はデュポン側が選んだことだから(そうせざるを得なかった)、それでもこちらのほうが得策だったのだろう。
 

 

「ウェストバージニア?ふ~ん」・・・のようなセリフも、これってウェストバージニアは特に貧困州ということのようで、だから産業廃棄物を捨てられる・・・受け入れざるを得ない、生活のために、という意味のようで・・・
これは沖縄の米軍基地やら、原発受け入れ県やら、核廃棄物処理施設をめぐる諸問題と根は同じです。

この秋沖縄タイムスに載った記事では、米軍が普天間飛行場から有機化合物PFOSとPFOAなどを下水に放出、宜野湾市が付近のマンホールから採取した下水の濃度を測定したところ国の基準の13.4倍もあった・・・
本作と同じことを沖縄でやっているということですが、日本はこれに対して抗議の申し入れをしたのでしょうか?(廃棄物についての合同協議中に無視して廃棄が行われたようです)抗議は”一応”したようですが結果はうやむやのような気がします、やったもの勝ちというか。
いろいろと現実が気になる映画でした。

この映画での有機化合物による公害病は水俣病とそっくりでした、そして企業の姿勢もそっくり、声を上げた被害者が糾弾されるとか、やりきれないことですが、この映画の弁護士のように、一人一人の力が大きなうねりとなって状況が変わることを願わずにいられません。

                     以上、2021年12月27日掲載記事より

 

 

日本では・・・

 

昨日

OTV(沖縄テレビ)報道スペシャル『続・水どぅ宝』を観ました。

ダーク・ウォーターズ現在進行形の恐ろしい話です。

沖縄でのPFAS汚染が深刻な状態で、同じ汚染が東京でも、また日本各地でも拡大しているという事実、わが市でも近くの川から安全基準値を上回るPFASが検出されています。

 

 

でも関心は薄い、知らされていない、報道していない、新聞でもほとんど読んだことがないように思う、なぜ?という疑念がわいてくる。