BLIND TIME by George O. Smith
ジョージ・O・スミス 作「ブラインド・タイム」(15)
*「ブラインド・タイム」(14) の続き
そして -- その時がやって来た。
時計のチャイムが鳴り、これから起こるかもしれないという時間帯に入るや、息を飲む音が聞こえてくる。誰もピクリとも動かないが、今か今かという思って体が硬直しているのだ。いらいらした様子で、ベンがポケットの中を探って煙草を取り出して口にくわえると、マッチを手探りした。「マッチないですか?」
シンプキンス社長はポケットを探って、頭を振った。
「ない」 ぶっきらぼうな大きな声。
ピーターが自分のポケットを探ってみると、マッチがあった。
火をつけた。視線は現場に釘付けだ、見逃したくはない。
「来るぞ!」 誰かの耳障りな声がした。
ミスリンクが再びサークルに近づいてくる。
ピーターは男たちの顔に目をとめながらも、その場所を真正面から見つめた。男たちの表情はこわばり、体が硬直して体を動かすことができないでいる。
"この連中に、何が起ころうとしているかなど、考えることなど出来るものか。みんな思考が停止してるのだから" とピーターは心のうちで思う。
ピーターが刺すような痛みを覚え、声にならない叫び声をあげてくるりと体を回す。強烈な衝撃だ。瞬間的に、体が回り、持ち上がった肘が壁を叩く。動いているモノに体のバランスを崩され、反射的に足を踏ん張る。その足が、しっかりと立っているベンの足に接触し、ベンは固い表情を驚きの表情に変えて、少し体を動かした。
がっしりと立っていた足に接触したピーターは前のめりになる。まだ燃えていたマッチを指から跳ね飛ばして、転倒するのを避けようと両手を突き出す。荷積みデッキが眼前に迫り、そして前に突き出した両腕が --
赤いラインに ・・・
頭の中に星のような閃光が飛び散り、それが縞模様になり、そしてけばけばしい色彩と化して、一点に集まったかと思うと限りなく拡大して、後は何もない暗黒になった。
意識が戻ったのは救急車の中で、それも束の間のことである。ただ、ベンの声は聞けた:
「いつかは、やっつけてやる」
「定常事故率を負かす時だけですよ」 と医者が続けた、「問題は、みんな、ミスリンク事故に関して、何か違うことを考えてるってことです。宿命だとか、未来を変えることができるようにする何かだとか。実際のところ、その人たちが変えようとしているのは過去なんです。この若者が被害者になるとは、考えてみれば奇妙な話ですけどね」
「これは予想外だった」 とベンが言った、「だが、既に起こった事故を止めることなど出来ない相談だ」
太陽系最大の保険会社 I.I.I. [惑星間労働者保険] の査定人であるピーター・ライトは敗北したのである。頭の中では経時的な事故に関して論じたいという気持ちと、自分には同じ事故を回避する手段を述べる資格がないのは確かだという考えとが、渦巻いていた。
THE END.
ジョージ・O・スミス 作「ブラインド・タイム」(15)
*「ブラインド・タイム」(14) の続き
そして -- その時がやって来た。
時計のチャイムが鳴り、これから起こるかもしれないという時間帯に入るや、息を飲む音が聞こえてくる。誰もピクリとも動かないが、今か今かという思って体が硬直しているのだ。いらいらした様子で、ベンがポケットの中を探って煙草を取り出して口にくわえると、マッチを手探りした。「マッチないですか?」
シンプキンス社長はポケットを探って、頭を振った。
「ない」 ぶっきらぼうな大きな声。
ピーターが自分のポケットを探ってみると、マッチがあった。
火をつけた。視線は現場に釘付けだ、見逃したくはない。
「来るぞ!」 誰かの耳障りな声がした。
ミスリンクが再びサークルに近づいてくる。
ピーターは男たちの顔に目をとめながらも、その場所を真正面から見つめた。男たちの表情はこわばり、体が硬直して体を動かすことができないでいる。
"この連中に、何が起ころうとしているかなど、考えることなど出来るものか。みんな思考が停止してるのだから" とピーターは心のうちで思う。
ピーターが刺すような痛みを覚え、声にならない叫び声をあげてくるりと体を回す。強烈な衝撃だ。瞬間的に、体が回り、持ち上がった肘が壁を叩く。動いているモノに体のバランスを崩され、反射的に足を踏ん張る。その足が、しっかりと立っているベンの足に接触し、ベンは固い表情を驚きの表情に変えて、少し体を動かした。
がっしりと立っていた足に接触したピーターは前のめりになる。まだ燃えていたマッチを指から跳ね飛ばして、転倒するのを避けようと両手を突き出す。荷積みデッキが眼前に迫り、そして前に突き出した両腕が --
赤いラインに ・・・
頭の中に星のような閃光が飛び散り、それが縞模様になり、そしてけばけばしい色彩と化して、一点に集まったかと思うと限りなく拡大して、後は何もない暗黒になった。
意識が戻ったのは救急車の中で、それも束の間のことである。ただ、ベンの声は聞けた:
「いつかは、やっつけてやる」
「定常事故率を負かす時だけですよ」 と医者が続けた、「問題は、みんな、ミスリンク事故に関して、何か違うことを考えてるってことです。宿命だとか、未来を変えることができるようにする何かだとか。実際のところ、その人たちが変えようとしているのは過去なんです。この若者が被害者になるとは、考えてみれば奇妙な話ですけどね」
「これは予想外だった」 とベンが言った、「だが、既に起こった事故を止めることなど出来ない相談だ」
太陽系最大の保険会社 I.I.I. [惑星間労働者保険] の査定人であるピーター・ライトは敗北したのである。頭の中では経時的な事故に関して論じたいという気持ちと、自分には同じ事故を回避する手段を述べる資格がないのは確かだという考えとが、渦巻いていた。
THE END.
