Invisible Death by Anthony Pelcher_
アンソニー・ペルチャー 作「見えない死」


[1]

 天才的な頭脳を持つ発明家ではあったが、隠遁生活を送る変人だったダリアス・ダローの謎の死を調べるために、科学的知識のある者たちが集められた。

科学分野で優れた業績を挙げ、名声も得ている彼らが、この信じがたいような奇妙な事件について知ったのは、新聞の報道によってである。


未亡人になったス-ザン・ダロー夫人は、申し分のない目撃者だった。

証言台に立った夫人の服装は時代遅れだったし、悲しみにくれてもいたが、頭脳ははっきりしており、この小柄な婦人が、世界でもトップクラスの化学者であるということがうなずけた。

年齢は58歳だと述べたが、白髪でなければもっと若く見えたことだろう。

小柄ではあるが、体格はがっしりしている。

表情豊かな青い目と、意志の強さを表す小鼻と顎。

既に10年前のものとなっている、時代遅れの黒い絹の服。


(つづく)


* アンソニー・ペルチャー (Anthony Pelcher, 1897-1981) は米国の作家。この作品は 1930年に Astounding Stories of Super-Science 誌の1月号に掲載されたもの。