マスクをつけての30分ステップエクササイズ指導のご報告 | シニアの脳と身体の健康運動指導士 石井です

シニアの脳と身体の健康運動指導士 石井です

こころ・からだ・すこやか体操企画 代表 石井誠のブログ。
脳と身体を元気にする楽しい運動指導のことから、何気ない日常まで‥。

先日、コロナ自粛以来に久しぶりにステップレッスンの指導を行いました。

30分の初級です。

平日の昼なので、高齢者の方も多いです。

 

自粛前は70代の方だけでなくちらほらと80代の方も。

再開後の初レッスンには、70代の方はいたものの、おそらく80代の方はいらっしゃらなかったと思います。

 

自身の年齢を考えて控えていらっしゃる方もいれば、自粛中にひょっとして気力や体力が低下して受けられなくなったかも…と考えると気がかりです。

そんな高齢の方も多い客層なので、マスクをしてのステップレッスンの指導には神経を使いました。

 

マスクをしての有酸素運動の環境

 

 

マスクをしてのステップでの身体の反応

 

 

など、シミュレーションを行い、参加者の年齢や体力を考慮して内容と指導法の工夫。

 

【内容の工夫】

①ウォーミングアップを長めに実施(15分以上)

②メインのパートは7~8分で終了

③動きの展開

その場歩きから

片足だけステップ台に乗せる動き+その場歩きの組み合わせ

片足だけステップ台載せる動きメイン

片足だけステップ台に乗せる動きに、すこし左右の移動を付ける

片足だけステップ台に乗せる動きに、軸足でない足をすこし浮かす動きを入れる、間にその場歩きを入れて

……

そんな感じで、両足をステップ台に乗せる動きを極力控えながら、ほんの少し強度を上げる変化を入れていく

④腕の動きはつけない

(上肢を連続してあげると、強度変化を伴わない血圧上昇を招きます。マスクをした状態でこの血圧上昇はリスク高いと判断)

⑤5~10分ごとに休憩(30分間で4回くらい休憩)

 

【指導法の工夫】

●マスク内換気や水分補給を促すときは、ただ指示するだけでなく私が実際に行い、皆様が遠慮なく行えるようにした。

●『身体の上下移動を少なくすると、しんどさ抑えられますよ、横に移動せずに行うと少し楽に動けますよ』など、しんどさを軽減するための動き方を伝えた。

●上記の軽減の動きを行いながら、『もしもう少し頑張れる方は、両足乗せた動きで行きましょう』と伝えるが、私は常に両足乗せない動きを見せ続けた(これは、私が強度上げた動きを見せ続けると【そのようにせなあかん】と思って無理する方や、自分で考えず指導者の動きを真似て常に動き続ける方にとっては、強度上げた動きをついついやってしまって高リスク)

●マスクで顔の表情からの意思疎通が難しい。参加者には難しいので、指導者が目元での表情変化を少し大げさにしたり、リアクションをオーバーにして(例えば、良いですよ~~と伝える時に両手で大きくマル!と表すなど)

 

事前に自分の身体でシミュレーションを行い身体反応の変化を確認しましたが、
私の体力とお客様の体力は違いますしお客様間でも体力は様々。

内容・強度を一つの物差しで考えられません。

ある動きをしても、それが楽と感じる方もいればキツイと感じる方も。

(マスクする・しないに関わらずですが)

レッスンでは同じ内容のフットパターンで行いますので、その同じ内容の中で強度の幅を想定する。

それは、同じ動きですが

【身体重心の移動距離】【筋の参加量】【筋の活動量】を変化させることで、強度を上げたり下げたりできます。

 

簡単に言うと

【身体重心の移動距離】…身体を左右や前後、上下に移動させるか

【筋の参加量】…身体の動かす部位を増やすか減らすか

【筋の活動量】…ある一つの動きを大きく行うか小さく行うか

 

例えば、

●ステップに踏み込む動作を、ただ踏み込むだけか、ステップ台に乗るように踏み込みながら身体をすこし上に持ち上げるか、の違い

●ステップ台に乗るように踏み込み片足を浮かす動きに、その浮かした足の膝を曲げる動作を入れるか入れないか

●ステップ台に乗りながら片足ニーアップ(膝を上げる)動作をした際に、その上げる膝の高さを高くするか低くするか

 

言葉で書くとちょっと分かり難いですね…。
このような強度のコントロールの方法は

JAFA(公益社団法人日本フィットネス協会)のGFI(グループフィットネスインストラクター)講習会で学べます。

 

そして、内容と同じくらい大切なのは伝え方=【指導法】

「キツイ方は無理しなくていいですよ~」と言うと、
逆に『いや、私まだ大丈夫だから…』と(意地?見栄?張って)無理しちゃう方いるんですよね。

その様な言葉を言う前に

「しっかり動かれてますね、その調子でいきましょう」「いい感じで息上がってきてますね」などと

今行っている動きが自分にとって適している、という事を認識していただいたうえで、

「○○のようにすると、もう少し楽に動けますよ(もう少ししんどさ増えますよ)」と伝えると、無理せずに自分にとって適した動きを

選びやすい。

 

正しい情報を伝えることも大事、

マスクをすることでの心拍するの上昇、有酸素運動での血圧変化、マスク内の環境(温度や湿度)からの熱中症のリスクなど。

具体的な数値があるものはそれを言って、もしくは自分が経験したことをいう事で参加者は自分事に置き換えたりして

理解しようと聞いていただける。(こういう状況だから、皆様健康に対して意識が高いし、きちんと知りたいという欲求があるから)

 

そして、自分の身体への意識が高い方もいれば、そうでない方(健康よりも楽しさ優先の方)もいますし、
自分の身体を過信している方もいます。

自分の身体と対話している方は、上記の強度上げ下げの選択の幅を伝えたら、ご自身で判断されて選択されます。

でもそうでない方は、指導者に合わせて指導者を判断基準にします。

指導者が強度上げた動きをした際に、ついつい一緒にやってしまう。

 

そうなると、知らず知らずのうちにその方にとってはリスク高い内容となっているので、

そういう方の為には指導者は強度上げた動きを見せずに安全策の動きを見せ続け、

自分で選択できる方はそこで自主判断されて変化させるように伝えていくことが必要かと思います。
 

『マスクの中、暑いですよね~~』とお客様と共感する投げかけ。
共感するアプローチを入れることで、その後の言葉にも耳を傾けていただける。

 

集団指導って奥深いんです(^_^;)
これも、JAFAのGFI講習会でエッセンスを学べます。

 

こうして、普段からの集団指導の経験とコロナ自粛後の特別な状況を踏まえてた内容を盛り込んでの実施した30分ステップエクササイズ。

 

物足りないと思われたかもしれませんが、お客様に感想聞くと…

『これくらいの内容だったけど、マスクしているし、暑いしちょっとしんどいくらいで、丁度良かった』

『あまり無理したらアカンし、こんなもんでいいんちゃう?』

『私ら、シンプルな内容で充分だから、これでいいよ、これ以上激しくしたらついて行けへんし』

マスクしているから危険なくらいしんどい、という方はいなかったです。(ホッとしました)

普段から、難しさや激しさでなく、簡単な動きだけど自分の身体をしっかり動かすことを大切に伝えてきた指導が、

ここで活きています。

と同時に、

『わかっているけど、動いて音楽に乗って気持ちよくなると、ついつい欲張って頑張りすぎてしまうの。
なので後半はちょっとしんどかったかな?』

という方も。

 

音楽に合わせて集団指導の良さ(楽しさ)。そこは否定しませんが、その楽しさと安全性を両立させるために

指導者は内容の工夫と参加者の観察、指導の工夫などをしっかり行わないといけません。

 

まじめに振り返りました。
ホンマ、奥深い…。