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 『我妹子(わきもこ)が 家の垣内の さ百合花
   ゆりと言へるは いなと言ふに似る    紀朝臣豊河』


 格式高く始まりましたが、万葉集に出てくる女性への未練の歌だそうです。ゆりの花は古くから恋物語の象徴として、高貴で清純な女性のイメージがあるものなのでしょう。
 こんな花ユリの出荷が、真狩では最盛期を迎えています。真狩は食用ユリの産地としても知られていますが、切り花でもユリの出荷を行っています。
 そんなある農家の選別作業場を見せてもらいました。大勢の人が丁寧に手作業で大きな蕾をつけた花ユリを箱づめしていきます。男性の方も数人いましたが、ユリを抱きかかえて運ぶ姿は女性の方が似合いますね!
 選ばれたユリは花束のようにラッピングされ、大きな箱に赤ん坊を寝かすかのように箱に詰められていきます。白い大きな箱には「花だより」と印字され、東京、名古屋、大阪方面へ出荷されるそうです。今度この箱を開けたときには花の赤ん坊はもう少し成長しているのでしょうか、まさに「花だより」という感じです。
 この花ゆりの出荷は、9月まで続くそうです。この農家から出荷される約40万本ものユリの花は見知らぬ土地で元気に大輪の花を咲かせて美しい女性へ成長してくれることでしょう。