映画『ボブ・マーリー ONE LOVE』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『ボブ・マーリー ONE LOVE』

『ボブ・マーリー ONE LOVE』

(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山)

公式サイト:https://bobmarley-onelove.jp/

 

ジャマイカが生んだ伝説のレゲエミュージシャン、

ボブ・マーリーの波乱万丈な人生を映画化した音楽伝記ドラマです。

そんなに詳しくないし、ラジオでもあんまりかけた記憶がないけど、

愛と平和と自由を歌で訴え続け、母国ジャマイカ国民だけでなく、

世界中に影響を与えた人というところに興味を持って鑑賞しました。

 

(以下、“適度”にネタバレしています。ご了承ください)

 

1976年、カリブ海の小国ジャマイカは、

独立後の混乱から政情不安定で2大政党が対立していました。

30歳にして国民的アーティストとなったボブ・マーリーは、

その人気を利用しようとする政治闘争に巻き込まれ、

その年の12月3日に暗殺未遂事件に遭ってしまいました。

2日後、マーリーは「スマイル・ジャマイカ・コンサート」に出演し、

その直後に、身の安全のためロンドンへ逃れました。

そして彼は世界的スターへと昇っていくことになります。

 

社会の底辺からスターに・・・と語られていましたが、

映画の本編では、少年時代はたまに振り返るぐらいで、

もう国内ではスター歌手というところから物語は始まっていました。

生まれた時代と場所で生き方や表現のアイデンティティは違ってくる。

のは確かでしょうが、同じ時代と場所を生きた人間は他にもいるわけで、

そんな中で・・・と考えると、ボブ・マーリーに特別感はあります。

 

前述のとおり、私はボブ・マーリーの楽曲には詳しくないのですが、

ライブシーンも多いし、曲も本編中にたくさん流れていて、

愛と平和と自由が歌われ続け、耳にも心地よく、

これは確かに支持者も多かろうと納得しました。

ただ、ジャマイカは一夫多妻制でしたっけ?

と調べたくなるくらい(実際、調べたら違いました)、

マーリー自身はそこら中に妻以外の女や子供を作っていて、

え~と、それは博愛とは違うんじゃないですか?と思った次第です。

 

また、裏金を手に入れていたスタッフを責めるのは当然として、

それはやりすぎなんじゃないかと思うくらいにボコボコにしてしまいます。

スターの人生を描いた映画では少なくないのですが、

彼もまた精神的な強さと弱さが背中合わせで・・・というところはありまして、

癌の治療にすぐに取り組まなかったのも、そういうことなのかもしれません。

ラストのライブシーン。ジャマイカ国民もですが、彼も救われたのかな?

享年36歳。さすがに若すぎます。が、だから伝説になったともいえます。

 

にしても、ボブ・マーリーに限らず、社会に影響を与えるスターは多くいて、

それを利用したり恐れたりするだけでなく、排除しようとする権力者もいる。

社会とは、権力者とは、げに恐ろしきものなり。