映画『殺さない彼と死なない彼女』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『殺さない彼と死なない彼女』

『殺さない彼と死なない彼女』

公式サイト/http://korokare-shikano.jp/

 

この映画、結論から言うと、

「今年の10本」候補になるくらい面白かったのですが、

残念ながら、現在、富山県内の映画館での上映も予定もありません。

先日(といっても、もう10日以上前・・・)、金沢での仕事帰りに鑑賞しました。

 

3組6人の高校生の物語が絡み合っていきます。

何にも興味が持てず退屈な日々を送る男子高校生・小坂れいは、

教室で殺されたハチの死骸を埋めているクラスメイト・鹿野ななと出会い、

ネガティブでリストカットを繰り返しているのに、

虫の命は大切に扱う彼女に興味を抱くようになります。

 

小坂の口癖は「死ね」「殺すぞ」でした。

先日、某女子プロゴルファーが「死ね」発言で問題になったばかり。

実際、小坂は誰も殺しませんし、誰の死も願っていませんが、

やはり、こういう言葉を口にするのは感じが悪いですね。

ただ、ここはキャラクターとして受け入れることにしました。

 

「死ね」「殺すぞ」と言いながらも誰も殺さない男と、

「死にたい」と繰り返し言いながら決して死なない女は、

生きる意欲がないもの同士で出会って、惹かれ合って、

そして、少しずつ前向きに変わっていく。

間宮祥太朗さん、桜井日奈子さん、こんなに上手いのか!

 

SNS漫画家・世紀末さんがTwitterにUPした四コマ漫画が原作です。

確かに、各シーンが四コマ漫画っぽく描かれているなと感じました。

で、台詞や展開が「当たり前」の感覚を否定しているというか、

あ~、そういうところに目を付けたか!という面白さに溢れていました。

 

きゃぴ子と地味子のエピソード。

きゃぴ子(本当にこんな名前なんだろうか・・・)はカワイ子ぶりっ子。

その可愛さでとっかえひっかえ何人もの男の子に愛されますが、

実際にはあまり長続きはしません。でも、彼女は変わりません。

 

そんなきゃぴ子を見る親友の地味子(本当にこんな・・・)は思いました。

「愛されたい彼女が愛されなくなったら、愛される頂点に達したらどうなる?」

一方のきゃぴ子はこんな事を言いました。

「一人は平気なんだけど、孤独は耐えられないの」

 

きゃぴ子役は堀田真由ちゃん。分かりやすく可愛く演じてます。

あ~、こういう子に最初はヘラヘラしちゃう男の子っているに違いない。

一方の地味子は恒松祐里ちゃん。彼女もメガネ萌えする可愛さでした。

というか、性格的なものも含めて、僕は彼女が一番タイプでした。

 

もう一組、八千代君と彼のことが好きな撫子ちゃんの物語。

撫子ちゃんは八千代君にアプローチし続けていますが、

八千代君はその気になりません。撫子ちゃん可愛いのに。

でも、彼女は彼女で自分に自信がないのでこう考えています。

「私みたいな女を好きにならない八千代くんが好き」と。もう哲学です。

 

一方、八千代君は八千代君で、彼女に惹かれだして・・・、

「君を好きじゃない僕を好きになった君を好きになった僕を

君は好きでいてくれるかい?」と彼女に問いかけました。面白すぎる!

八千代役はゆうたろうさん、撫子役はは箭内夢菜。みんな可愛いね。

 

とにかく、こういうツボに来る台詞がいっぱい出てくるんです。

撫子の夢の中に八千代君が出てきたというのに、撫子ちゃんは、

「幸せな夢の後で現実の不幸を知るので、その夢は幸せじゃない」と。

素直に喜んでもいいとは思いますが、そういう考えもアリですね。

全ての物事は決まりきっていないということを教えてくれます。

 

惹かれ合うようになった小坂と鹿野ですが、

学力が違い過ぎて同じ大学に進学するのは難しそうで、

鹿野が「私はあなたほど頭が良くないから・・・」と言うと、

小坂は「今はね。でも、明日になったら分からないだろ」って返すんです。

人生の意味を考えなかった二人が未来を見据えるようになりました。

 

で、この3組の物語の絡み合い、時間軸が終盤で明らかになります。

これがまた上手いんです。そこからの伏線回収も腑に落ちまくりでした。

一点だけ「そうなって欲しくない」という事件が起きますが、

それも、その後の展開で、これはこれで良いのかも・・・と納得。

そして、この世界を包み込む奥華子さんの音楽も素敵でした。