株式会社デジタルハーツホールディングス笹塚Lab.を訪問しました。デジタルハーツの原点を感じることのできる場所であり、私にとっては2度目の訪問になります。デジタル本部サイバーセキュリティPTのメンバーと一緒にデバッカーの皆様のお仕事の様子を覗かせていただきました。デバックとは、プログラムのバグや欠陥を特定して取り除くことで、販売前のゲームなどにエラー等がないかを見つけて修正する根気のいる作業です。

誰もが知っているようなゲームの品質が担保されているのも、こうした高いスキルを持ったデバッカーが事前にチェックをしてくれているお陰です。車のレースゲームであれば、1ミリ単位でエラーがないか確認をしたり、メタバース空間であればゴーグルをつけて上を向いたり下を向いたり360度見ているのだそうです。

マネージメント層の社員さんも、もともとはデバッカーのアルバイトからキャリアをスタートさせた、という方もおられ、デジタルハーツならではの企業のあたたかさも感じました。約9000人の登録デバッカーの中には、長年引きこもっていた経験を持っている人も少なくありません。新人メンバーには5人ほどのチームに入ってもらい、先輩からサポートを受ける運用になっています。

「趣味の用事のときだけ外出する」や「自室からほとんど出ない」などの状態が6か月以上続いている、引きこもり状態にある人の人数は約146万人と推計されています。15歳から64歳までの年齢層の2%あまりにあたります。コロナがきっかけになったケースや、女性も増えてきている傾向なども指摘されています。彼らの中には、デバッカーとして活躍できる特異なスキルを持っている方もいるそうで、デジタルハーツの宮沢栄一会長は「コアゲーマーを多様な人材として位置付け、デバッカーとして活躍してもらいたい。その人数をさらに増やしていきたい」とお話しくださいました。

ちなみに、販売前のプログラムをチェックしているとの機密性の高さから、私たちが現場を視察する際には、作業の手を止めてパソコン等を閉じて対応をしていただきました。ゲームのみならず、ATMや基幹インフラのサービスも当然バグが出ないようシステムが作られていることが重要です。一方で、システムを構築した人ではバグが見つけにくいという事もあるようで、第3者によるチェックが安定した運用、安全管理にも大事になってきていると考えています。