「2024年問題」と呼ばれてきた、物流改革。4月からトラックドライバーの時間外労働の上限が960時間となり、拘束時間は1日あたり原則13時間以内、最大15時間以内となりました。国内貨物輸送量の9割を占めるトラックですが、何も対策を講じなければ輸送力が不足することが見込まれ、産業界や消費者に悪影響が及ぼされることが懸念されていました。また、トラックドライバーは全産業と比べて労働時間が2割ほど長いにも関わらず、所得が1割ほど低く、労働環境や待遇の改善が求められています。

拘束時間の長さも課題で、積み下ろしのために「バース」で何時間も待たなければならなかったり、順番待ちをしなければならなかったりする、という実態も報告されてきました。

地元小田原の物流関係者にもお話をうかがったところ、予約システムも動き始め、荷待ち時間の削減、積載効率のアップに繋がっている事例もある一方で、依然として指定された時間より早くついて待たなくてはならないことや、製品の出来上がり待ち時間が発生することも現場からの声として挙げられました。

また自民党物流調査会では「荷主企業や消費者の行動変容を促す仕組みの導入」「荷主、物流事業者間等における多重的な取引実態の是正」も提言してきましたが、地元を歩いていると、まだ課題はあるように思います。物流改革を機に、15%程度取引額を上げてくれた荷主もあれば、申し入れをしても据え置きのままのところ、更には取引を切られてしまったケースもあるとのこと。直接取引ではなく、多重的な取引の場合は、価格交渉の難しさもあるようです。

2024年問題への対応を早くから進め、働き方を工夫している企業も多くありましたが、働く時間が短くなり会社の収益をどのように上げられるのか、社員の給与は維持できるのか、と悩んでいる経営者の声もありました。人手不足も深刻です。今後、新東名高速道路の一部区間に自動運転専用レーンが設置されるなど、新しい技術も活用する予定ですが、物流が滞ることのないように、これからも丁寧に現場のお話を聞き取っていきたいと思っています。