猫!ねこ!ネコ! | まきおの隠れ宿

まきおの隠れ宿

劇団スタジオライフの牧島進一です。
皆様との交流の場をコソッと増やそうとブログを始めてみました(^_^;)
内容は徒然、不定期更新になると思いますが、
宜しくお願い致します!

「牧さん、近くにある猫バー、入り口に生後一ヶ月くらいの猫がいたよ!」
「何っ、客引きに猫が出てるのか⁈」
「そうそう、しかも結構リーズナブル。今度行こうよ」
「よし、行くぞ!」
「え、今?」

昨日の稽古終了後。リコリス出演者の中から猫好き有志を募り稽古場近くの猫バーへ直行。実は前から気にはなっていたのだが、なかなか切っ掛けが掴めずに入れなかったのだ。

午後22時。店内へ。店内には猫たちの拠点となる大きなお家がほぼ中央に位置し、その回りをテーブル席が囲んでいる。隅にはカウンター席もあり、その佇まいは小さな喫茶店のよう。ただし、テーブル席のお客さんが…子猫と遊んでる!

「なんと…お触りアリなのか!」
「ちょ、キャバクラじゃないんだから…」

平日の遅い時間にもかかわらず、店内は満席。みんなまったりと猫と戯れながら飲んでいたので、今日は時間的に断念か…と思ったら、あまりにも名残惜し気な我々に気を遣ってくれたのか、隅のテーブルの二人がお会計。

「じゃあ俺たちがこっち移れば入れるね」
「あ、私たちが動いた方が楽なんで、こっち空けますよ」

常連さんたちのお心遣いで22時15分、一同着席。

photo:01


颯爽と猫ハウスの隣をキープ。
こういうのは早いモノ勝ちだ。

「あ、牧さんずるい!」
「ふふふ、ベスポジ♪(´ε` )」
「まあまあまあ、取り合えず飲み物頼みましょ」

マスターのお話によると、いつもは親猫さんたちは好きに歩かせているそうなのだが、エアコン故障で窓を開けているため今日はお家の中ということ。
なるほど言われてみればかなり暑く、お客さんは皆団扇で涼みながら飲んでいる。我々も団扇をお借りして乾杯。フライドポテトを注文したら、揚げ物は店内温度が上がるからとママに断られる。アットホーム過ぎて素敵。

程なくしてマスターが猫ハウスから子猫を解放。我々一同のテーブルへと連れてやって来た。

「おお、来ましたな」
「来ましたね」
「殿、ささ」

そして子猫は私の手の中へと導かれた。ちなみに殿と呼ばれたのは初めてだ。

「おお、よしよし、お、何?ちょ、待て待て!」

私の膝に座るはずだった彼は、何故か私の上半身を登り始めた。何度降ろそうとしても頑なに登山。楽しいが、結構困る。

「うぬぬ…何故だ!」
「牧さん…猫飼い歴結構長いのになんでそんなに抱くの下手なの?」
「こうお尻の方を手で支えるようにしてあげるんですよ」
「む、こうか?」

よじよじよじ…
またもや登るやんちゃな彼。

「ぐっ、こいつは…肩甲骨フェチなのか…?」
「何ですかそれ(笑)。じゃあ猫歴26年の俺に任せて」
「26年!俺は10歳から実家出る23迄だから…倍か…」
「うちに13匹いたこともありますよ」
「なんと…家は最高二匹だ…」
「まあ、一匹でも大変ですけどね(笑)」

よじよじよじ…

「ってお前も登られてるじゃないかっっっ!」
「あれ、おっかしーな…」
「あの…いいですか?」

ここで沈黙を保っていた男が動いた!

photo:02


めっちゃくつろいでる…

「くっ…メガネフェチか、やむを得ん…」
「牧さん酔ってるね(笑)」
「でも、ずっと飼ってたんでしょ?なんとなく扱い慣れてない感じがするんですけど…」

「まあその、なんだ、俺の場合はどこまで高いとこからスタッと着地できるのかチャレンジしたりとか、押入れにしまっていつ迄鳴き続けるのか試したりとか、そんな風に遊んでいたからな…。あまりこう、愛で愛でしていた記憶はないんだ」

「駄目じゃんそれ!」
「イジメじゃないですか!」
「ふふふ…(子猫を愛でているメガネ)」
「い、いや、でも小学校の頃だぞ、それくらい可愛いもんだろ?」
「にしてもねぇ」
「そりゃ好かれないですよ(笑)」
「ふふ…(メガネ)」
「ぬぬぬ…」

そんなこんなで芝居の話なんてまるでなしで猫と戯れる一同。やはり肉球の魅力には誰もかなわない。

このお店はマスターとママ(マスターの奥さん)の二人でやっている。しかし、常連さんが気さくにテーブルを回り、
「何か頼みます?空いてるグラスあれば持っていきますよ(^-^)」
などと声をかけてくれる本当に居心地のいい店だった。一見さんにも優しく、
「写メは全然OKですけど、フラッシュはダメですよ。びっくりしちゃうから」
と親切に助言もしてくれた。

「なんかさ、リコリスってきっとこんな店なんだろうね」
「そうだな…猫用意しないとな」
「いやそうじゃなくて(笑)」

結局終電ギリギリまで居座って、それでも後ろ髪を引かれながらの退店。こんなに猫と触れ合いまくったのは何年ぶりだろうかと余韻に浸りながら帰路につく。

最寄り駅からの帰り道。
ふと今まで飼っていたトラ、ブチ、華子、クロとの記憶が蘇る。

「もっと、優しくしてやれば良かったな…」

私があいつらと過ごした日々は本当に幸せだった。でも、奴らにとってはどうだっただろう。

家に向かう最後の角を曲がると、数日ぶりに近所の野良三毛猫のみぃちゃんがいた。
私の姿を見つけて屈託なく歩み寄って来る彼女の姿を目にしたとたん、ほんのちょっとだけ、視界が滲んだ。

photo:03


※本文中の「私(俺)」は牧島のことですが、実際に為された会話とは若干口調が異なります。ご了承下さい。