そう。
私は OL である。
会社勤めの事務員である。
私は OL である。
会社勤めの事務員である。
正社員か派遣社員か、ということは、今は関係ない。
日本でOLという職業(?)をしている以上、
絶対に避けては通れない仕事がある。
絶対に避けては通れない仕事がある。
それは・・・
じつは私、
お茶(日本茶)を飲まない。
お茶(日本茶)を飲まない。
なぜか、マキチャントッシュ家には昔から日本茶を飲む習慣がなく、
私は熱いお茶を飲まないで育ったのだ。
私は熱いお茶を飲まないで育ったのだ。
大人になって、お茶を飲む機会は増えたが、
茶色のお茶 → 麦茶、ほうじ茶
黒いお茶 → 烏龍茶
赤いお茶 → 紅茶
黒いお茶 → 烏龍茶
赤いお茶 → 紅茶
は飲んでも、
黄色のお茶 → 番茶
緑色のお茶 → 緑茶、抹茶
緑色のお茶 → 緑茶、抹茶
は飲まない。
苦いばかりなのだ。
苦いばかりなのだ。
今の職場は、「お茶が飲みたければ自分で入れる。」 という暗黙のルールになっているし、
お茶を入れる必要があるような来客がめったにないため、練習(?)も出来ないし。
お茶を入れる必要があるような来客がめったにないため、練習(?)も出来ないし。
月に一度くらい、数少ない来客時に入れたお茶も
「マキチャントッシュさん、今日のお茶・・・薄かった。」 (←本当は、「マズかった。」 と言いたい。)
と、心優しい所長ですらダメ出しをしてくるくらい、
私は本当に、お茶を入れるのがヘタなのだ。
「マキチャントッシュさん、今日のお茶・・・薄かった。」 (←本当は、「マズかった。」 と言いたい。)
と、心優しい所長ですらダメ出しをしてくるくらい、
私は本当に、お茶を入れるのがヘタなのだ。
これは、OLにとって致命傷である。
そんな私に、OLの真価を試される出来事が・・・。
先日、新しく赴任してきた所長が、
「マキチャントッシュさん。 今日、営業部から○○部長が来られるので、お茶を出していただけますか?」
と言ってきた。
「マキチャントッシュさん。 今日、営業部から○○部長が来られるので、お茶を出していただけますか?」
と言ってきた。
お茶の入れ方が分からない、とは言っても、
急須に茶葉を入れて、お湯を注いで、湯飲みに注ぐ・・・くらいのことは、私だって知っている。
(ただ、分量・温度・濃さ・注ぐタイミングが、分からない。)
急須に茶葉を入れて、お湯を注いで、湯飲みに注ぐ・・・くらいのことは、私だって知っている。
(ただ、分量・温度・濃さ・注ぐタイミングが、分からない。)
「はい。わかりました。」
と返事をした私に、所長がポツリ。
と返事をした私に、所長がポツリ。
な、なんですと?!
所長 : 「本当に怖いんで、よろしくお願いします。」
私 : 「そ、それは・・・顔が怖いんですか? それとも、中身が怖いんですか?」
所長 : 「顔も怖いけど、中身も・・・。 とにかく!本当に怖いんです!」
私 : 「えぇえーッ?!」
私 : 「そ、それは・・・顔が怖いんですか? それとも、中身が怖いんですか?」
所長 : 「顔も怖いけど、中身も・・・。 とにかく!本当に怖いんです!」
私 : 「えぇえーッ?!」
その、私達のやり取りを聞いていた年配のオジサマ達が、○○部長の逸話を次々に教えてくれた。
「あの部長のせいで、クビになった社員が何人いることか。」
「食事時の作法が気に入らないって、女性社員に食器を投げつけた。」
「食事時の作法が気に入らないって、女性社員に食器を投げつけた。」
などなど、
身の毛もよだつような話が、出るわ出るわ・・・。
身の毛もよだつような話が、出るわ出るわ・・・。
それを聞いていた事務所の全員が、一斉にクルッ!を私のほうを振り返り、
「マキチャントッシュさん、お気の毒・・・。」 という、哀れみの視線を送ってきた。
「マキチャントッシュさん、お気の毒・・・。」 という、哀れみの視線を送ってきた。
「しょ、所長! 私、じつは、お茶を入れるの、すっごくヘタなんです!」
「前任の所長に聞いていただけばわかりますが、本当に、ヘタなんです!」
「前任の所長に聞いていただけばわかりますが、本当に、ヘタなんです!」
必死で訴えた私に、所長は冗談半分本気半分で、こう言った。
それから○○部長が来るまでの数時間、
私はマジで胃が痛かった。
私はマジで胃が痛かった。
そして、その時はやって来た・・・。
確かに、恐そうな○○部長。
でも、そこはベテランOL(?)の私。
愛想良く出迎えて挨拶をこなす。
愛想良く出迎えて挨拶をこなす。
そして、すぐにお茶入れに取り掛かる。
母に教えてもらった、美味しくお茶を入れる方法を頭の中で繰り返し、
ひとつひとつ、指差し確認をしながら準備をする。
ひとつひとつ、指差し確認をしながら準備をする。
「美味しく出~ろ・・・美味しく出~ろ・・・。」
と呪文を唱えながら、湯飲みにお茶を注ぐ。
と呪文を唱えながら、湯飲みにお茶を注ぐ。
色の濃さを見たって、味見したって、どうせ、その良し悪しの判らない私。
「もう、出すしかない・・・。」
茶托の上にお茶がこぼれないよう、しずしず歩いて持っていく。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ・・・
恐ろしさのあまり、手が震えてカタカタ鳴ってしまう。
しかし、そこは女優(?)。
ドアをノックして会議室に入った途端、カタカタは止まった。
ドアをノックして会議室に入った途端、カタカタは止まった。
私は私の持てるOL接遇マナーのスキルをフル活用で、お茶を出した。
なんと!
超怖いと前評判の○○部長が 「ありがとう。」 って、「 “ ございます ” 。」 って言った!
超怖いと前評判の○○部長が 「ありがとう。」 って、「 “ ございます ” 。」 って言った!
いやいや。 ここで油断してはなりませぬ。
会議室を出るまでは。
会議室を出るまでは。
パタン・・・
と静かにドアを閉めて、私は一気に全身脱力した。
緊張した。
すんごい汗かいた。
疲れた。
すんごい汗かいた。
疲れた。
2時間ほどで会議が終わり、○○部長はご機嫌を損ねることなく
最後には笑顔まで見せて帰っていった。
最後には笑顔まで見せて帰っていった。
ああ・・・。
長年OLをやってきたけれど、
お茶一杯で、こんなに疲れたことはない。
お茶一杯で、こんなに疲れたことはない。
出来れば、避けて通りたい “ お茶汲み ” 。
だが、やっぱり “ OLの必須 ” なのだ。
だが、やっぱり “ OLの必須 ” なのだ。