今回グロトリアンでベートーベンの熱情ソナタを弾くにあたって、
どうしても思い出してしまう、
どうでもいい話。
わたしは、
たぶん一生、
ベートーベンを弾くと、
条件反射でカレーの匂いを思い出すと思う。
それくらい深く、
ベートーベンとカレーの匂いが結びついてしまっている。
パリに留学していたとき、
3回引越したうちの2回目のアパートは、
バスチーユのオペラ座の裏手の通りにあり、
毎日大規模なマルシェが立つアリーグル広場の隣でした。
わたしの部屋は2階で、
1番ピアノの音が響く階下は日中だれも人がいないから、
ピアノをいくら弾いても大丈夫と、
カメルーン人の大家さんがいうので、
そこを選んだのです。
人種のるつぼという感じのアリーグル広場周辺は、
雑多な雰囲気が刺激的で、
近所の探検ばっかりしていました。
わたしの住んでいたアパート、
住んでみたら話が違う。
毎日夕方になると、
白い布をまとってお皿みたいな帽子を頭に乗せた色黒の男たちが、
何十人も、
わらわらと集まってきて、
中庭がいっぱいになる。
聞いたこともない言葉で雑談した後、
全員がすーっと建物の一階、
つまりわたしの部屋の下に消えていく。
なんと、
一階はぶち抜きで、
不思議な宗教の道場だったんです。
儀式らしきものが始まると、
太鼓の音に合わせて、
演歌みたいにコブシを効かせた歌をみんなで唱える。
途中から、
強烈にスパイスの効いたカレーの匂いが、
あたり一帯に漂いはじめる。
どうやら最後に給食が出ている模様。
最初はびくびく様子を伺って、
その時間帯のピアノ練習は控えていたものの、
笑顔で挨拶し合ううちに慣れてきて、
みんなが祈りを捧げる最中も、
その真上で、
平気でピアノを練習するようになりました。
試験でベートーベンの熱情ソナタを弾くので、
毎日のように弾いていたある日、
あれ?
祈りの太鼓とリズムと、
私の弾くベートーベンのテンポが、
ぴったり合っちゃった。
そこに、
追い討ちをかけるように、
カレーの匂いが。。。
太鼓を叩いていた人に、
ベートーベンが聞こえてたんだろうか?
彼が合わせてくれたんだろうか?
永遠の謎。
関連写真が一切ないので、モンマルトルの丘から撮ったパリ全体の写真を。
このどこかに、あの部屋もまだあるのかな?
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再び心に響く音色を奏でたい。北軽井沢ミュージックホールピアノ修復プロジェクト!
〈募集期間〉2019年7月26日〜9月30日
〈目標金額〉100万円
〈支援方法〉
こちらから↓
https://camp-fire.jp/projects/view/168983
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瀬尾真喜子トーク&ピアノコンサート
ドイツで生まれた長老ピアノ
グロトリアン・シュタインヴェーグの音楽
2019年8月12日(月・祝)
13:30開場 14:00開演
北軽井沢ミュージュクホール
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【眠れる森の長老ピアノ⑤ ー クラウドファンディングで修復へ】
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★本日の即興演奏★
(一日一即興968日目2019年8月4日)
~ 不規則な自然 Irregular nature ~ 迷いなく ~
一日ひとつ即興演奏をしています。
なにも考えず、
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