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7月26日の「心ないことを言われた時どうする【経験すると失うもの】」に支持とコメントをいただき、ありがとうございます。(コメントありがとうございます、ルナさん、背中の正面さん、Manamiさん、ののこさん、ooyamadaisuke2さん)

 

 

 

私が社会に出たのは30年ほど前、文系女子の就職は厳しいと言われていました。友人は「就職のため、一緒にタイピスト学校に通おう」と私を誘い、私たちはダブルスクールで専門学校の夜間クラスに通いました。大学では文系のためのプログラミング講座が開かれ、私たちはブラインドタッチやプログラミングの基礎など、いろいろ武装して就職試験に臨みました。

 

ところが、面接で聞かれるのは「結婚しないの?」や「彼氏はいるの?」ばかりでした。友人はセクハラ面接に怒り、「もう就職活動はしない」と言い、卒業後、琴の演奏家になる道を選び、まわりをびっくりさせました。


私は出版社に就職したものの、今ならセクハラで問題になりそうなことが日常茶飯事でした。男性上司は、「うまずめって知っている?石女って書くんだよ」と、私に話しかけてきました。

 

「女はね、男の3倍の仕事をして、やっと一人前とみなされるのよ」

仕事を教えてくれた同業の女性の先輩に言われました。当時はそんな風潮があり、私のまわりにいた女性の先輩たちは、仕事中心の生活をしており、シングルの人がほとんどでした。

 

社会に出たものの、「結婚して仕事をやめる人はいりません」と言われ、「どうして結婚しないの、女は結婚して一人前だ」と言われ、「男の3倍働かないと一人前と認めない」と言われ、「いったい、どうすればいいのだ」と、20代の頃は怒ってばかりいた気がいます。

 

当時は若く、まわりから言われる言葉を真に受けていたせいだと思います。けれど、いま思えば、矛盾だらけの心ない言葉など気にしなくてよかったと思います。

 

心ないことを言われても、だれも気にしなくなり、やがてだれも言わなくなり、つぎの世代の人たちが、私たちの頃より生きやすくなったらいいなと心から願います。

 

 

 

 

 

星月夜軒下に置く猫の皿  秋山裕美

(「炎環」2020年11月号)