海ちゃんの娘である渚ちゃんが
一番心痛めていたこと。
それは、父親の不倫以上に
そのことで傷ついている
母である海ちゃんのこと。
海ちゃん
「ママの気持ちは、ママが治せる。
だから渚は、自分のこと
将来のことや進路のこと
いっぱい考えていいの。」
渚ちゃん
「でもさ、将来のことって
大人は言うけど、、
高校生で将来なりたいものが
ハッキリしてる子って
どのくらいいると思う?」
海ちゃん
「・・・まぁ、そんなにいないよね。
ママだって、漠然と思ってたことは
色々あったんだけど
結局どれにもなってないし・・・」
渚ちゃん
「ママにも、夢はあったの?」
海ちゃん
「うーん、これといって大きいものは
なかったのかも。
県外の大学に行ったのも、
一旦地元を離れてみたいっていう
そういう気持ちからだったし
だからといって東京に行くほどの
勇気はなかった。それで
自分の偏差値で入れそうなところを
探した感じなの。」
渚ちゃん
「そっか、、でもその大学に行って
ママは良かったと思う?」
海ちゃん
「それは、すごく良かったって思う。
今の仕事に直結してるかと言われたら
ママの場合は全然そうじゃないんだけど
やっぱり学生時代じゃないと
出来ない経験もあったし、
今でも付き合える友達にも出会って
もちろん渚の歳のころは、
なんで勉強なんかしないといけないの?って
何度も思ってたはずだけど
反対に、勉強しない理由ってなんなの?
とも思う。知らないことを知れるって
やっぱり楽しかったのかも。」
渚ちゃん
「へぇ、、ママも
なんで勉強しなきゃいけないのって
思ってたのか。」
海ちゃん
「それは、ほとんどの人が
そう思ってると思うよ。
それだけ日本が、恵まれてる
証拠でもあるんだろうね。
だってしようと思えばいくらでも
出来る環境があるんだもん。」
渚ちゃん
「それは、、そうなのか・・・」
海ちゃん
「なんか、渚と話してると
やっぱり高校生っていいなって思う。
今の記憶のまま高校生になったら
多分すっごく勉強するんだろうな。」
渚ちゃん
「え、今からしたらいいじゃん。
ママ、さっき言ったばっかりでしょ
しようと思ったら
いくらでも出来る環境だって。」
海ちゃん
「うわー、確かに!」
渚ちゃんと海ちゃんは、
顔を見合わせて笑い合う。
渚ちゃん
「私、、パパのことがなければ
多分こんなに将来の進路のこと
真剣に考えなかったのかも。
いや、だからってパパのことが
あってよかったなんて
全く思ってないけど、腹立つけど
もうちょっと進路のこと
考えてみようかな。
カウンセラーさんも
今の仕事にしたいって決めたの
二十歳過ぎてからなんだって。」
海ちゃん
「へぇ、カウンセラーさんと
そんなことまで話したの。」
渚ちゃん
「うん、あのカウンセラーさん
素敵だなって思ったから
聞いてみたんだ。」
海ちゃんは渚ちゃんの話を聞きながら
自分ももっと勉強して
今以上に仕事を頑張りたいと
なんだかやる気が湧いてきていた。
ーーーーーーーーーーーーーー