カウンセラー羽鳥さん

「では、お子さんがいなかったとして

 それなら海さんは

 迷わず離婚を選びますか?」

 

 

 

羽鳥さんの質問には

痛いところをつかれたような

そんな気持ちになる。

 

 

 

 

海ちゃん

「子供がいなくても、、、

 迷います、、、、、、、、」

 

 

 

カウンセラー羽鳥さん

「それは、、自分ではその気持ちが

 どうしてなのか、

 わかっていないですか?」

 

 

 

 

海ちゃん

「・・・・・・・

 

 えぇと、、言葉で説明するのが

 すごく難しいんですが、、」

 

 

 

カウンセラー羽鳥さん

「いいですよ。いっぱいその理由を 

 並べていただいて。」

 

 

 

海ちゃん

「えぇと、、、1つは、、

 悔しい、、だと思います。」

 

 

 

 

カウンセラー羽鳥さん

「なるほど、、どうして

 そう思いますか?」

 

 

 

 

海ちゃん

「・・・・・そうですね、、

 

 夫は自分で好き勝手

 2年以上も若い人と恋愛して

 デートもして、外出して、、

 

 でも私はずーっと夫を信じて

 家のこと、子供のことを

 やってきたんです。

 

 子供は自分の命より大事なはずなのに

 そう言ってた夫がこんなことをして、、

 

 もし離婚したら、、

 

 また身勝手に過ごすのかなって

 そう思ったら、悔しいです。」

 

 

 

 

カウンセラー羽鳥さん

「そうですか。

 それは悔しいですね、、

 

 一生懸命やってきたから尚更です。

 

 ではその気持ちをもう少し

 深く掘り下げてお聞きしますが

 その悔しさは、怒りからなのか

 愛情からなのか、、

 今は、どっちなんでしょうね。」

 

 

 

 

海ちゃん

「・・・どっちもです、、、」

 

 

 

カウンセラーの羽鳥さんが

黙って頷く。

 

 

最初はこの感じが、苦手だと思ったが

感情的にならず、けれど

しっかり受け止めてくれていて

だからこそなのか、

海ちゃんも冷静に話せている。

 

 

 

海ちゃん

「こんなことがなければ、、

 私は夫とこの先、一生仲良く

 会話も多い夫婦になれると

 思ってたんです。

 

 長年一緒にいたら会話がない

 なんていう友人も多いですが

 なんで話すことないの?

 いっぱい話したいことあるのに!

 

 って、、、

 

 だから、、苦しいです・・」

 

 

 

 

海ちゃんはこうして、

自分の苦しみを打ち明ける。

 

 

 

 

そして

 

 

 

海ちゃん

「それであの、、、

 もう1つご相談があって

 お時間まだ大丈夫ですか・・」

 

 

 

 

カウンセラー羽鳥さん

「大丈夫ですよ、どうぞ。」

 

 

 

海ちゃん

「今日一緒に連れてきている

 娘のことなんですが、、、

 

 本当は娘にもこうして

 話を聞いていただきたいんです・・

 

 一緒にカウンセリング受けてみない?

 って言うと、私は大丈夫って

 言われるんですけど、、

 

 娘は私のために色々と

 我慢しすぎている気がして・・

 誰かにちゃんと本音を

 話せてるのかなって、、、」

 

 

 

その時初めて、

このカウンセリングの中で

海ちゃんは涙を流した。

 

 

海ちゃん

「私、、夫の不倫がわかって

 

 ・・・まだ高校生の娘に

 色々相談しすぎたんです・・・

 今思えば、、なんであんなことまで

 話しちゃったのかなって、、

 

 父親の不倫なんて、 

 高校生の娘にとったら

 気持ち悪いに決まってるじゃないですか

 

 それなのに、、

 

 背負わせてしまいました、、、」

 

 

 

 

カウンセラー羽鳥さん

「なるほど、、、そうですか、、

 

 お母さんのお気持ち

 よくわかりました。

 

 それは悩ましいですね、、

 ただカウンセリングは、

 本人の意思がないと

 無理に始めるわけにいかないんです。

 

 なので今日のことをまず

 帰ってお嬢さんに話してみてください。

 

 もし今日のこの経験が

 海さんにとって良かったことなら

 お嬢さんももしかしたら、

 一緒に行ってみようと

 思ってくれるかもしれません。」

 

 

 

 

海ちゃん

「確かにそうですね。」

 

 

 

 

カウンセリング時間は30分。

 

 

それでも海ちゃんは、

少しスッキリしたような

そんな気持ちになれた。