地球に似た惑星
ある日博士が望遠鏡を覗き込んで夜空を見ると、もうひとつ地球を発見しました。
驚いた博士はもっとよく観察してみることにしました。
しかし大陸のかたちや、人口、建物などどれもそっくりでした。
電車や車もみかけました。
拡大してみると動物たちもちらほら見えましたし、木や花もありました。
服装も現代風でした。大人も子供もいて、会社や学校もありました。
肌の色もさまざまでした。
どうやら本当に地球にうりふたつです。
もっと拡大してみることにしました。
よく見ると博士はひとつだけ今住んでる地球と違うものを発見しました。
人々の中には誰も笑っている人がいませんでした。
その代わり泣いてる人も怒ってる人もいませんでした。
苦しんでる人がいない代わりに楽しんでる人もいませんでした。
そこは感情のない氷のような惑星でした。
博士は望遠鏡をたたみ寝室へ行きました。
妻がだらしなくいびきをかいて寝ていましたが、今夜はその寝顔を一晩中見ていたいと思いました。
終
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