父は原宿で人事の仕事をしていて、会社の経費で毎日、日本酒とニンニクで焼肉を食べて帰ってきた。帰りは深夜で母と私は父の帰りを起きて待っていなければならなかた。兄はサッカーをやっていて朝が早いからとして免除されていた。母は私に寝てていいよと震えながら言った。深夜父がタクシーで帰ってきて、寝ていた私に気付き、私を引きずり回し、平手打ちを何度もした。母はなんで暴力振るうの?と泣きながら父を止めていた。なんで渉は良いの?なんで昇は寝ちゃいけないの?と毎日言っていた。我が家は政治的に分裂していて、秘密警察とマフィアの二つが混在した家庭だった。父の水虫は家族全員に感染り、私等は激しいアトピー性皮膚炎にまで至った。牛乳は私の生命そのものだった。普通の牛乳では事足りず、生協の牛乳を1日2リットル飲んでいた。ちょうどドリフで、わが家を密告していた時代だ。ドリフターズやザ・ベストテンや、ひらけポンキッキやNHK教育番組やジャッキーチェンやマイク・タイソンは同志だ。
私にはそんな暗い過去がある。