先日の10月22(火・祝)のトークライブ『古代紀国の女王「名草戸畔伝説」〜知られざるもう一つの建国物語〜』では、雨の中、皆様にお越しいただき、ありがとうございました。

 天皇陛下の「即位礼正殿の儀」のこの日に、仙台市戦災復興記念館にて、名草戸畔はじめ、逆賊の伝承や古代の母系社会、宮城の伝承のお話たっぷりの2時間でした。

 今回は、シュタイナー幼児教育者でみちのくひかり歴史クラブ主宰の虹乃美稀子さんより、ご自身の母方より伝わる名取老女の伝説や、宮城仙台の貴重な伝承の臨場感たっぷりのお話。
 ヨガや瞑想のワークショップなどで有名な清水友邦さんには、かつて世界的な規模で主流であった母系社会の歴史や、女性原理と男性原理とは何かといった心理学ベースなお話まで分かりやすくしていただき大変面白く、お二人のお話を聞いてからうっかり帰りそうになりましたが、自分の番になりました。





 名草戸畔は、神武東征の物語で「神武軍に負けなかった」と口伝で伝承されており、逆賊です。即位された天皇陛下とは真逆のスタンスなわけです。
 もちろん、天皇陛下は個人としての生を捨てて鎮護国家のため祭祀をこなし「象徴」として生きる大変な方でもはや人間ではなく、それも凄いことですが、世の中は一律ではなく雑多に様々な要素が存在して良いと私は考えています。
 名草戸畔は神武軍に抗して名草の民を守った伝承があります。逆賊は地元にとっては心躍る英雄なのです。そんな物語を、史実かどうか分からないなどといった実証主義的な価値観により否定しては心にとって大切な物語を破壊することになります。
 土地の伝承は、神話的思考が生きている時代に生まれたもので、何らかの歴史的事実や民族のアイデンティティを表す神話、元型的な神話が渾然一体となっており、分断することはできません。そもそも分断しては成り立たないものなのです。
 様々な伝承に流れる神話的な思考を「迷信」「思い込み」と考えるようになった明治から戦後にかけて全国の貴重な口伝、伝承、伝説は消えていったのです。
 神話的思考とはいったい何なのか、という問題は実はまだきちんと考えられていないように思います。
 列島には、南も北も逆賊だらけ。東北の阿弖流為も有名です。なんと、虹乃美稀子さんのお話によると、石巻に未見の名草戸畔のような女性首長の伝承があることも少しずつ分かってきているそうです。各地の伝承が発掘され、様々な階層の物語を愉しむことができれば、名草戸畔伝承がその一助になれば、と願っています。

なかひらまい
2019年10月25日