『secret halloween 1』




「きゃっ!」


下校途中に公園から飛び出して来た小さな男の子にぶつかられて

「…っぶね」

よろめいたわたしを隣を歩いていた彼が受け止めてくれたのは良かったのだけれど

「飛び出したら危ねぇだろ」

しりもちをついて転んでしまった男の子を彼が抱き起こそうとしたら

「え〜ん」

盛大に泣き出してしまった

「もう、だめだよ。こんなちっちゃい子にそんな言い方しちゃ。大丈夫?パパかママは近くにいるの?」

慌ててわたしが抱き上げると、男の子は泣き止んで

「あっち…」

小さな指で指し示した方向から走って来た母親らしき女性を「ママ」と呼んだので、お渡しすると

「バイバーイ」

何度も振り返って手を振ってくれる姿がとても可愛くて

「子供って可愛いよね」

そう言ったわたしに彼はなぜか黙ったままで

「…」

「もしかして子供が嫌いなの?」

「嫌いってわけじゃねーけど苦手かもな。おまえみたいに年の離れた弟がいるわけじゃないから扱いに慣れてないっていうか」

「そっか、そうだよね」

じゃあまたね…とバイトに向かう彼と別れて我が家に帰ったわたしは、また悪い思考に囚われてしまった

まだ結婚はおろかプロポーズさえされていないのに(しかも彼もわたしも高校生)こんなことを考えるのは我ながらどうかしてるとは思うけど


もしも将来、彼と結婚できたら


やっぱり子供は欲しいなぁって

でも

彼が子供が好きじゃないとしたら、どうしよう。

あれっ?

ちょっと待って

去年のクリスマス

なかなか進展のない彼との関係に不安になって行ってしまった『未来』の世界

あの時に出会った金髪の小さな男の子は彼の小さい頃にそっくりだった

しかも『お父さんの名前は?』と聞いたらはっきりと彼の名前を言ってたし

残念ながらお母さんがわたしだっていう確証はなかったのだけれど、あの子が彼の子供なのは間違いなさそうだった

しかももうすぐ弟か妹が生まれるって言ってたから、最低でも未来の彼には二人以上の子供がいるってことだよね?


嘘と真実が半々の世界


それにあの時、未来を知ってしまったら楽しみが無くなっちゃって寂しいかもってすごく反省したはずなのに

もう一回だけ行ってみようか

未来の世界に




continue(次回に続きます)↓

※今回のお話はほぼ全話彼女目線+αになります。 にあ