傍にいても心はない | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

心はいつも自由だから。

ずっと傍にいるからわかることがたくさんある。


「珠洲・・・」


「なに?」


声をかけると返事を返して俺を笑顔を向ける。

けれど知っているから。

瞳は俺を見ているようで俺を見てない。

俺に話しかけているようで話しかけていない。


「どうしたの?晶」


「いや・・・。遅刻するぞ」


「ごめんね」


言葉を濁した俺に、上目遣いで誤ると

学校へ走り始めた。

そんな珠洲の後ろ姿を目で追いながらぐっと拳を握り締めた。


あいつの心は常にあの人を追っているのだろうと。

冷たい風が俺の身体を通り抜ける。

本当に風のように現れた人だった。

銀髪の髪をなびかせ、凛とした姿は俺でも憧れを持つほどで。

冷えた瞳に明かりを灯したのは、他の誰でもない。


「晶~~。はやく~」


俺の名を呼んでるあいつ。


『お前がいるから、平気だろう』


あの人が言った最後の言葉。

ぶっきらぼうなあの人が俺にいった最後の言葉。

光に包まれ消える瞬間俺に見せたあの人の姿が忘れられない。



「俺は・・・・」



近くにいても、心はあなたへ行ってしまった少女の隣で

俺はこれからどうしたらいいのだ。



「あなたは卑怯だ」



放った言葉に答えるかのように、木々がざわざわと騒ぎ

舞い散る木の葉が俺を包んだ。
















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あとがき

新年のお話は、かなりテンションの低い話ばかりが続いているような。

克彦×珠洲←晶の設定です。