心はいつも自由だから。
ずっと傍にいるからわかることがたくさんある。
「珠洲・・・」
「なに?」
声をかけると返事を返して俺を笑顔を向ける。
けれど知っているから。
瞳は俺を見ているようで俺を見てない。
俺に話しかけているようで話しかけていない。
「どうしたの?晶」
「いや・・・。遅刻するぞ」
「ごめんね」
言葉を濁した俺に、上目遣いで誤ると
学校へ走り始めた。
そんな珠洲の後ろ姿を目で追いながらぐっと拳を握り締めた。
あいつの心は常にあの人を追っているのだろうと。
冷たい風が俺の身体を通り抜ける。
本当に風のように現れた人だった。
銀髪の髪をなびかせ、凛とした姿は俺でも憧れを持つほどで。
冷えた瞳に明かりを灯したのは、他の誰でもない。
「晶~~。はやく~」
俺の名を呼んでるあいつ。
『お前がいるから、平気だろう』
あの人が言った最後の言葉。
ぶっきらぼうなあの人が俺にいった最後の言葉。
光に包まれ消える瞬間俺に見せたあの人の姿が忘れられない。
「俺は・・・・」
近くにいても、心はあなたへ行ってしまった少女の隣で
俺はこれからどうしたらいいのだ。
「あなたは卑怯だ」
放った言葉に答えるかのように、木々がざわざわと騒ぎ
舞い散る木の葉が俺を包んだ。
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あとがき
新年のお話は、かなりテンションの低い話ばかりが続いているような。
克彦×珠洲←晶の設定です。