初出社 | 乳癌記録

乳癌記録

2007年10月に乳癌の手術をしました。右乳房、温存手術で4分の1ほど摘出。

その覚え書です。

 他の部署の人にはろくに説明もせずに休んだ。

 出社しても詳しいことは聞かれなかった。

 事情を知ってる上司や同僚は「大丈夫?」「はい」で何も言ってこない。

 おそらく何も聞いてない、もしくは上司から聞いてるかも知れないけど、とにかく 「具合悪いらしい」と知っている男の子(子、つーても30近いか)は、「大丈夫っすか」だった。

「治療に時間はかかるけど」

「大変なんですか」

「うーん。命にはかかわらない」

「治るんですよね」

 …………。

「うん(5年10年かかるけど)」

 たしか初期ガンは高確率で治る、と言っていいんだよな、と思い出す。

 ありがたいのが最初から具体的な病名とか、症状を聞き出そうとしなかったこと。わきまえててしっかりしたいい子だ。(つーか役職的には上司だ)

 私なら普通に聞いてると思う。


 下手に「初期だから」「末期ではない」「再発」という言葉が出たら、癌を連想するだろうけど、そういう会話にはならない。

 手術後、この程度の傷なら「乳がんです」と言ってもいいかと思ったけど。

 言ったら何年後にか、後悔するかもしれないので黙っておこう。


 が、どうも事情知ってる一人がしつこい。

「大丈夫?」と何度も言うから「うん」とそのたびに答える。

 仕事中、私だって手術したこと忘れてる。

  

 別れ際、「じゃあ」と言っても返事せず、無言で見つめられる。一人しかいない場合、相手も「じゃあ」と言わんと帰りにくいもんです。「……大丈夫?」

 私、普通に働いてたけど? 何がそこまで心配なんだ? 

 胸に傷があるのって、そんなに不憫? そんなにミジメ?

 無事手術が終わって、生きてて、特に痛みもなく出勤してるけど、それで満足しちゃ駄目? 何か愚痴るべき?「辛いの」って告白しなきゃいかんの? 内視鏡で出来なかったこと、悔やんでるとか言うべき?

 

 どうも会社で相談したり、病名言った人間が少ないので、受け止めてくれるつもりのようです。

 いや別に。そこまで求めません。