映画の原題なんだが『漫長的告白』で告白が入ってるので、何となく内容は想像できた。
日本語的には『漫(けじめがない)長(長)的の告白』なので、長く悶々としていた想いを伝える、でいいのかな?と思いながら見た。
さて誰がなんだ?けど。
不治の病を宣告されたドン(チャン・ルーイー)は、長年疎遠になっていた兄・チュン(シン・バイチン)を日本の柳川への旅に誘う。
柳川は北京語で「リウチュアン」と読み、2人の過去に思いを寄せた女性の名前、柳川(リウ・チュアン)と発音が同じ。
ある日突然姿を消したチュンの恋人だったチュアン(ニー・ニー)は、今は柳川で暮らしているという。
彼女が姿を消した理由、そして兄弟が疎遠になった背景に彼女が関係しているのか。
これがこの映画の最大のポイントだと思う。
そしてドンとチュンは柳川でチュアンと再会する。
兄弟が同じ女性を好きになるって、この段階で色々と思うところがあるし、今更過去の女に会いたいというのも「何で?」となる。
「一人の女性」を巡ると、普通に考えて事によっちゃぁ、二度と顔を顔を合わせないが、そこを解決するのがチュアンの役割になるが。
チャン・リュル監督は「柳川」という地名を聞いた時、「柳の下に川が流れている」様子と美しい女性のイメージが結びつき、10年ほど前から何度も柳川に足を運んでは「ここで映画を撮りたい」と語っていたらしい。
その割に美しくもない暗いし、なんか見せるところが違う感じがする。
柳川のまちが全然美しくない。
そして終始兄弟は悶々としていてスッキリしない。
対照的に、チュアンは過去と完全に決別しており、清々しいほどの潔さがある。
このコントラストはよく指摘され、「男はいつまでも過去を引きずり、付き合った女性を忘れられない」というテーマが浮き彫りにされる。
一方、女性は「男と別れるとそこで終わり、新しい人生を歩む」という、清々しいまでの男女の違いを感じる。
そういう意味では笑える。
だからチュアンからすると終わった話なのに「何を今更」になるわけで、兄弟も「いつまで昔のことを」になる。
この点は見ていて笑える。
最後もチュアンがどうのではなく、女性的には霧が晴れたような気持ちになり、閉じ方がきれいで一応はハッピーエンドで終わるが、男心は「どうなったん?」と。
男ってやつは、中島みゆきの「わかれうた」を思い出した。
あの歌は完全に男の歌やもんな。
中野良子の老けっぷりには驚いたが、相変わらず声が綺麗で表情もいい。
何より歌が上手い、さすがは昭和の女優。
チャン・リュル監督作品



