有吉佐和子さんの小説

『恍惚(こうこつ)の人』

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が世に出たのは1972年でした。すでに日本は高齢化社会へ。認知症をテーマにした本は大ベストセラーとなり、これまで家族の問題とされてきた介護に光があてられました

 

▼それから半世紀。認知症をめぐるとりくみはどれほど進んできたか。認知症の行方不明者は増え続け、昨年は1万8千人余りと過去最多に。統計をとり始めた2012年のおよそ2倍になっています

 

▼さらに行方不明者のうち491人が死亡。現状は深刻、社会全体で変えなければならないと専門家は指摘します。声かけなどのサポートとともに行政がとりくみを強める必要性を

 

▼先の国会では認知症の人が尊厳を守り希望をもって暮らせるよう国や自治体に施策をもとめた「認知症基本法」が成立しました。すべての認知症の人が自らの意思で日常生活や社会生活を営める、社会のあらゆる分野の活動に参画する機会を確保する。そんな理念を掲げて

 

▼「共生社会の実現を推進する」との文言が付けられた法律。当事者は「認知症への差別や偏見が低減し、『認知症の人』ではなく『ひとりの人』としてかかわることが当たり前になる社会を願う」と

 

▼国をあげてとりくむ課題という岸田首相。ならば軍拡に血道をあげているときか。2年後には高齢者の約2割、700万人に達するとされる認知症の人をどう支えるか。いったい人間の最後とは、どういうものなのだろうか―。『恍惚の人』が問いかけたもの。それは人の生き方です。