初心・uigokoro
初心・uigokoro 13-1~クリスマスの夜~sideC 真由編
みちるったら・・・なかなかトイレから帰ってこないと思ったら・・・。
少し酔ったようで横にはなってたけどちょっと軽い物作ろうと
身体を起こすと廊下で寝ているみちるに気付いた。
壁際に寄りかかって寝ちゃってる彼女の身体を起こそうとして
ふと掌に握られたままの携帯に目が止まった。
あれ?送信途中・・・だわ。
内容を見るつもりはなかったが、何となく手にとってみた。
送受信の記録を見ると・・・今日耳にしたばかりの名前が並んでいるのをみて
思わず顔がほころんだ。
「みちるったら・・・。」こんなに頻繁にメールし合ってる人との時間に
わたしを誘ってくれたと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
片手でみちるを支えながら途中で途切れたのメールの続きを入れ始めた。
>こんばんは、今日はごめんなさい。
私、みちるの友達の森本真由です。
いきなりこんな事を勝手にしちゃったけど、みちるに対しての申し訳ないと思う気持ちがそうさせた。
>驚いたでしょうね、あとでちゃんと消しておくから大丈夫ですよ。
あの子メールしながら眠っちゃったみたいだから・・・。
わたしは驚く彼の様子を思い浮かべながら、横目でみちるを見てくすっと笑った。
>どういうつもりなんですか?
しばらくして返信が来た。そうね、どうしてだろう。
自分でも良く分からないから答えようがない・・・。
とりあえずは今日の事を説明とお詫びを入れようと思った。
来るか来ないか分からない相手の返事を待っている暇はないので矢継ぎ早にメールを送った
早くしないとみちるが起きちゃう・・・。
>私、あなたがどんな人か見に行くつもりで今日行ったんですよ
本当は先に酔わせてあの子だけ連れて帰るつもりでした。
でも・・・結果こうなってしまったけど、
今は申し訳ないことしたと思ってます。
>いつもあの子が乗る電車の時間を教えるから、
明日逢って話をしてあげて。
今日の事きっと気にしてるから・・・。
>わたしの代わりに・・・。
送った後でほんの少し後悔した。
わからない、しかもどうして最後のこの一文を送ったのだろう?
こんなにこの子を困らせてしまったから、
今さら彼女に合わせる顔がないと思っているのは事実だが・・・。
自分の行動にいささか驚きながらも、自分が今送った数通のメール記録を削除した。
「ねぇ、みちる・・・こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ。」
「ん・・・ぅうん・・・分かったぁ~。」
見た目より力持ちと良く言われるけど、
半分眠ってるわたしより数センチほど背の高い彼女を抱えてはベッドまで連れて行けない。
肩を少し貸してなんとかベッドまで誘導した。
どさっとベッドに倒れこむみちるに話しかけた。
「化粧も落とさないで寝ちゃうなんて・・・肌が荒れちゃうよ、明日彼に会うっていうのに・・・。」
安心したのか、もう寝ちゃったみたいで彼女はされるがままだ。
クリームでそっと彼女の顔を拭いて化粧を落とした。
ねぇ・・・ごめんね・・・心の中でそう思いながら軽く彼女のくちびるに自分のくちびるを重ねた。
「わたし・・・みちるの事、大好きだったの。一番大切な友達だったの。」
<13-2>につづく