住宅の省エネ化に関する企業・団体の声
【「工務店のレベルが低いから断熱基準は課せない」と国交省】 で紹介した議連の政策勉強会ですが、これに先立って8月11日に住宅の省エネ化に関する意見交換会を企業・団体の皆様と行いました。
そこでのお話を以下の通りまとめ、行政にお渡しいたしました。
【8月11日住宅の省エネ政策とエコポイント制度に関する業界団体からの声】
(住宅の省エネ化全般について)
【住宅を燃費表示により消費者メリットの「見える化」を促進すべき】
【断熱効果の高い建物は停電等緊急時にシェルター機能を果たす。公共建物に導入を】
・省エネ機器は躯体断熱に比べて寿命が短い。躯体断熱を促進すべき。
・ドイツでは住宅の燃費を住宅の売買、賃貸時に提示する義務がある。
・住宅の性能を金銭換算できることが消費者の省エネ・断熱リフォーム促進の大きな動機付けになる。
(新築住宅の省エネ化について)
【断熱基準の義務化を前倒しで実現すべき】
・省エネ・断熱住宅を普及させるためには、新築住宅には断熱基準の義務化、既築住宅にはエコポイントなどの動機付けが有効である。
・特に人口の約9割が暮らす次世代省エネ基準の第4、第5地域(関東以西)に早く断熱基準を導入すべき。
・新築住宅建設においてガラス工事に係る費用は工賃を含めて全コストの2%程度であり、断熱効果の高い複層ガラスを導入したとしても負担感はほとんど変わらない。
・新築コンクリート建築物には当初より外断熱工法の実施をすべき。
(既設住宅の省エネ化について)
【省エネ・断熱リフォームの費用、健康メリットを大々的にアピールすべき】
・省エネ・断熱を目的にリフォームをする消費者はほぼいない。住宅の老朽化に伴うリフォームが一般的。
・省エネ・断熱によるコストメリットが見えないためと分析している。
・省エネ改修ガイドラインが環境省、国交省関係団体から出ているが、ほとんど認知されていない。知っていても職人は講習など受けに来ない。
・住宅の熱流出経路は開口部が主(夏場は70%、冬場は50%) ※但し、住宅の断熱環境に関する設定がないので割り引く必要もあり。
・省エネ・断熱を進めるためには開口部の対策が最も有効。窓ガラスの複層化に掛かる費用は5年程度で回収ができて効果的。
・既存住宅の外断熱改修に対する補助制度の拡充。
→長野県茅野市の介護施設にて断熱改修したが、改修後の節電額を計算したところ、改修費用1500万円が6年で回収できた。
→八王子市のUR分譲マンションで断熱改修したところ、住み心地が格段に増し、引越しが減った。また売買価格も1600万円から2300万円と高くなった。
(住宅のエコポイントについて)
・現行のエコポイント制度は1ヶ所の改修から利用可能。よって、試して良かったので他の窓も、という動きがある。この制度は維持して欲しい。
・エコポイントの申請手続きの簡素化が必要。消費者が申請するのは困難。
・エコポイント導入により、省エネ等級の明らかな引き上げが見られ、住宅の省エネ性能の向上促進に大きな効果があったと分析している。
・エコポイント終了後、躯体の断熱性能を低下させる工務店が散見される。
(断熱改修について)
・耐震改修の普及と補助制度の充実度に相関関係はない。最も耐震改修が進むのは静岡県だが補助制度が充実している訳ではない。
・耐震改修のタイミングは売買、賃貸等の取引時。特に売買時は耐震性の担保がなければ客が買わない。
・既存住宅の場合、流通時の検査・インスペクションの公告、普及が進めば、耐震改修も進む。



