いつもお読みいただきありがとうございます😊
先日、大学時代の友人の医師から、LINEで患者さんの相談がありました。
友人N先生は、熱血男性医師で、以前ブログにも登場した人です。
いい先生なのですが・・・
むちゃな相談がけっこう多くて
先生からの断片的な情報だけで診断できるほど、脳神経内科の病気は簡単ではない、と、何度も伝えています。
診察が必須なのです。
それでも、来院された患者さんをなんとかしたいという気持ちでおられるN先生は、自分が全然専門外の脳神経領域の患者さんのことを何度も私に相談されてきます。
そのことは、患者さんのためではあるのですが、私にとっては、負担であり、モヤモヤします。
なぜモヤモヤするか?と考えてみると
自分が診れる範囲を大幅に逸脱している患者さんを、クリニックのためとはいえ、自分で抱えるのはいかがなものか?
ということと
毎回わからないことを全部相談されてくるけど、そのために何回も返信する私の時間の搾取になっていることがわからないのか?ということです
また、診察もしていないのに、いい加減なこと言いたくない!という自分の完璧主義的性格からくる、モヤモヤです。
N先生は消化器内科専門医です。
でも、私は自分の患者さんのことで、勤務時間外に、”実は私の患者さんが腹が痛くて”と相談したことは1度もありません。
そして、私が惜しみなく提供している、脳神経内科の知識も本来は、有償であり、同業者が気軽にしょっちゅう相談するのっていかがなもんか?と。
ただ、そんなことを言うのも、ケチな奴と思われそうなので😂毎回なんとか対応してます。
先日も、LINEで長い長い、相談がありました。
その患者さんは、明らかに脳神経外科領域であり、手術適応かどうか判断が必要なので、私では無理です、といいました。
そして、N先生は都会で開業されているので、近隣に多くのクリニック、医院、大学病院があるのです。
”〇〇医大があてにならないのなら、出身校の大学病院に紹介したらどうですか?”と聞きました
それでも、どうしても他県で、しかも、専門外の私の外来に受診させたいと言われました。
結果
患者さんは、N先生の強い勧めで、当院を受診されることになりました。
家から1時間もかけてこられました。
当日、脳神経外科も受診できるように手配したり、スタッフにも負担がかかりました。
Tさんというその患者さんは、中大脳動脈がかなり狭窄していて、何度も一過性脳虚血発作(TIA)を起こしている人でした。
脳外科のあと私の外来に来られたTさんに、”何が1番お困りですか?”と聞いてみると・・
”すごく疲れやすいことです”と言われました。
え・・・
紹介状には、”左手が震えることが気になるので診てほしい”と書いてありました。
Tさんに、左の手のことを聞くと、”それはN先生が気になっているだけで、僕は全然きになってません”と
疲れやすいって・・・
疲労の原因はそれは様々ありますが、1時間もかけて、私の外来を受診する必要って??と思いました。
要は、N先生は患者さんのニーズを無視して、自分が気になることだけを解決したかったということです。
そして、出身大学に患者さんを紹介すると、恥をかくから嫌だったということと思いました。
それは、どうなんだ?と思いました。
医療もサービス業と言われていますが、サービスとして間違ってないか?と。
Tさんの診察結果は左上肢の振戦は右基底核の脳梗塞の影響であり、後遺症ですと伝えました。
そして、疲労の原因の1つとしては、睡眠時間が短いこと、またいびきが多いと言われたことなどから、睡眠時無呼吸症候群が考慮されるので耳鼻科受診が必要と思われると伝えました。
Tさんは、”はあ、そうですか。で、なんで脳神経内科受診だったんですかね?”と聞かれてこちらが困りました。
他の要因を調べておきますね、といって疲労について必要そうな採血を追加して帰宅いただきました。
N先生は、いい先生なのですが、細部にこだわりすぎ、”患者さんにとって、何が本当に問題なのか??”がずれていることがあります。
医師が気になる症状も大切ですが
それ以前に、”患者さんは何が1番困っていて、何を治してほしいのか?調べてほしいのか?”
それが1番大事なんじゃないかと思いました。
相手のニーズを、ちゃんと聴く、確認する。
どんな仕事でも大切なことだと思います