2018年新作映画マイベスト10 | シネマの万華鏡

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ちょっぴり腐女子な映画評。
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これまで映画ブロガーさん恒例の年間ベスト10はやってませんでしたが、最近忘れっぽいので今年からはこまめにまとめておきたくて、手始めにここから手をつけることにしました。

順不同・洋画邦画混在で、今年記憶に残った10作品。

 

『きみの鳥はうたえる』

 

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ずっと、こういう文芸映画を待ってたんです。「やっと出会えたね、ありがとう」と言いたい気持ちだったのに、なんだこのレビュー。。。自分のねじ曲がった性格を改めて反省しました。

 

三角関係なんて言葉は絶対違う三人のやさしくてせつない関係が、北海道の澄んだ空気によく似合う。

静雄(染谷将太)と佐知子(石橋静河)が二人で泊りがけで出かけた日、「僕」(柄本祐)は独り暗いアパートに帰って、冷蔵庫を開ける。

庫内から洩れる灯りに照らされながら氷を取り出し、扉を閉めて背を向けた僕の後ろで、閉まりきれなかった冷蔵庫の扉から、まるで「僕」の心の隙間を見透かすように、細く灯りが漏れている・・・

そんなシーンも、三人の関係の中の一コマとして、心に響きました。

心の内側だけを映し出していくような映像が好きです。

 

『スリー・ビルボード』

 

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これも、観たかった映画に出会えた気がした1作。

冒頭、フランシス・マクドーマンド演じるいかにもクセのあるオバちゃんが、車のウインドーを下げてロードサイドの3枚の立て看板を見上げるシーンから、すでに良作の予感。

サム・ロックウェル演じる警察官の正義ヅラの暴行がまた凄い。

深く傷つき、ささくれだった心を抱えた人々、彼らの「報復」への固執がテーマ。

今まで何十回となく観たテーマなのにとても新鮮に感じたのは、転機がとてもゆるやかに訪れる構成のせい? 

人間は簡単には変われない、でも少しずつなら。。。シャレにならないレベルに欠点だらけの人物像、ギリギリまで現実に歩み寄った着地に圧倒されました。

 

『ビューティフル・デイ』

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ホアキン・フェニックスが、死に焦がれながらも、拉致された少女たちの奪還という仕事を支えに生きる男を演じています。

ホアキンの死んだ魚のような眼、水死体を思わせるブヨブヨと緩みきった体が強烈な印象。

フラッシュバックのように主人公の記憶が細切れに挿入される映像は、現実と内面世界が混ざり合っているのか、それともすべてが内面世界の投影なのか・・・

凄惨すぎる顛末の果ての、少女の無垢な微笑み。彼女の碧い瞳が、人生の極北の澄みきった美しさそのもののように見えました。

人生の最果てにだけある青空・・・ブラックホールに吸い込まれてホワイトホールに抜け出る、そんな感覚をイメージしました。意味不明(笑)

 

『君の名前で僕を呼んで』

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まさかもう一度ジェームズ・アイヴォリーの新作を観ることができるとは、それも『モーリス』と同じ真正面からホモセクシュアルの愛を描いた作品とは・・・それだけでも、感涙。

私にとっての歴史的事件です。

自分の名前で相手を呼ぶ。

そんな形で一体感を確かめ合う2人がいい。これができるのは、同性愛の恋人同士だけ。

タイトルにもなっていますが、作品の中でこの言葉を聞いた時には心が震えました。

今、世界一美しいと言われているティモシー・シャラメと、多分世界で二番目に美しいアーミー・ハマー(私見)がメイク・ラブ。この脚本を90歳近いジェームズ・アイヴォリーが鼻息荒く書いてる姿を想像してニタニタせずにはいられません。

 

『ROMA ローマ』

 

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公私共に厳しい時代を生きる家族と、自身苦しみを抱えながら家族に仕える家政婦の少女の絆。

何かを失った苦しみを、新たな何かを得ることで乗り越えていくという、誰の人生にもある物語を、70年代初頭のメキシコという特異な社会の中で描いた作品です。

美しい映像に忍ばされた、当時の社会を風刺する視点、それが生み出すごく微量の可笑しみがすごく好み。

 

『フロリダ・プロジェクト』

 

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最近、アメリカでも低予算ものが冴えてますね。

主演のブリア・ヴィネイトはインスタの投稿画像で発掘されたそうですが、とても演技のド素人とは思えないビッチな母親のビッチなりの愛が溢れた映像。

子供たちの演技も驚くほど自然体・・・まるでドキュメンタリー映画を観ているようでした。

でも、一番冴えてるのは、ディズニーランドの隣りに家を借りられないワケありの人々が棲みついたモーテルがあるという事実にフィーチャーしたアイデア。

夢の国とそれを取り囲む貧困の鮮やかな対比が、現実世界から切り取られたものだということに興奮しました。

 

『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』

 

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1994年、オリンピック選手選考会場で知人の男にライバル選手を襲撃させた容疑で逮捕された元フィギュアスケート選手トーニャ・ハーディングが事件の真相を語るという、テレビ番組風に仕立た作品。

マーゴット・ロビー演じるトーニャのふてぶてしさ、彼女を取り巻く人々の強烈な個性に目を奪われましたね。

笑わせられつつも、知らず知らずトーニャの転落の蔭にある格差にも目を向けさせられる。採点競技の曖昧さも・・・

スパイシーな後味。

 

『レディ・バード』

 

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グレタ・ガーヴィクの分身を演じるシアーシャ・ローナンの自然体の演技がいい。似せてもいるんでしょうが、顔立ちもグレタ・ガーヴィクに似てますよね。

お互い似た者同士なだけに余計にぶつかりあう母親との軋轢、故郷を旅立つ日の格別の思いなど、誰もがその年頃の自分自身の姿を思い出して涙する・・そんな等身大の映画。

全体像はありきたりですが、ディテールが面白く描き込まれていて、グレタ・ガーヴィクの人間観察好きが作品に顕れているのが高評価。

 

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』

 

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評価が分かれている作品ですが、これ、美術館のキュレーターを務める主人公・クリスティアンの人物像がすごく「いるいる」。そこが面白いと思いました。

この美術館の上層部やサポーターは皆裕福な人々。クリスティアンもその1人で、教養があり穏やかで「金持ち喧嘩せず」の見本みたいな人物です。

でも、彼が意識していない部分で、差別意識をまき散らしてる・・・弱い立場の人間はそれを敏感に感じとります。

彼が「思いやりの聖域」というインスタレーションを企画する、これ自体が強烈な風刺なんです。

富裕層の側から見た格差がテーマ。意識して選んだわけじゃないのに、2018年は格差テーマの作品をたくさん観た気がします。

 

『カメラを止めるな!』

 

『「カメラを止めるな」は何故ウケたのか?』はこちら

 

社会現象にまでなった『カメラを止めるな』。もう作品説明は一切必要ないですね。
窒息しそうなほど笑えただけじゃなく、演技・技術の未熟さ・資金の不足・知名度の無さなど、普通ならマイナスにしかならない要素を強みに変換した逆転の発想がお見事!

 

300万円で製作して、なんと興収は30億円を超えたとか。映画は製作費の2・3倍の興収を上げれば採算すると言われていますが、1000倍ですか。

この記録は映画史に残りますね。

 

後日追記分

初めての年間ベストでしたが、1日経ってみると『レディ・バード』を『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』に入れ替えたくなりました(汗)

迷うタイプの私の場合は、考えた後ちょっと寝かせてから記事にしたほうがいいのかも。

今回の反省点です。

 

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