バルカン超特急 |  へんくつマッキーの日向ぼっこ

 へんくつマッキーの日向ぼっこ

 偏屈オヤジが映画・小説・マンガ等について、
 独断と偏見に満ちた戯言を綴っていきます。
 暇つぶしになれば幸いです。

 

 東欧のパンロリカ国、雪で列車の出発が遅れた。ホテルには結婚のために英国に戻るアイリス、老女の家庭教師フロイ、音楽研究家のギルバート、クリケット狂の二人の男、不倫旅行中の弁護士カップルがいた。アイリスは上階のギルバートが民族舞踊の記録を取るために大きな音を出していることにクレームをつけて一度は部屋から追い出す。ところが部屋を失ったギルバートが自分の部屋に乗り込んできて一夜を明かそうとするではないか。やむを得ず彼女は、ギルバートを元の部屋に戻すようにホテルに頼む。その頃、ホテルの外ではフロイが聞き入っていたギター弾きが、何者かに殺される事件が起きていた。

 

 翌朝、駅のホームでアイリスが友人と別れを告げていた時、声を掛けてきたフロイがメガネを落とした。メガネを拾いフロイに届けようとしたアイリスだが、落ちてきた植木鉢に頭をぶつけてしまう。朦朧としながらも列車に乗ると、前の席はフロイだった。二人は食堂車でお茶を飲み、自己紹介した後、席に戻った。アイリスは、そのまま転寝をしてしまった。

 

 彼女が目を覚ました時、フロイの姿はなかった。どこに行ったのか。隣の席の夫婦や男爵夫人に聞いてみるが、彼らはフロイなど知らない、と答える。心配して列車内を探すが、乗務員も食堂の給仕もフロイはど知らないと返事する。これまでアイリス一人だったと答えるのだ。まるでフロイなどという人物はこの世に存在しないかのように・・・。

 

 2等車にいたギルバートが一緒に探してくれることになり、高名な脳外医のハーツも協力を申し出てくれた。だが不倫中の弁護士は関わることを避け、またクリケット狂の二人は列車が止められてクリケットの観戦に送れることを恐れてフロイなど知らない、と答える。これらの証言からハーツは植木鉢で頭を打ったアイリスの幻覚だと結論づけてしまう。

 

 列車は次の駅に止まりハーツの患者が搬送されてきた。アイリスとギルバートが窓から確認したが、列車から降りた者はいない。フロイはこの列車に乗ったままのはずだ。

 

 探している友人が戻ったと聞いたアイリスが席に行くと、そこにはフロイとは似ても似つかないクーマーと名乗る別人が座っていた。この人は自分が探している人ではない。誰にも言うことを信じてもらえないアイルスだが、食堂車の窓にはフロイが書いた名前のスペルが残っている。アイリスは、何か事件が起きている、と思い列車をブレーキを引いて緊急停止させた。そして、そのまま気を失ってしまう。

 

 アイリスを休ませてギルバートが通路に控えていると、コックがごみを窓から捨てた。その時、ギルバートはフロイが給仕に渡したお茶の袋も捨てられたのを見た。アイリスの言っていたことは本当なのだ。、フロイなる人物は存在し、列車に乗っていたのだ。そこで二人は貨物車を捜索する。そこには魔術師ドッポの舞台道具に紛れてフロイのメガネが落ちていた。そこにドッポが現れギルバートと格闘になるが、ドッポに逃げられてしまう。

 

 もはや乗客は信じられない。二人はハーツに相談に行くが、生憎、個室には包帯でグルグル巻きにされた患者と付き添いのシスターしかいなかった。だがシスターはハイヒールを履いている。そういえばクーマーが乗ってくるところも見ていない。担ぎこまれたのがクーマーで、貨物車に隠されていたフロイが患者として寝かされているのではないのか。患者の包帯を取ろとしたところで、ハーツが戻ってきた。そしてハーツは言葉巧みに二人を食堂車に誘い、睡眠薬を入れたブランデーを飲ませる。そして二人を個室に閉じ込めるのであった。

 

 ハーツが二人に使った薬は、良心の呵責からシスターが差し替えており睡眠薬ではなかった。窓伝いに患者の個室に入ったギルバートは、寝ている患者の包帯を取る。包帯の下から出てきたのはフロイ。どんな理由か分からないがハーツはフロイを患者に仕立てて拉致しようとしていたのだ。ギルバートはフロイを助け出し、たまたま入ってきたクーマーを捕えると患者に入れ替えてしまう。

 

 患者が入れ替えられたことを知らないハーツは、駅に着いたため患者を降ろして救急車に乗せる。救急車の中で包帯を取ったハーツは、フロイとクーマーが入れ替えられていることを知った。フロイはまだ列車にいるはずだ。そこで鉄道員に命令し、列車の連結を外させる。再び走り出した列車は、支線に引き込まれ、その先で待ち受けていたパンロリカ軍に囲まれることになった。

 

 

 

フロイは英国のスパイであり国際協定の暗号を音楽にして運んでいたのであった。音楽は殺されたギター弾きがフロイに伝えていた。ハーツは乗客を買収してフロイの存在を消して、連れ去ろうとしていた。フロイは暗号音楽をギルバートに伝えて、列車を降りる。もしもの場合は、ギルバートが本国に伝えるのだ。取り囲んだ軍と乗客の間で銃撃戦が起き、弁護士が死亡する。ギルバートがクリケット狂の一人と列車を動かして国境を越えて軍の追跡から逃れた。英国に戻ったアイルスとギルバートはフロイの頼みの通り外務省に暗号を届け出に行くが、そこには生き延びていたフロイの姿があった。

 

乗客が消え、だれもが彼女の存在を否定する。パリ万博事件を彷彿とさせる設定で、見ている者を不安定な精神状態に落とす。その裏には国際スパイ劇があるのだが、狭い列車の中でメリハリの効いたサスペンスを見せてくれる。自分勝手な不倫弁護士や意外と頼りになるクリケット狂などの脇役も、緊張感を高めるのに貢献している。

 

☆☆☆☆…推薦!