「そこの二人、死んでもらおう」
不気味な一言を吐き、刀を抜く男。
どろろと百鬼丸の前に現れたのは仁木田乃介。
妖刀「似蛭」に取りつかれた男である。
いきなり勝負を挑まれた百鬼丸は、「似蛭」の怪しい光に導かれるように両腕の刀を抜き、挑みかかる。
風なびく草原で、すれ違った百鬼丸と仁木田乃介。
勝負は剣ではなく、お互いの心の念力で戦っていた。
体力を使い果たした田乃介は、棒立ちのままである。
ようやく正気に戻った百鬼丸は、田乃介の刀「似蛭」を奪い取ろうとしているどろろに気が付く。
どろろは、人からバカにされないため力の象徴として刀が欲しい。
しかし、「似蛭」の怖ろしさを感じている百鬼丸は、どろろをしかりつけて、その場を立ち去って行く。
百鬼丸の怒りから大人しくついていくどろろだが、どうしても諦めることができない。
百鬼丸の目を盗むと引き返して、止まったままの田乃介から「似蛭」を奪ってしまう。
「似蛭」を腰に差し、得意のどろろはどこからか声が聞こえるのに気が付いた。
血を吸いたい・・・。
血を吸いたい・・・。
怪しい光を放ちだした「似蛭」は、どろろを乗っ取ってしまう。
どろろは「似蛭」を抜きだし、ノタに切りかかったではないか。
逃げるノタ。
追うどろろ。
どろろは既に正気を失っている。
荒れた屋敷の軒下に逃げたノタは、野犬の群れと出会ってしまう。
慌てて軒下から出たところにはどろろがいた。
どろろに襲いかかる野犬の群れ。
どろろは凄まじい剣さばきで次々と野犬を切り捨てていく。
それでも「似蛭」は血を求めてくる。
しかも、人間の血を求めてくるのだ。
寺にお参りに来ている親娘のもとにノタが駆け込んできた。
興奮するノタを抱き上げた娘は、父親に家に連れて帰るように頼む。
だが、その二人を木の陰から狙っている者がいた。
「似蛭」に取り憑かれたどろろである。
どろろが二人に切りかかろうとした時、娘の胸の護符が目に入った。
護符が相手ではさすがの「似蛭」も切ることができない。
どろろがひるんでいる隙に、親娘は寺から急いで立ち去って行った。
村では刀を手にしたどろろの登場に、恐れおののいている。
家に閉じこもる村人たちを、どろろは笑い飛ばしている。
大人達が自分を恐れて怖がっているのが愉快なのだ。
どろろの目を盗み、先ほどの娘が通りに出てきた。
どろろに切られた父親の血止めの薬を買いに行こうとしている。
目ざとく娘を見つけたどろろは、再び娘に切りかかろうとするが、やはり胸の護符を見ると刀を振り下ろすことができない。
混乱したどろろは、叫び声をあげながら走り去っていった。
娘が辿り着いた薬屋には田乃介がいた。
実は、田乃介はこの娘・お須志の兄であった。
兄との再会を喜ぶお須志であったが、田乃介はどこか心ここにあらずの様子。
殿様の足軽に行ってから5年、田乃介はすっかり変わっていた。
溌剌とした兄が今や何やら禍々しい存在となっている。
「似蛭」の鞘を手にした田乃介は、「似蛭」と取り返すためどろろを狙い始めた。
村はずれの小屋に立てこもり、村人たちに啖呵を切るどろろ。
恐れた村人たちは、遠巻きに見ているだけである。
そこに田乃介が現れた。
どろろとの衝突は必至である。
☆☆☆・・・損はない