8/28(土)に前夜発で谷川岳に行ってきました。
メンバーは所属する山岳会のメンバー4人と。(師匠、リーダー、けん、ポロシャツ君)
今回は2パーティに別れて別々のルートを登る予定。
自分はリーダーと 烏帽子沢奥壁 凹状岩壁(4級下 Ⅳ+ 295m 8ピッチ)を登る。
落石の多いルートらしく他のブログを見ると、ロープが切れて敗退したとか、怖ーい情報満載。
どうなることやら。
22:00_横浜駅出発。
1:30_一ノ倉沢出合到着。
テントを駐車場に張って、ビールで乾杯。
既にテントは4・5張り、車中泊もちらほら。
凹状岩壁は落石が怖いのでなんとしても一番乗りしたいが、ライバル多そう。
3:50_起床&朝食
3時半位から他のパーティが起き出していた。
ガサガサって音を聞くと、こちらもオチオチ寝ている気分にならない。
朝食を摂って、テントを片付ける。

4:30_出発
もう、2・3パーティーは先に出たようだ。
自分はいつもの”テンションシラズ”を飲んで、月明かりの中を出発。
沢伝いに登る。
岩が湿っていて滑る。
師匠が頻りに5.10シューズを薦めてくる。
確かに良いんだろうけど、デザインがちょっとね。
ヒョングリの滝には5時頃に到着。
残置のFIXロープは芯が出ていてボロボロ。
自分が登ってロープを出す。
ほのぼのと明るくなって来た。

5:00_滝スラブ
沢中の大岩は左から。
こちらの残置ロープは使えた。
滝前のスラブの残置は芯が出ていたので、ぼろぼろのロープをフィックスし直す。
滝の横を登る。
自分が残置を使いつつソロで登り、ロープをフィックス。

5:40_テールリッジ下部到着
暑い。
まだ、朝日が昇ったばかりなのに汗だくになりながら、テールリッジを行く。
空は快晴で、なんだか谷川岳が小さく見える。
昨年来た時は、霧の中を登ったので、そびえ立つ谷川岳が魔王城に見えたのを覚えている。
その威圧感はチリチリと心の中に残っていて、それを味わうのを楽しみにしていたのに何だか拍子抜け。
でも、今日は景色が良さそうだし、最高のクライミング日和なんじゃないの~。
暑いけど・・・。

6:10_中央稜取り付き到着
ここで、師匠&けん組と別れて凹状岩壁に向かう。
彼らは 衝立岩 中央稜(3級 Ⅳ 330m 7ピッチ)に取り付く。

7:00_1P目(Ⅲ+_40m)_リーダー
あ~、先客が居た。
一番乗りしたかっただけに残念。
その後も、2組程凹状を登ろうとしていたグループが居た。
どうやら人気ルートのようだ。
落石が怖いので、しばらく間を空けて取り付く。
取り付きから右にトラバースして、スラブを左に上がる。
昨日雨が降ったのか、草や岩が濡れていてあまり快適とは言えない。
時々モロい岩があったので、このルートの危険度を実感する。

7:20_2P目-1/2(Ⅲ_50m)_ポロシャツ君
スラブを登る。
モロい以外は問題無しなので、慎重に登る。
先に登っていたパーティーの1P目を登っていた人が中央カンテ側のビレイポイントでビレイしているの見える。
あの人が、あそこでビレイしているってことはあそこが4P目ってことかな?
ちょっと、短いなと思ったが落石のなさそうな所でピッチを切る。

7:30_2P目-2/2(Ⅲ_50m)_リーダー
落石帯を抜けスラブを左上する。
リーダーは一度もクリップせずにビレイポイントまで到着。
凹状クラックが見える。
あれが、核心ピッチってことは、ここが2ピッチ目の終了点じゃん・・・。
順番がズレちゃった。
そこでリーダーはこのルートの言い出しっぺは自分だから、このまま核心ピッチをやらせて欲しいと。
なんでも、このルートの開拓初登のドラマを本で読んだので以前から憧れていたルートらしい。
むむむ、そう言われたら残念だけど仕方がないよね~。
前のパーティーが4ピッチ目で格闘しているので、落石が無さそうな2Pの終了点で待機する。
前のパーティーの4ピッチ目をリードしている人は60歳位。
装備やちょっと交わした会話からは達人的な雰囲気を醸し出していた。
そんな彼が、
「あれ~、悪いなぁ~」
と言っている声が聞こえる。
ん?、登りたくなるじゃん、その一言。
「前はこんなに悪くなかったと思うんだけどなぁ~」
ますます登りたくなるじゃん、その一言。
ん~、うずうず。
結局、彼は3回も「わるい」と言い、途中でザックを下ろして登っていった。
自分は彼が「わるい」と言う度にニタニタしながら、リーダーに
ポロシャツ「わるいってさ~。代わりましょうか?」
リーダー「いやいや、自分が登るから!!」
3度も同じやり取りを繰り返す我々を見て、後から登って来たパーティーの方に笑われてしまった。

8:00_3P目(Ⅲ+_40m)_ポロシャツ君
前のパーティーのセカンドが4P目を登り始めたので3Pをリードする。
40mで2クリップのスラブ。

8:20_4P目(Ⅳ+_35m)_リーダー
このルートの核心ピッチ。
「ザック置いて登っても良いんですよ~。」とリーダーを送り出す。
リーダーは達人が手こずっていた箇所もサクサクと登り上から「快適だよ~」
しばらくしたら、「ラーック」
上から石が落ちて来た。
前のパーティーの人が落としたらしい。
自分の1メートル横をぶるるんぶるんって落ちて行ったよ。
怖~~い。
自分もセカンドで登りだす。
下のスラブよりも岩質はしっかりしていて、ホールドは細かいけど自分にとってはガバカチ。
スタンスも豊富で草付きも無く確かに快適。
このルートでは一番登り易かったピッチかも。

8:50_5P目(Ⅳ 35m)_ポロシャツ君
一本目のハーケンが左手に見えたので登り始めるも、近づくと抜けたハーケンだった。
あらら~。
そう言えば、トポに5ピッチ目左に登って行き詰まるって書いてあったっけ・・・。
下からは右にピンがある、との声。
でも草ばっかりで見えないなぁ。
右にトラバース開始も草で足下が見えないと思ったら石を落としてしまった。
「ら~~~~っく」
リーダーが下から、
「ルートファインディングできてないし、岩も落とすし落第だよ!!」
何も言い返せないっす。
このピッチグレードはⅣなのに草付きばっかり。
最後のちょっとハングした抜けも草付きだから難しくないのに登りにくい。
まぁ、初登は冬期だから草はグレードとは関係ないんだろうけどさ。

隣の中央稜では丁度、師匠&けん組が同じ高度に。
逆側では、南稜や南稜フランケ?、変形チムニーに取り付いているパーティーが見える。

9:40_6P目(Ⅳ+_40m)_リーダー
こちらと言えば、また前のパーティーが行き詰まっているようで、真剣勝負が繰り広げられていたので、ビレイポイントで休憩。
どうやらトポにはカンテを左に巻くとあるが、岩が崩れて左ではなく右から巻くみたい。
上からは、達人のシビアな声が聞こえてくる。
どうやら、アブミを使って乗り越えたようだ。
セカンドのクライマーも苦戦している。
また、むくむくっと登り気が起きかけた。
前パーティーのセカンドが見えなくなったので、リーダーのリード開始。
さすが、リーダー。
前パーティーは1ピン目クリップしてから右上したのに対して、リーダーは右にトラバースしてから直上。
的確なルート取りで苦しむ事無くサクッと登ってしまった。
セカンドで登ったが、自分なら、前パーティーと同じルート取りをしてしまっただろうだけに、感服した。
弱点を登るっていうのはこういう事か?
ルートファインディングってのはこういう事か。

10:00_7P目(Ⅲ_30m)_ポロシャツ君
このピッチも草っパラですよ、またしても!!
30mでクリップ2回。
全部で4ピッチリードで登って8クリップでした・・・。
目の前にはいい感じのクラック見えてるし。
いいなぁ~。

10:30_8P(Ⅳ_40m)_リーダー
被ったクラックをすいすい越えて見えなくなった。
ロープが岩の溝にハマっている。
何かやだなぁと思っていると上から
「ビレイ解除」の声
ロープはまだ30m程しか出てない。
もしかして途中でピッチを切ってくれたのかなぁ。
うきうき。
セカンドでクライムオン。
クラックを越えると草付きスラブへ。
ちょこっと越えると終了点。
残念ながら、どうやらここがゴールのようだ。
このルートはクライミングの内容ではちょっと物足りなかったけど、それは前にパーティーが居たからルートを探さなくて良かったためかも知れない。
どちらにしろ、前回谷川に来た時とは違い、天気が良くて、気持ちよかったな。
なんだかゲレンデのルートを登ったような快適さ。
天候によってこんなに印象が違うんだね~。

10:50_終了
今回は中央稜組と一緒に北稜から下降する予定。
さぁ、中央稜の二人はどうしているかな?
北稜下降点に向けて出発。
左手は下が切れ落ちてて落ちたら即死。
ルートよりもこういう箇所の方が怖い。
振り返ると、烏帽子岩が見える。
ここからはまだちょっと距離がある感じ。
北稜からの下降ルートを選択すると、登りきったのにテッペンに立った感じがしないのは、このルートのマイナスポイントだな~。

とは言っても、目の前には緑の山々が見下ろせる。
いい~ね~。
師匠&けんが待っていてくれた。
なんでも、40分程前に到着した模様。
おつかれ~。
左手にちょこんと見えるのが懸垂支点のある岩。

懸垂支点からのパノラマショーーット。
一点から180°視界が広がっている。
駐車場が見える。
高度差にすると600m位かな?
ランドマーク2個分の高さなり。
写真では水平方向しか撮れてないから伝わらないと思うけど、ここに立つとグーグルアースで上から谷川一ノ倉沢周辺を見ているよう。
すげぇよ。

11:40_懸垂1(40m)
懸垂下降開始。
4人の2パーティーでの下降なので、ロープを二組使って下降を繰り返す事に。
先に降りる人がロープを一組持って下降して、降りたら他のロープを使って下降。
後から降りた人がロープを回収して、先に降りる人に渡す。
良い訓練になった。

11:50_懸垂2(40m)

12:10_懸垂3(40m)
薮漕ぎ懸垂下降。

12:20_懸垂4(40m)
トポでは降りた所から少し歩いて20mとあるけど、歩かずに斜めに懸垂下降。

12:30_懸垂5(40m)
40mの空中懸垂。
ウッヒャーと勢いよく下降したら、師匠からロープに余計な加重を掛けないように丁寧に降りろ!!とアドバイスを頂いた。
その通りです。
ロープを買う時にあんなに色々調べて悩んだのに、こういう使い方したらダメだよね~。

13:00_懸垂6(20m)
最後に20mの懸垂下降。
ピナクルには師匠がオンでお呼びの声。
「写真撮って~」
さっきまで横に見えていたコップ状岩壁は下から見上げる形に。
横から見ていた時はモロそうで絶対登りたくないなぁと思っていたけど、下から見ると自分には魅力的に見えて来た。
お二方にはどう映っているのでしょうか。

早速、薮漕ぎ!!
トポではピナクルを少し行くと「略奪点」とあるけど何処だか良く分からない。
達人率いる前パーティーはコップスラブを下降するようだ。
こちらは、トポに載っている通り衝立前沢より下降。
衝立前沢は枯れ沢で所々水たまりがある程度。

トポでは「沢を下って最後の20mの滝を懸垂下降→踏み跡を辿って行く→ヒョングリの滝下に出る」らしいが、師匠の仕入れた情報では沢の途中の大岩を左に沿って行くと駐車場近くに出るらしい。
なので、その情報に従い、岩の横から薮の中に突入。
で、今度こそ本物の薮漕ぎ。
ズタズタになりながら下って行くと、木がない傾斜地が目前に広がっている。
仕方ないのでスリングを残置しての薮漕ぎ懸垂下降。

14:30_一ノ倉沢に出た。
は~、ようやく薮漕ぎ終了だ~。
丁度ヒョングリの滝の下。
こんな薮漕ぎならトポ通りで良かったなぁ。
あっ、ボルダーじゃん。
鬱憤ばらしに裸足で取り付いてみた。
5級は無い位のグレードかな。
そのあと、師匠も登って吠えてた。
ボルダーやらない人にとっては怖い高さかも。
他に登れるラインがないか探してみたけど、河原の岩だしツルツル。
反対面に可能性のあるラインはあったけど、ホールドから浮かび上がってくるムーヴは2段位はありそう。

河原には他にもボルダーがそこそこある。
でも、まぁ、ここまで来たら、目の前の岩壁登るっしょ。
しばらくすると、曇りだして空がゴロゴロ言い出したので急いで下る。

滑り台みたいな沢。
水上のキャニオニングって有名だし、ここら辺の岩質はこういったナメ形状になり易い性質があるんだね。
谷川の美味しい水。
こういう水を普通に飲んじゃうんだけど、大丈夫なのかな。

15:00_到着
ちょっとパラパラして来たけど、天気も何とか持ったし無事に下山完了。
お疲れさまでした。
登っている最中に、師匠が
「ここは30年前と全然代わらないなぁ」と言ってたのを、下山してから振り返って山を見た時にふと思い出した。
谷川さん、また、来ますね~。

「帰りは温泉でも入って行くか!?」
「どこ行く?」
「まぁ、そこの沢に入れば十分じゃない?」
「それで良いね。安上がりだし」
で、誰も反対無し。
パンツ一丁で川に飛び込んで入浴完了。
陽を浴びて火照った身体には冷たい沢の水で十分なのでした。

お疲れさま
