こんにちは!
 
Machinakaです!!
 
 
今回批評する映画はこちら!
 
 
「ニッポン国VS泉南石綿村」
 
 
 
 
 
 
上映時間215分、一般料金2200円。
 
ちょっと信じがたい膨大な上映時間の映画。そして、監督はあの「ゆきゆきて神軍」の原一男監督。。。
 
上映館は都内ではユーロスペースのみ。
 
果たして生きて帰れるのか?
 
この映画が俺に何をもたらすのか? どんな映像が待っているのか?
 
それなりに映画を見てきている私ですが、全く予想がつかずにザワザワが止まらないのであります。。。
 
正直怖いです。
 
 
 
それでは、、、「ニッポン国VS泉南石綿村」批評、行ってみよー!!!
 
 



[あらすじ]

 
 
 
・「ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」など数々の作品を生み出した原一男監督が、大阪・泉南アスベスト工場の元労働者らが国を相手に起こした訴訟の行く末を記録したドキュメンタリー作品。
・明治時代から石綿(アスベスト)産業が盛んとなった大阪・泉南地域。アスベストの健康被害を被った石綿工場の元従業員や近隣住民たちが国を相手に国家賠償請求訴訟を起こした、いわゆる「大阪・泉南アスベスト国賠訴訟」。
・原監督のカメラが「市民の会」の調査などに8年間にわたり同行し、裁判闘争や原告たちの人間模様を記録する。しかし、長引く裁判は原告たちの身体を確実にむしばんでいった。
・山形国際ドキュメンタリー映画祭2017(17年10月5~12日)のインターナショナル・コンペティション部門に出品され、市民賞を受賞。2017年・第18回東京フィルメックス(17年11月18~26日)では特別招待作品として上映され、観客賞を受賞した。
 

 

 

 
 
 
原一男監督の最新作でございます。
 
監督の名前は知らずとも、「ゆきゆきて、神軍」という映画は知っている方も多いと思います。
 

 

 

カンヌ映画祭の常連である今村昌平さんが企画をしたことでも有名な今作は、渋谷ユーロスペースにて三ヶ月連続立ち見が出るほどの異形な大ヒット映画となりました。
 
どう言ったら分かりませんけども、今風の言葉で言えば「ガチでヤバい」奥崎謙三氏を描いたドキュメンタリー映画となっています。
 
年配の人からしたら嫌な表現かもしれないですけど、アラサーの私からすれば奥崎謙三という人はあまりに浮世離れしていて、信じがたいんですよ。でも、それがゆえに目に突き刺さる。
 
 
 
そして、今回取り扱うテーマはアスベスト問題。
 
当時話題になりましたよね?
 

アスベストの問題が発覚したのは2005年。

 

クボタで働いていた労働者数十人がアスベストが原因で死んだことから発する社会問題ですけども、未だに事件は解決しておりません。

 

なぜなら、アスベストが含まれる建物や施設は日本全国。いや世界各国の建築資材で使われているため、今もなおアスベストの危機が我々を取り囲んでいるのです。

今作は、訴訟を起こした原告側に焦点を当てたドキュメンタリー映画となっております。
 
国に損害賠償をかけて訴訟を起こし、当時の塩崎厚生労働相が現地に赴き謝罪まで行ったという騒動です。

 

 

 
 
撮影期間は2008年から2016年の8年間。編集に1〜2年。そして2018年の3月11日に公開という形となりました。なので、合わせると10年もの制作期間が掛かっているものであります。
 
映画はアスベスト訴訟の始まりから、大阪地裁、大阪高裁、そして最高裁判所まで国と争い、最終的に最高裁でも勝訴。厚生労働相が謝罪に出向き、賠償金の分配までを描いているのです。
 
アスベスト訴訟の原告=アスベスト被害者を中心にカメラを撮影したドキュメンタリー作品であります。
 
原告の方及び今作の登場人物の方はこちら。最後の原監督を除き、全員が一般の市民の方です。
 
 
 
 
それでは映画の感想に入ります。
 
 

 

 


 

 

[映画の感想]

 

 

今まで観た中でも最もリアルなドキュメンタリー映画を観た。

 

怒り、笑い、悲しみ、喜び。

 

市民VS国家。

 

法治国家VS人間的道徳。

 

3時間半の中に込められた8年間もの膨大な時間、膨大な人の人生が詰まった一本。

 

普通の人々が国家に立ち向かった、勇気ある方々の物語でした。

 

人が人であるために、真実を追求するために、この映画が世界各国のアスベスト被害者に向けて力になるように、未来の子供達を守るために。

 

「この世界の片隅で」苦しんでいる人を映像として記録し、映画として公開することの意義を感じる一本でした。

 
 
 
 
 

[ドキュメンタリーながら、物語があり動的である]

 
 
 
簡単にこの映画を説明するのはとっても難しいですね。8年にも及ぶ撮影の中で、原告の数十人の人々の人生を描いており、道半ばで病死する方もいらっしゃる。
 
この映画自体が、原告の方々の人生の一片を描いているものであり、この映画を評価しろとか、点数を付けろと言われても、この映画に点を付けるということは実際におられる原告の方の生き方に点数を付けるようで、評価が非常に難しい作品でもあります。
 
正直、面白いとか面白くないとか言うことすら難しいです。
 
ですので、以下、私の今作に対する批評は、映画としての評価であり、原告の方々の生き方や行動を切り離して考えて頂きたいということを明記しておきます。
 
 
映画としてはですね、3時間半超にも及ぶ膨大な上映時間でドキュメンタリーにも関わらず、1秒たりとも飽きなかったんです。普通ですね、ドキュメンタリー映画って飽きるんですよ。ずっと人の話を聞いてる映像ばかり流れると、眠くなりませんか? 授業中とかで眠くなりませんか? でも、今作は不思議と飽きるシーンがない。
 
テンポよく裁判の結果、アスベスト被害の様子、厚労省との押し問答、そして今作のテーマとは関係ないであろう夫婦仲の話など、監督の撮りたいものを詰め込んでくれた結果、映画として魅力が詰まっているものとなった。
 
そして、一審では勝訴だが二審では敗訴。最終的に三審の最高裁では勝訴を勝ち取り、ラスボス的な厚労省が動かざるを得なくなるというサクセスストーリーが、ドキュメンタリーなのに用意されているんですよ。というか、最高裁で勝ち取るまで公開しない予定だったのかもしれないけども。
 
とにかく、ドキュメンタリーなのに主人公=原告の訴訟が勝訴→敗訴→勝訴という3幕構成的なバランスの取れた物語になっている。そんな物語を感じられるような編集になっているのです。
 
事実、私は最高裁で「勝訴」のメッセージが掲げられた時、心の中でガッツポーズしてしまいました。今作は決して訴訟に勝つことが目的ではないのですけども。
 
ただ、映画館で映像を見ているということは、どうしても物語の起伏や主人公の目的を見出そうとしてしまうのです。
 
今作は訴訟の勝利という一つの目的に向かって登場人物が共に戦い、弁護士と喧嘩をしながらも勝訴を勝ち取っていく物語がきちんと作られている点で、映画として面白いのです。
 
また、騒動が終わってからインタビューを行うのではなく、ドキュメンタリーを作りながら訴訟を行っていくという非常に「動的」なドキュメンタリーの作り方も上手いと思います。
 
この映画が成功したのも、製作陣の確かな編集力、監督の制作方針と粘り強さ、そして何より訴訟を勝ち取るために頑張った原告の石綿村の住民の方々に、感謝を伝えたいです。
 
以上まとめると、今作は原告の方々のリアルな人生が詰まった、これまでにないリアルなドキュメンタリーなんですけれども、映画を楽しむ上で必要な物語の起伏、キャラ立ちして非常に特徴のある原告の方々、最後は市民が勝ち国家が謝罪するというマイノリティ・ジャスティス映画的カタルシスに、興奮せずにはいられませんでした。
 
ドキュメンタリーであり実際の訴訟を題材にしているのですが、映画として非常に魅力があるものだったと言わざるを得ません。というか、真面目な発言を抜きにすると、映画として本当に面白かったんだよ!!!! 
 

法治国家日本のルールに従い堅実に活動を続ける弁護士とその他原告。

 

それに反発するかのように、国への怒りを露わにし、どうしても「ゆきゆきて、神軍」の奥崎にしか思えない、柚岡紳士のキレっぷりが映画を盛り立てる。

 

そして、ドキュメンタリーにも関わらず、あまりに大人しい原告の人に「もっと怒りはないんですか!?」と説教する監督の原一男さんが面白いww

 

映画的面白さに満ちたドキュメンタリーなんですよ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

[ヤラセが嫌いな人にこそ見て欲しい]

 

 

テレビ視聴者って、ヤラセが大嫌いですよね?

 

電波少年でヤラセが発覚すると、異様に番組を批判して、嘘っぱちだったのか!?と怒る人がいるんです。

 

これはテレビに限らず、ドキュメンタリーにおいても同じことが言えて、、、

 

ドキュメンタリーは絶対にヤラセがないとか、嘘をつかないのがドキュメンタリーとか、ドキュメンタリーに勝手な幻想を抱いている人が多いんです。

 

でも、ドキュメンタリー映画でもある程度の筋書きはあるし、ドキュメンタリーは嘘をつく、ということを是非知って頂きたいと思います。

 

人はカメラを向けられた以上、カメラマンに協力をしようとして、普段言わないことを行ってみたり、芝居くさくなったり、、

 

映画として制作するということに、出演者は意識してしまうわけです。

 

それが普通です。

 

しかし、この映画はドキュメンタリー映画らしいちょっと不自然な演技だったり、不自然なセリフがない。作り物感がないんです。それを証明するかのように、カメラ目線の人が非常に少ない。喋っている時も監督の方だったり人の目を見て話そうとするから、ずっと素人感が抜けないんです。これは、ドキュメンタリー映画の中でも特に普通の人を主人公にしたことが影響してるかと思います。

 

 

ドキュメンタリー映画って題材をよく見てみると、大体は有名人が主役になっていること、お気づきですか?

 

歴史上の偉人だったり、政治家だったり、有名人だったり、社長だったり。

 

基本的には公人を対象にドキュメンタリーが撮られることが多いんですよね。ていうか、そうでもしないとドキュメンタリー映画って見てもらえないから。

 

だから、ドキュメンタリー映画用にカメラを主人公に回したとしても、人前で話すことに慣れているしカメラに慣れている人が多いんですよ。

 

でも、今作はこれまでおそらくカメラを向けられたことがない人々が主人公。演技をしようとしても出来ないんです。演技の経験がないから。

 

原告の方は石綿の工場で働いていた作業員がほとんどなので、基本的に人前で話すことが仕事ではない。根本的に不可能なんです。

 

今作ではそんな普通過ぎる人を主人公にドキュメンタリー映画を作ったからこそ、誰がどう見てもヤラセとは言えない、純度100%に近いリアルなドキュメンタリー映画が登場したのです。

 

リアルといえば、この映画はあまりにも多くの死人が登場します。

 

そして、死人をモザイクなしで写したのは驚きでした。

 

なぜか涙が止まりませんでした。

 

他人の葬式のはずなのに。一言も喋ったことのない人の葬式なのに。

 

でも、3時間以上映画を見ている人間としては、原告の方々の人生を知りすぎてしまって、もう他人事ではいられなくなって、、、

 

映画はよく、他人の物語を理解するためにある。と言われます。文字通り、今回は泉南地域の石綿村の方々の8年にも及ぶ苦悩と戦いを、3時間半ばかりですが共有できたような気がして、涙が止まりませんでした。

 

 

 

 

 

[最後に 石綿村原告の方へ]

 

 

こちらの映画は、原一男監督はじめ製作陣の力はもちろんですが、今作の主人公である原告の方々、弁護士の方々が努力してこそ完成された映画であると確信しています。

 

そして、厳密に言えば、この映画はまだ完成しているとは言えません。完全なハッピーエンドとは到底言い難い現状だと思います。

 

私にできることはですね、この映画をより多くの方に広めるということと、この映画に出てきた人々の生き方を覚えておく、ということです。

 

アスベストの問題。とても他人事とは思えません。

 

住宅解体の現場に立ち会う機会があったら?

 

石綿が取れる鉱石場に出向く機会があったら?

 

将来、自分の子供がアスベストを吸ってしまったら?

 

単に石綿村の問題ではない、世界が注目するアスベストの被害と国への補償問題。

 

今作はそんな重要なアスベストと市民、そして国家と市民との向き合い方を映像で記録したことに大きな成果があるし、今後少しでもアスベストの被害が減ると嬉しいなと思います。

 

原告の方々が立ち上がり、諦めずに立ち向かうさまはまるでヒーローのようにも感じました。

 

とにかく見てください! オススメです!!!

 
 

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