こんな本を読むと、こういう旅スタイルを目指そうと思う。
図書館でタイトルに惹かれて読んだ。
近藤史恵 著 『スーツケースの半分は』
【あらすじ】
三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで青いスーツケースに一目惚れし、憧れのNYへの一人旅を決意する。出発直前、ある記憶が蘇り不安に襲われるが、鞄のポケットから見つけた一片のメッセージが背中を押してくれた。やがてその鞄は友人たちに手渡され、世界中を巡るうちに“幸運のスーツケース”と呼ばれるようになり……。人生の新たな一歩にエールを贈る小説集。
その背中を押してくれたメッセージとは…
あなたの旅に、幸多かれ
9章からなるこのオムニバス。
前半は29歳の同級生4人のそれぞれの不安、悩み、葛藤、羨望。
このスーツケースと共に、それぞれが海外へ旅立ち、新たな決意をする。
後半は、最初にスーツケースをフリーマーケットに出した49歳の獣医の女性と19歳のその娘、離婚した母子家庭。
4人の旅の後、偶然戻ってくる。そして今度は娘のドイツ留学でこの親子にスーツケースが関わってくる
4人の内3人で行った旅でスーツケースの造られた工房と偶然出会い、その工房の女性職人の人生が一人の人生をまた変える。
最後は旅行もしない一人住まいだった義理叔母が何故このスーツケースを残すことになったかという物語。
ラストシーンの空港でのニアミスもなかなかドラマチック。
私は自分の残された時間とお金は優先的に“旅”に使おうと思っているし、そうしている。
旅に行かない人も、日常から少し離れた所に自分を移してみると既に旅をしていると思う。
本の帯に書かれたフレーズ、なかなかいい。
人生は一人旅。
明日はどこへ行こう?
私にとって旅をするとは、風に背中を押してもらって、歩き進むような気持ちである。
(2016.9 撮影)