出逢う運命だった2人… | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

出逢う運命だった2人…

1987年から週刊少年「ジャンプ」で連載が始まった時から読んでいた荒木飛呂彦さんの大人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ。ちなみに荒木さんのデビュー作も読んでいますキラキラ


そんなジョジョが37年の時を経て舞台化されるとあっては見逃すわけにはいきませんビックリマークビックリマークミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険〜ファントムブラッド〜」を帝国劇場で千秋楽を観劇。



舞台は19世紀イギリス。裕福な貴族の家に生まれ〈本物の紳士〉を目指す真面目で勇敢な少年ジョナサン・ジョースター。愛称"ジョジョ"を演じるのは私が観た回は松下優也さんで帝国劇場は初出演。



そしてジョジョと因縁の出逢いをするのはスラム街で育ちながらもジョースター家に養子として引き取られたディオ・ブランドー。演じるのは宮野真守さん。



ジョジョがまだ生まれたばかりの頃、事故に遭ったジョジョの父ジョースター卿を助けたのがディオの父親で、その恩返しともう1人の息子として対等に育てられます。



ですがディオの父ダリオは実は盗人で恩人でもなく、しかもどうしようもないダメ人間でした。小さな頃から虐げられていたディオの性格が歪まないわけはなく…。



こうして始まった「ジョジョの奇妙な冒険」の因縁の物語。本物の紳士になるべく2人はジョースター卿から教育を受けますが、容姿端麗で優秀で非の打ち所がないディオと比べられてしまうジョジョ。



しかも狡猾なディオは聡明な青年のフリをすることで誰にも知られることなく、ジョジョから全てを奪おうと画策。ジョジョの心の友の愛犬ダニーを殺害したり



密かに想いを寄せるエリナの唇を奪ってしまうなどたびたび卑劣な嫌がらせをします。そんなディオの悪意にジョジョが気が付かないわけがなく。



ジョジョの真っ直ぐさが十二分に伝わってくる松下さんの演技と歌声は素晴らしく、ディオの圧倒的な闇や負の感情に支配されることなく、高潔な魂を保ち人間の素晴らしさは〈勇気〉だと教えてくれるジョジョ。



一方で底辺で生きてきた親の呪縛から逃れられずに、何も持たない人間の哀しみや宿命を背負ったディオを見事に演じ切った宮野さん。



弱いからこそ強くなりたいと願うのは必然。ジョジョと対照的な孤独な魂を持つディオが選んだのは人間であることをやめるという究極の選択でした。



理不尽な理由で囚われた牢獄で見ていたのは「星か泥か」というジョースター卿の問いかけに、ディオは目の前の泥、ジョジョは頭上に輝く星と答えます。



這いつくばってでも手に入れるという野心とあくまでも正義を貫き理想を追い求める心、どちらが正しいのかの答えは、観ている私達に委ねられています。



ジョースター卿を演じた別所哲也さんの歌声が素晴らしく、まさに紳士の品格が滲み出ていました。しかも実はディオの父親の正体も知っていたという人間性の素晴らしさに感動。



月日は経ち成長した2人は周囲から素晴らしい友情と讃えられますが、心を通わせるどころか友情など微塵も感じていないジョジョとディオ。



体調を崩し寝込んでしまっているジョースター卿。ディオの父親も全く同じ状況で亡くなっていることから、ディオが毒殺を企んでいるということに気づいたジョジョ。



魔物を生み出してしまったディオの父親役は大好きな俳優のゴング桑田さん。死してなおディオを縛り続ける悪役を熱演。



強面ですが普段は気遣いの人で常に笑顔。小劇場からミュージカルまで大活躍で、舞台には欠かせない貴重な役者さんですラブラブ



そして解毒剤を探しに行った貧民街でジョジョが出逢ったのがスピードワゴン。ストーリーテラーも務める重要な役柄を演じるのはYOUNG DAISさん。



壮大なジョジョの物語をラップで語る演出には脱帽。最下層に生きる人達にも親がいるはずと紳士なジョジョの心意気を気に入り、命の危険がある冒険を共にしていきます。



人間に半永久の命を与えてしまう〈石仮面〉。考古学を学ぶジョジョが研究をしていたこの石仮面の秘密を知ったディオは、全ての企みが暴露てしまい石仮面の力を自分のものに。



魔物と化したディオにより父を殺され屋敷も破壊されたジョジョ。死闘の末にディオを葬り一命を取り留め目覚めた彼の前に現れたのは大人になったエリナでした。



愛する者を奪われた哀しみと痛みを胸に新たな人生を歩み出す2人。ですが残念ながらジョジョとディオの因縁の対決は終わってはおらず、長く長く続く冒険譚が始まります。



ジョジョファンが気になっていたのは恐らく〈波紋エネルギー〉をどう表現するのかだったと思います。呼吸法で波紋を操るツェペリ男爵を私が観た回は東山義久さん。



舞台の表現の原点は"舞踊"という東山さんらしく、映像をフルに使うのではなくアンサンブルを従えたパフォーマンスで波紋を表現していて流石でした。



楽曲は「ロックオペラ モーツァルト」「1789 バスティーユの恋人たち」などを手掛けたドーヴ・アチア氏で、キャラクター1人ひとりを際立たせるドラマティックなメロディーばかり。



ディオがいたからこそ強く成長したジョジョとジョジョの全てを奪うことに自らの命を賭けたディオ。光と影、星と泥…対局にいながら出逢うことが避けられない運命だった2人。



期待を裏切らない作品に仕上がっていたミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険〜ファントムブラッド〜」は地方公演へ。再演があったらまた観たいですし、もちろん続編も期待しています音譜