必要なのは構造改革!
今回のテーマは「人口減少時代における持続可能な医療・ケア」まず登壇したのは北海道家庭医療学センター理事長として地域医療に取り組むとともに
日本プライマリ・ケア連合学会の理事長として全国にプライマリ・ケアの実装を進めるべく尽力している草場鉄周先生。
超高齢化が進めば慢性疾患や認知症など治らない病気と共に生きる人が増えてくるのは必然。そんな中で重要な役割を果たすのがプライマリ・ケアを担う総合診療医だと草場先生。
プライマリ・ケアに求められるのは、多様な健康問題に対してワンストップで対応すること、多職種や病院との連携と協調、個別性を重視し身近なケアを継続していくこと。
そして最も重要なことはチームで患者家族を支えること。医療が専門化する中でジェネラルに目の前の〈人〉を診る力や
健康な時から病気の時まで全てのステージ、つまり一生涯に寄り添うことが求められる総合診療医の育成はまだ道半ばだそう。
地道に育成していくとのことでしたが、正直言って人口減少時代に突入している日本の医療は、悠長にドクターの成長を待つことが出来るような状況ではないと思います。
暮らしも含めて診る総合診療医の活躍の場となるのが在宅医療ですが、病気を治すことを目的としない在宅では、医師に出来ることはあまり多くはありません。
そこで重要となるのがずっと議論されている〈タスクシェア〉ですが、日本でタスクシェアが進まない理由を草場先生がずばり指摘してくれました。
海外では医師、看護師、薬剤師などそれぞれの専門性を尊重し、上下関係はなく対等が当たり前。連携しながら質の高いケアを提供しています。
ですが日本ではヒエラルキーのピラミッドのトップに医師がいて指示がないと何も出来ない状況があり、強い忖度と遠慮が働く風土が蔓延しているからと草場先生。
「タスクシェアは医師が許容するもの」という考え方自体がタスクシェアを阻む原因であることは知られていること。必要なのは規制改革ではなく構造改革。
タスクシェアは医師から権限を奪うものと思っているのがそもそもの間違いであり、国家資格を持つ専門職が自立して協働する仕組みに変革するチャンスなのです。
医師は自らの限界を自覚すること、一方で自主的に働ける看護師や薬剤師などを増やしていくこと。プライマリ・ケア看護師や薬剤師は信頼できる強力なパートナーになると草場先生。
ドクターの意識改革と看護師や薬剤師などの専門職の領域の拡張は私がこれまでもずっと言い続けてきたこと。
10年先20年先を見据えておかしいと感じていることは1日も早く改革し〈当たり前のことを当たり前に〉実行に移して欲しいです
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