春を待つだけ。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

春を待つだけ。。。

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市川海老蔵さんと瑛太さんダブル主演の
「一命」を観てきました。


「武士」とはなんて
哀しい生き物なんだろうと
思わずにはいられませんでした。


「栄達も不遇も運次第。。。」
泰平の世を迎えながらも
お家取り潰しとなり家も仕事もなくし
家族さえ養うのが大変な
初老の浪人を演じる海老蔵さん。


困窮した生活でありながらも
武士の誇りだけは忘れず
また父の威厳を保ちながら
愛する娘の幸せを望んでいる。


実際の年齢より
だいぶ年上の役でしたが
歌舞伎で培ってきた
立ち振る舞いや所作が美しく
「老成」した雰囲気を醸し出し
全く違和感を感じさせませんでした。

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そして病気の妻子を救うため
誇りである刀を手放し
竹光を携えて薬代を無心するために
恥も外聞もなく切腹を願いでる
武士を演じた瑛太さん。


本当に死ぬ気もないのに
憐れさを誘い施しをもらうための
「狂言切腹」と思われてもいい。


ただ「愛するものを守りたい」
その一途な切ない思いが
揺れる瞳から痛いほど
伝わってきました。


一方、切腹のための場所を
貸してくれと言われた名門井伊家の
家老を演じるのは役所広司さん。


一瞬、同情する表情も垣間見せるが
面目を重んじる武士には二言はなく
役所さんの立場からは
言った通り切腹しろと言うしかない。


人ひとりの命より
武士の誇りや面目が重んじられ
貧しい者はただ運命を
受け入れるしかない。
そんな時代に生きた武士達の
悲哀に満ち溢れた映画でした。


武士の「建前」と「本音」を
えぐり出すために
また海老蔵さんも命をかける。。。


全てを失った海老蔵さんの
「ただ春を待っていただけ」
というセリフにぐっときました。


あるインタビューで
三池監督がこう話していました。


「僕はたまたま
映画監督をしているけれど、
海老蔵さんの場合は偶然じゃない。
“定め”として歌舞伎役者をしている。
それは“運命”なんですよ」


運命を背負った
海老蔵さん演じる武士道
是非、観てみてくださいクローバー