【作品情報】
監 督 デニス・デリック
出 演 ピョートル・アダムチク、マチェイ・ザコシェルニー、アントニー・クロリコフスキ、アンドリュー・ウッドオール、他
上映時間 99分
ジャンル 戦争>航空アクション>第2次世界大戦>イギリス上空の戦い
英 題 「303 SQUADRON」
ポーランド題「Dywizjon 303」
【あらすじ】
1940年、イギリス王立地理学会は、MI5(英国情報部)が1枚噛んでいる国家機関であるが、かつてイギリスが世界中で集めた収集品を本土に持ち帰るという任務から変遷し、今は外国人パイロットをイギリスへ集め訓練を受けさせるという任務を担っていた。
複葉機での飛行訓練ばかりの退屈な日々を送っていたポーランド人訓練生ツムバッハ中尉(マチェイ・ザコシェニー)は、視察に来たイギリス空軍司令部の大佐から「落とさずに凧を飛ばせる者はいるか?」という蔑視的な問いに対して、搭乗を志願し複葉機に搭乗しようとすると…
大佐は「乗るのはこっちだ」と主力戦闘機のホーカー・ハリケーンを指差す。
初めて搭乗の機会を得たホーカー・ハリケーン戦闘機で、心うきうきと大空を翔るツムバッハ。
たまたま単機で飛ぶ敵戦闘機と遭遇し、空中戦の上、これを撃墜し見事に帰還する。
しかし司令部は、相変わらずポーランド人を前線には出さず、飛行経験の短いイギリス人の若者を優先して戦闘機に乗せていた。
経験を積んだポーランド人より、経験が極めて浅いイギリスの若者を飛ばすという状況を目の前にして、ポーランド空軍では飛行教官を務めていたポーランド訓練生部隊のリーダー、ウルノバビッチ中尉(ピョートル・アダムチク)は、司令部に「我々を戦線に加えて欲しい」と直訴する。
司令部はポーランド人の飛行技術に対しては未だに懐疑的であったが、MI5は「時間稼ぎにはなる」としてポーランド人の前線登用を空軍に強く働きかける。
それによってポーランド人を戦闘機に乗せた訓練が始まる。
1940年8月30日のハリケーン戦闘機による爆撃機護衛の訓練飛行中に、偵察任務のドイツ機発見しこれを見事撃墜。
翌日からポーランド人部隊は「第303戦闘機中隊」として防空任務に着き、初任務で6機撃墜の記録を作る。
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「バトル・オブ・ブリテン 史上最大の航空作戦」と全く同じ「イギリス空軍第303戦闘機中隊」を扱い同年製作で競作となった本作。
「バトル・オブ~」では、飛行シーンについては、比較的CGと判りやすいものが多かったんやけど、こちらは戦闘シーン以外では実機でも使っているのか、かなり精密なレプリカを作ったのか…カメラが機体に近づいた時のリアル感がすごい^^
出撃シーンのエンジンの排気煙臭さや油臭さが伝わるような感じは、実機を使った撮影をしていた「~60年代^^の映画」に近い感覚。
もちろんCGやレプリカ使用も混ざってると思うけど、より本物でないと出せない味わいを感じましたな^^
空中戦シーンはもちろんCGやろうけど、リアルなものも多く観られて…そこだけは満足が行く作品。
この映画は、「バトル・オブ~」に比べても、ドイツ軍パイロットやドイツ機についても比較的登場が多いんやけど、ドイツ機についてもかなりアップに耐えられる実機の様な品を使ってる。
映画序盤で、ゲーリングがJu52に乗ってご登場するんやけど…
タラップの架け具合とか、何やら本物臭くて…イイ感じ^^
ユンカースJu52(映画のものではなく参考写真ね)
映画全体としては…
ストーリーは、回想シーンを突然挿入したりすることで、戦争当時と過去を突然行ったり来たりしてしまうのと、
イギリス軍関係もポーランド人についても、今誰が出てきてるのか、どんな立場なのか…という解説も一切ないし、俳優の顔ぶれに有名な方や特徴がある方がほとんどいないせいもあって…
今映写してる内容に対してどんな状況で、誰がメインか…解らなくなるうえに、時代背景を知らない観客には全くもって不可解な展開に終始してる感じがする。
しろくま・まちゃるがあらすじで「空軍司令部の大佐」と書いてたり、「MI5」と書いてるところも映画を全部観て、その後そうであったであろうと推察して書いてるだけで、実際映画には何の説明もない。
も少し落ち着いて、時間軸それぞれの表現をじっくりとしてもらう方が、安心して観れる気がするなぁ^^;
303戦闘機中隊の初出撃までは、「バトル・オブ~」よりも早い展開で好感があったけど、その後は、酒と女、そして想い出が交錯して、なかなか前に進まない^^;
出演者自体は悪くない。
飛行機やその航空戦シーンや地上のシーンも悪くない。
むしろここまでは出来がイイ方とも言える。
ただストーリーの展開だけが最悪という印象がありますな^^;
あとストーリー展開もイマイチやけど、盛り込むだけ盛り込んどいて、それが映画の流れに必要かどうか…そこを考えていないような編集の仕方も最悪って感じ。
「バトル・オブ~」と違って、こちらは終戦のところでエンディング。
ポーランド人パイロットのその後については一切触れる事がない。
まさに英副題にある様に「バトル・オブ・ブリテンの英雄たち」という終わり方。
結局、メインで扱いたかったはずの空中戦闘シーンも意外と少ないし…303戦闘機中隊全体の行動も意外とよく解らない。
ポーランドの整備士の娘さんの事やMI5の絡みも、終戦とともにうやむや。
せめて出てきたものは最後まで処理してくれんとw
イギリス王・ジョージ6世の激励シーンや、敵対勢力としてのドイツ軍の扱いど…せっかく「バトル・オブ~」に比してもイイ部分も数多くあるんやし、脚本の精査をもっとして欲しかったなぁ。
敗残したドイツ軍パイロットへの、ゲーリングからのレコーディングした罵詈雑言が届けられるシーンなんて秀逸。
「敗残者は裏切り者と同じ」というのは、命をかけて飛び回りようやくたまたま生き残ったパイロットに、その仕打ちはやる気をなくさせますな^^;
上司としては、全く使い物にならない代物ですな^^;
ちなみに、ツムバッハやウルバノビッチなどの個人の名称やポーランド人の階級などについては、映画の訳に準拠していますw
英語読み、現地語読みで発音も違うしねw