本を読むかわりに漫画を読んで、社会のいろいろなことを知ったり専門知識を得たりする。
それは、漫画のほうが読みやすく時間がかからないためである。
しかし、最近はそういった漫画も小難しい本並みに読みづらく、読むのに時間がかかる。
そういう類の漫画で、たとえば読みやすくていいと思うものに、「ギャラリーフェイク」という作品がある。
元一流博物館の優秀な学芸員が、いろいろに挫折し闇社会に転落したあげく、そこで闇に流れる美術品のいろいろを取り扱っていく様子を描いたもので、つまりはそういった世界を知るのにとてもためになる作品である。
それは、逆に漫画でなければなかなか描ききれない世界であるともいえるし、もし、それを本で読もうとするとひとつの作品でそれを知るということはまず無理である。
つまり、いろんな本を何冊も読み漁って、なるほどこういう世界なんだなあ、と知るような感じになると思われる内容のものである。
つまり、ギャラリーの運営とか美術品の知識とか闇に流れるルートとかそういったことがすべてその漫画に盛り込まれているんである。
これをすべて知ろうとすると、先も書いたように、相当な数の本を読み漁らなくてはいけない。
であるので、「ギャラリーフェイク」という作品は、こういう目的のために読むのに大変に優れた漫画であると思われる。
では、こういった世界を知るために、何冊も本を読み漁るとして、たとえばどういう本を読めばいいのか。
当然、この漫画の内容がそのまま小説などになっている本は知らない。
であるので、たとえば、博物館に関する専門書であるとか、美術品に関する専門書であるとか、学芸員のエッセーであるとか、そういった本を何冊か読む。
つまり、博物館や美術の専門書を読むということである。
が、闇に流れている美術品の話とか、そういったことを専門書で知ることができるかどうかはわからない。
そういったことを知りたいと思えば、美術の専門家と知り合いになって、そういう世界を見せてもらったり、本で勉強する以外の行動が必要になる。
であって、こういうことをせずに、ひとつの漫画作品を読んでそれを知ろうとしているわけである。
つまり、こういう漫画がなかったとして、そういうことをやれるか、ということになるんであるけれど、普通はここまでして知る世界を、ひとつの漫画作品で知ろうとしているわけであるから、多少は難解であったとしてもそれはしかたがないとも思える。
そして、そこまで親切にしてそれを提供する必要も、それほどないような気もする。
ただ、それをやってやろうと思う漫画家や編集者がいれば、やればいいんでは?
「ギャラリーフェイク」という作品は、それをやってくれている作品である。
それが良い作品だと思えば、それを真似して、同じようにひとつの漫画に集約できるような作品を作っていけばいいのではないかと思う。
それは、誰かがどこかで提供してくれるものと思わずに、ないなら自分たちが作ってみようと思うような想いで持って、何かを動かすことが大事である。
ないなら自分が作ろうと思えるほどの力量は、持ち合わせていないんであるから。